تسجيل الدخول僕、私、あたし、君、俺。 沢山の絵の具達に囲まれながら 涙を流す。 色々な形の「愛」 涙は時を経て 心の中で眠る
عرض المزيد◻︎コーヒー④ 笑顔って大事だよね。こういう居場所って大切な空間だよね。ユミがどうしてこの店にこだわるのか分かった気がした。最初はダンディーなマスターの話を聞き、なんだとぉ!俺と言う存在がありながらとか思ってたけど。実際関わると凄く落ち着いてて、人間的に深みのある人なんだと感じたよ。 俺は音をたてながら淹れられたコーヒーを早く飲みたくて、飲みたくて、待ち遠しい。 まるで子供の時に戦隊モノのアニメを見ていた時と同じような興奮作用。 まだ飲んでないし、匂いしか嗅いでいないから、コーヒーが原因ではないぞ。うん……多分。 『はい。お待たせしました』 そう言いながらカウンターに置かれるコーヒー。値段も安く、低価格。そして飲めない人間も飲めるように変えてしまう魔法を持っている魔法使いの生まれ変わり。 なんか妄想の中でファンタジーになっている気がするが、あくまで俺の趣味だから勘弁してくれ。 心の呟きは囁き声に変わり、リアルと連動し、言葉を声にしていく。 『ふふふ。心の声が出てますよ』「あっ……ちゃうんすよ。これは」 『楽しい方ですね。本当に人間的に興味を抱きました』「あ……ありがとうございます」 ストレートな表現にも柔らかさがある物の言い方。この人接客のいろはをきちんと理解している人のようだ。どんな職種でも完璧にこなせそうな気がする。 そういや副業してたっていうてたな。何の仕事なんだろうか? 自分とマスターの会話を思い出しながら、辿っていくんだ。どんな些細な情報でもいい。少しでも近づきたいと憧れた。って、俺、男じゃんか。なんだこの、始まりの恋みたいなシチュエーションは……。悪いけど。俺にはユミと言う大切な人が、心のオアシスがいるんだ。だからこの気持ち、愛を受け取る事は出来ない。 受け取ってしまったら未知の世界がっ…… ――すみません
◻︎コーヒー② 『どうしたの?なんか変だよ?顔赤くない?』 ユミの笑顔につられてニヤけてるなんて言える訳ない。そんな事恥ずかしくて言葉にも出来ないから、そっと心を隠すように顔を背けた。 『なんで目を合わせてくれないの?あたし何かした?意地悪しすぎたかな?』 いやいや、お前の意地悪なんていつもの事で楽しみながら見つめてるし、観察してる。簡単に言えばビーバーの生体記録と同じだ。小学生の時に読んだ教科書の内容を思い出していると、何故かユミとビーバーがドッキングしている。 いつもこうだ。照れちゃうとさ、脳内回路がやばくなるんだよ。変態な方にいくと言うか、なんつーか。 言葉が出てこないけど、言える事はただ一つ。 不安がるユミも可愛いってことだ。 あー、もう、と頭を掻きながら、真っ赤になっている顔で、瞳で、彼女を見つめ呟いた。「お前が可愛すぎるんだよ」 なんでこんな事言ってんの?それも店で。店主だって見てて、ニヤニヤしてるじゃねぇか。 微笑ましい光景を見つめて、ダンディーな雰囲気を醸し出している。 なんだろう。俺も大人なのに、負けている気がするのは気のせいだろうか。 よく分からないけど、こういう日常の一コマ一コマが幸せで、幸福で、笑顔で、そして愛情の欠片なのかもしれない。沢山のプラスの感情も、マイナスの感情も全て含んで人は宝石になっていくんだろうな。 こういう空間もいいなって思った。そんな俺を見かねてユミが耳元で囁く。 『恥ずかしいから。そういうの大きな声で言うのやめてくれない?告白してる訳じゃないんだから』「え(は?)」 珍しくモジモジしながら照れてるユミがいる。女の子らしく、可愛らしく、萌えるよな。男なら確実に。俺はおねぇじゃねぇから萌え萌えの萌えに決まってるだろうが。 『早く決めようよ。マスター待ってるし。恥ずかしい』 大人しいユミをからかう準備は出来ている。俺はユ
◻︎漫才 あたしはツッコミ役になりたいと切実に思う、高校生……。 うん、高校生なのよ、まだ15だもん。制服も家のタンスにあるし、教科書も家に保管してる。使ってなくても、着ていなくても、女子高生なのよ。 毎日姑に小言言われて、ひるんでいる主婦じゃないから、勘違いしないでマジで! 教科書はある意味『ハリセン』のかわりなの。あれは勉強をする道具じゃなくて、違う使い道があるのよ。あたしに勉強と言う二文字はないんだからね。 ――ん?二文字だっけ。漢字は二つ。読み仮名は五つ。あれれ? まぁ、そんな事は忘れとこう。そんなの大した事でもないし、日本語が読めるから大丈夫、大丈夫。 うん……大丈夫。この前『あんたの言葉は意味不明』とか言われてたなんて誰も知らないから、まだ大丈夫なんよね。 これは心の呟きだから、誰にも見られていない。バレていないから平気だし。 タフで純粋なハートがあるから。自信満々。 今日もサボリ、明日も明後日も……永遠に! あたしはいつもの河原に来て、さっさと制服を脱ぎ捨てる。下には私服着ているし、スカートは制服ので上等。ばれないって。上着がどうにかなりゃ、いいわけよ。あたしって天才じゃない?「あー楽。制服って好かんわ。堅苦しい」 はーい。次にいらないものは何でしょうか。「これいらない」 靴よ靴。学校の靴なんて嫌なの。やっぱさスニーカーでしょ。楽だもん。それにスニーカーを選ぶのに一番大切で重要な事があるのよ。それはね……。 お前学校はとか指導員の先生に遭遇した時にダッシュして逃げれるし、何かトラブルの時にまけれる。ヒールとかだと本気で走れないし、やばくなったら裸足で走らないといけなくなる。 それならば、回避するしかないでしょうに。どんな相手だろうが構わない。あたしは全力で逃亡出来る自信があるの。家族にそう言うとさ、あんた馬鹿じゃないの?そんな事考えてるから半年もしないうちに卒業
◻︎最後のプレゼント もう一度会いたいと言われた。あたしは会うつもりなんて更々ない。なかったはずなのに、連絡のやり取りの中で上手く誘導されながら会う事になってしまった。でも、ここで会ってケリをつけるのが一番きれいかもしれない。そう思ったの。それが一番二人の為だとも感じてた。 凄い連絡量だったのを覚えている。あれは私が18の時の事だった。彼の名前はカイ。元々何の接点もなくて、ふとした縁の絡みが関係性を築いたものだと思う。 何も考えていなかったあたしはいつものようにフランクに人と関わろうとする。勿論男性も女性もだ。 どちらかと言うと男友達よりも女友達の方が多いんだよね。女性を優先してしまう所があって。得に仲良ければいい程。特別扱いしてしまう自分がいるんだよ。 重たい足取りで彼との待ち合わせ場所に行くと、そこに彼の車が止まっている。 ――ドクン 過呼吸にも近い苦しさと心臓の深い音があたしを少しずつ不安の色へと染め上げる。あたしは右手を心臓付近へと伸ばし、覚悟を決めたかのように拳に力を入れる。 大丈夫、大丈夫、あたしは強いから……。 そうやって自己暗示をかけるしか方法を知らない。そうしないと安定も安心もしない。額には少しずつ冷や汗が溢れてくる。足はカクカク震えながら、それでも勇気を振り絞りながら、近づいていく。 コツコツと向かう足音が あたしの不安を消すように 地面へと感情を捨てていく 彼への想いを 彼への願いを 彼との思い出の数々を。 色々な事を考えていると、あっと言う間に彼の車の前に突っ立ってた。 不安そうなあたしを見かねた彼が車から降りてきて一言囁く。 『大丈夫か?さおり』「……」 言葉なんて出ない。何も浮かんでこないの。 彼はふふっと微笑みながら震えるあたしを抱きしめる。