Lahat ng Kabanata ng 夢見る貴方は真冬に降る雪の如き: Kabanata 11 - Kabanata 20

26 Kabanata

第11話

幼稚園からの帰り道で、冬雪は無意識に美波とのトーク画面を開いた。十年前から知り合ったとはいえ、彼女とのやり取りはそれほど多くはなかった。大半のメッセージは美波からに対して、冬雪からの返事はいつも数日後だった。それに、どれもただの意味のないスタンプだった。昔はただしつこいと思っていたが、今はその永遠に「既読」に変わらない「未読」を見て、美波がもうそのようにしつこくメッセージを送ってくることはないと実感した。何故か、冬雪はまたイラッとした。その時、電話が急に鳴った。出た瞬間、冬雪の母のすぐに怒鳴りそうな声が向こうから届いてきた。「すぐに実家に帰りなさい!」どういう状況なのかさっぱりわからない冬雪は、実家に戻ったら、いきなり乱暴に大量の書類を投げられた。「ちゃんと見てみなさい!」それを聞いて、冬雪は床に落ちている書類を拾ってきて、捲りながらじっくり読んでいた。そこに書いてあったのは、全部財務諸表の計上漏れだった。彼は驚きながら聞いた。「誰がこんなミスを...... ?」怒りが爆発して、冬雪の母は台パンした。「緒方梨乃に決まってるでしょ。あんた、正気?あの女が帰国したばっかりで考えもせず会社に入れて、しかも一番大事な経理部長に務めさせるなんて、平野グループを潰すつもりなの!?」そのような厳しい口調に叱られて、冬雪はしばらく返す言葉が見つからなかった。こんなことになるとは思わなかった。「梨乃はただまだこの仕事に慣れてないかもしれないから、もう少し時間をあげられないかな?」その話を聞いて、冬雪の母は更に怒り出して、手にあったカップもそのまま床に落ちて、バラバラになった。「あんたもいい大人だし、浮気はいつも大目に見てやってるけど、会社の利益に関わったら、もう放っておけないわ!」言い終わって、彼女は胸元を抑えて、息を整えながら続けた。「時光ちゃんはあんなにいい子だったのに、一体何を考えてるの?そんなクズ女を選ぶなんて」冬雪はその口調を聞いて、突然何かに気づいたように口を開いた。「お母さん、もしかして何か知ってるのか?」冬雪の母は顔を逸らして、何も言わなかった。冬雪は更に焦りだして、問い詰めた。「美波がどこにいるのか知ってるのか?まさかお母さんにも家出の手伝いを頼んだとか....
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第12話

美波はとっくに海外に着陸した。予め家を買ってもらっておいたおかげで、音夢はすぐに新生活に慣れて、新しい幼稚園でも友達ができた。気づいたらもう三ヶ月経った。美波も返り咲き、再び絵を描き始めて、時々スケッチしたりしていた。その日、彼女は外でスケッチしていた。したら、後ろからその聞き慣れた声が聞こえた。「美波」たった一瞬で、美波は冬雪の声だとわかった。震えた手で、絵の具の塗るところを間違えてしまった。十年間も冬雪のことを愛し続けてきたもの、冬雪のことに関して何でも知っているほど詳しかった。一瞬、その十年間の記憶がまた蘇った。冬雪は歩いてきて、興奮を抑えきれないような口調で言った。「やっと見つけた」丸三ヶ月、彼はずっと美波のことを探し続けていた。自分のすべての人脈を使って、色々な国で探し回った挙げ句、ついにこの名も無い町で手がかりを掴んだ。迷いもなく、彼は即座に駆けつけてきた。しかし、それに対して、美波は嫌そうに後ずさった。その伸ばしてきた手を無意識に避けた、彼女は冷たい口調で口を開いた。「何しに来たの?」ここで冬雪と再会するとは思わなかった。冬雪に見つからないように、彼女は両親のいる都市にすら行かなかった。慎重に考えた結果、彼女はこの名も無い町で住むことにした。まさか、結局見つけられたとは。冬雪の手は空を切って、表情も複雑になっていった。そして、少し困惑した声で聞いた。「怒り、収まった?」この三ヶ月、最初、冬雪はただイライラしていたが、時間の経過に連れ、彼は焦りだして、挙げ句、どんどん怖くなっていった。しかし無事な美波を見た瞬間、それらの気持ちは全部消え去った。美波がそんなに梨乃と自分のことを気にしているなら、少し譲歩してやろうと思い、彼は再び話しだした。「収まったら一緒に帰れ」そう言いながら、冬雪は改めて彼女に手を伸ばした。美波は戸惑った顔で、また二歩ほど後ずさった。「緒方さんと結婚したんじゃなかったの?」冬雪の顔色は暗くなっていった。しばらくしたら、伸ばした手が拳となり、彼は歯を食いしばりながら言った。「お前の勝ちだ。お前のためなら、婚約を破棄しても良い。だがこれ以上度を超えるな。家出のことに関して、今回だけは許してやる」それを聞いて
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第13話

美波は大声で怒鳴った。冬雪に怒鳴るのは、初めてだった。昔なら、彼女はいつも冬雪の機嫌を取ることで一生懸命だった。ただ、冬雪に振り向いてほしいだけだった。今手放したら、驚くことに、彼女の心にすでにあれほどの怒りを溜めたとは。「冬雪、私達の関係はとっくに終わったよ。これからもう私に関わらないでちょうだい」そう言って、美波はキャンバスを片付けて、家へ向かった。帰ったら、彼女は深い息をついて、胸元を抑えながらしゃがんだ。冷たい雫が絶え間なく頬から落ちていった。涙だった。自分はまだ彼のことで悲しんで、涙を流すのね。どれだけ自分を慰めても、十年は長すぎた。三ヶ月で、到底完全に抜け出すことができなかった。十年間、冬雪に捧げたすべては、彼女の心に焼き付いて、時間が経つに連れ、膿を持って、傷跡を残した。あれだけ忘れる努力をしてきたのに、冬雪が突然現れたことで、それらの傷はまた抉られた。どうしていつもそんなひどいことをするの?後ろからスタスタと足音がして、彼女は音夢が帰ってきたとわかった。美波はすぐに涙を拭いて、音夢にご飯を作りにキッチンへ向かった。音夢は母の邪魔をしないように、静かに机の前で宿題をしていた。宿題が終わったら、庭に遊びに行った。美波からプレゼントとして白い子犬をもらったら、音夢は気に入って仕方がなかった。犬と戯れている途中で、冬雪が現れた。いきなり目の前に現れた姿を見て、音夢はびっくりした。その怯えている目を見て、冬雪の心がチクッと痛みだした。「音夢、パパだよ」彼が音夢の前で「パパ」と名乗るのは初めてだった。予想では、目の前の子は喜んで飛びついてくるはずだったが、彼女はただ淡々と立ち尽くして、その目から昔のような期待は全く見えなかった。長い沈黙の後、音夢は口を開いた。「他の娘、できたんじゃないの?」あっさりした言葉はパンチのように、冬雪の顔面に食らわした。心の底からの痛みがどんどん広がってきて、彼の胸元まで伝わった。返せる言葉が見つからず、しばらく唖然としてから、彼はなんとか自分の気持ちを言語化した。「昔はパパが悪かったんだ。ごめんな。許してくれないか?」このように優しい口調で彼女に話すのも初めてだった。音夢は頭を下げていて、涙を目に溜めた。所詮、
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第14話

冬雪は顔色が変わった。会社が大変なことになってるって?そんなはずが……彼は電話を切ってから、未練げな目で美波を見た。「会社での用を済ませたら、また来るから」帰国した後、冬雪はすぐに会社に駆けつけた。着いたら、株主も何人かその場にいた。その真中にいる冬雪の母は、海底よりも暗い顔色をしていた。「クラウドヤードプロジェクトの財務諸表にとんでもないミスがあったっていうのに、あんた、何してるの?」冬雪は口を半開きにした。クラウドヤードプロジェクトは今年の一番大事だプロジェクトだった。株主も分厚い財務諸表をそのまま冬雪に投げた。「ちゃんと見てみなさい!」財務諸表を開いたら、様々なミスを目にして、冬雪は顔をしかめた。そして、書類の最後に書いてある「責任者:緒方梨乃」という一行が目に入って、彼は青ざめた。株主はドンドンと机を叩きながら非難した。「会社を平野社長に任せたのは、社長の能力を信じていたからです。しかしまさかあんな奴を経理部長にするとは、大事なプロジェクトまで潰されるところだったんですよ。必ずあいつに責任を取らせないと!」冬雪も曇った顔だった。しばらくしたら、彼はやっと口を開いた。「きちんと調べてもらいますから。もしかしたら何かの誤解かもしれません」株主は更に怒り出した。「誤解ですって?あの緒方梨乃に関して、もうきちんと調べたんです。海外に留学してたとはいえ、ろくな大学でもなかったし、卒業してから、体目当てのじじいに養われてばっかりで、自分じゃ全然働いてなかったんです。面だけの女なんですよ!それなのに部長にするなんて、悪魔にでも取り憑かれたんですか!?」初めてこのように散々責められて、冬雪はプライドが踏みにじられたような気分だった。もう証拠を見せられたし、梨乃を庇おうとしても無駄であろう。「彼女を部長から降ろしますよ。責任は俺が取りますから」これほどのミスに責任を追及されると、梨乃は耐えられなくなってしまう。もう婚約破棄を決めた以上、他の面でこの帰国したばかりの母娘に気を配らないとと、彼はそう思った。しかし、株主の言った「体目当てのじじいに養われてばっかり」とかいう話に関して、冬雪は全然信じなかった。株主が帰ってから、まだ意地を張っている冬雪を見て、冬雪の母は腹が立っ
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第15話

「冬雪?」梨乃はびっくりして、急いで電話を切った。「どうして急に帰ってきたの?」冬雪は曇った顔で彼女を見つめていた。その体に、まだ酒の匂いが漂っていた。「帰ってほしくなかった?」彼は酒が入ったと察して、梨乃はすぐにコートを脱いであげた。「そんなわけ無いでしょ。ただびっくりしただけ。帰るなら事前に電話してほしかったよ」冬雪は情のない目で彼女を見つめて、いきなり彼女の首を締め付けた。「お前が好きなのは俺か?それとも俺の金か?」梨乃は壁に押し付けられて、驚きで顔が真っ青になった。そこで彼女は気づいた。冬雪は恐らく何か知ってしまったと。彼女は顔を上げて、可憐な目で冬雪と見つめ合った。「もちろんあなたよ。そうじゃないと、会いに来るためにわざわざ心愛を連れて帰国などしなかったわ」動じない冬雪を見て、梨乃はいっそ彼の首に腕を回した。「この一生、愛するのは冬雪一人だけだわ。私達、お互いにとっての初恋でしょ?忘れるわけないよ」破綻のない演技に、真に迫るほどの作り泣き。冬雪は一瞬だけ動揺したが、結局力強く彼女をソファに引き落とした。「もういい、そんな芝居はもうやめろ!」梨乃は更に慌ててきた。また何か言おうとしたところで、冬雪に無情に話を遮った。「自分が何をしたか、お前自身が一番わかってるだろ。まだ粘るつもりなら、もう容赦しないぞ」それを聞いて、梨乃は怯えて、何も言えなかった。さっきまで二階で寝ていた心愛はその声に起こされて、すぐに駆けつけて冬雪に飛びついてきた。「平野パパ、わたしを捨てるの?」昔なら、心愛のそのような表情を見たら、冬雪はいつもすぐに慰めていた。しかし今、彼は心愛を見ると、逆に音夢のことを思い出した。あの自分のことを「パパ」と呼ぶことすら罪とされた子のことを。きっと辛かっただろうな。冬雪は心愛を押しのけて、警告しているように言葉を吐き出した。「今日から、もう『平野パパ』って呼ぶな。お前の母とは結婚しないんだ」梨乃は信じられないような顔で彼を見た。そして、冬雪は無慈悲にこの関係の終わりを告げた。「三日以内に、この家から出てけ」それを聞いた心愛はギャーギャー泣き出した。彼女は冬雪のズボンの裾を掴みながら、彼に拳を振り続けた。「悪者!なんでママを捨てるの?あの
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第16話

海外で。冬雪が帰ってから、母娘はいつも通りの日々に戻った。美波はいつものようにスケッチをしていて、音夢はいつものように幼稚園に通っていた。阿吽の呼吸のように、誰も冬雪に関する話をしなかった。しかしその日、美波はいきなり「あなたの絵が買いたい方がいる」という連絡が来た。確かに、彼女の絵はギャラリーで展示されているが、この町に芸術に興味を持つ人はほとんどおらず、絵を買いたい人がいるとはどう考えても妙だ。おかしいと思いながら、美波はギャラリーに着いた。そしたら、ギャラリストの隣に立っている冬雪の姿が目に入った。彼は静かに美波の絵を鑑賞していた。その昔とは変わらない横顔を見て、美波に捨て去られたはずの記憶がまた蘇った。昔、冬雪がそのように真剣に自分の絵を味わったことは一度もなかった。自分に一切の興味も示さなかったのだから。冬雪にまつわる絵は、彼女は数え切れないほど描いてきた。なのにどれも彼にゴミのように扱われた。しかし今、冬雪は宝物のように、自分とは何の関係もない絵を手に持っていた。「時光さん、この絵が買いたいんです」彼とは関わりたくないから、美波は断った。「すみません。この絵は非売品なので」どうして冬雪はそこまで自分に執着なのか、彼女には理解できなかった。昔はあんなに自分のことが嫌いだったのに、今はわざわざ海原を越えてまで会いに来るとは。ギャラリストは彼女を引き止めた。「この方は時光さんの絵がすごく気に入ってくださいまして、千五百円で買いたいとおっしゃいましたよ」美波は揺らぎなく首を横に振った。「売りませんわ」そう言って、彼女は帰ろうとした。後ろから冬雪の声が届いてきた。「三千」彼は近づいてきて、視線を美波の身から離さなかった。「四千、六千、七千でもいいぞ」美波は困惑しながら彼に目を向けた。「それほど人気な画家でもないし、そんなに値しないと思うよ」冬雪は思わず返事した。「いや、値する!」少し間を置いてから、彼は悲しみを帯びた口調で続けた。「君は家にあった絵を残らず燃やしたし、ただ、君に関係するものが欲しかっただけだ」冬雪は半泣きで話していた。そのような彼を見て、美波は突然ふふと笑い出した。「いいよ。じゃ一億五千円で」迷いもなく、冬雪は
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第17話

美波がギャラリーから出ていった時、冬雪はやはり悔しくて、追いついてきた。彼女を引き止めたら、自分の本気さを証明しようとしているように、彼は口を開いた。「俺はもう梨乃との婚約を破棄したんだ!」美波は少し驚いた。昔、あんなに梨乃に惚れ惚れで、彼女のために十年も待ち続けてきたのに、今やそんなにあっさりと婚約破棄したとは。しかしすぐに、彼女は理性を取り戻し、冷たい目つきで冬雪を押しのけた。「私と何の関係があるの?」もう関わらないと決めたのだから。冬雪が誰と結婚しようが、誰との婚約を破棄しようが、彼女とはもう何の関係もないのだ。美波は全く気にしていないのだ。その冷たい目はナイフのように、冬雪の心に刺さった。彼は尚諦めず、しつこく美波の道を塞いだ。「そんなに俺を恨んでるのか?」美波が彼の顔を見て、色々な感情が心の中で渦巻いた。最後、彼女はただ首を横に振った。「いや、恨んではいないわ」美波は静かに言った。自分も驚くほどの静かさだった。「私は、冬雪のことが大好きだった。だから、例えあなたに愛されなくても、何も求めずそばにいてあげてた。それは私のわがままで、恨むことはないわ。ただどれほど強い愛だとしても、いつかは枯れてしまう。その感情で、私は辛くて、苦しくてしょうがなかった。もう疲れたの。だから、そんな愛は手放したわ」今、彼女はその愛を諦めて、冬雪への感情を全部置き去りにした。自分で選んだ道は、自分で終わりにする。だから、恨んではいなかった。恨みのような強い感情を、彼女は冬雪に向けたくなかったのだ。言い終わって、彼女は車に乗って、振り向かずに去っていった。冬雪はその場に立ち尽くして、拳を握りしめた。そして、隣の木に向かって力強く振った。一瞬で、拳は血まみれになった。長らくしたら、冬雪は鼻の奥がツーンとなった。悔しさに包まれ、彼はぶつぶつと独り言を言った。「いや、そんなはずがない。いきなり手放したなんて……」どうしてだ?あれは十年だぞ。十年も続いてきた感情だぞ。簡単に手放せるわけがない。当日の夜、冬雪はまた美波の家の前に現れた。夜風が身に沁みた。夜の帳が下りてから、寒さが更に増した。冬雪は薄着で、うさぎのぬいぐるみを手に持ち、カスカスな声で音夢の名前を呼ん
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第18話

その日、美波は深夜にも関わらず、音夢を連れて両親にいる実家に帰った。時光家は周りの警備員に囲まれて、彼女の許しがない限り、冬雪は永遠に入ることができなかった。翌日、冬雪がまた来た時に、庭にも家にもすでに二人の姿がなかった。そこで、彼は自分がまた捨てられたとわかったのだ。恐怖と怒りが胸元まで湧いてきて、冬雪は狂ったようにスマホを取り出し、平野グループの海外でのすべての人脈を使って、どんな手を使っても見つけるよう言いつけた。まだ彼女たちの許しをもらっていないのに、ここで諦めるわけがない!一方、時光家で。美波は机の上に置かれた様々な男性の写真を見て、苦笑しながら言った。「お母さん、音夢はまだ子供だし、今はまだそんな気分じゃないのよ」美波の母は全く気にしていないようで、主張を固めた。「全員厳選で決めたのよ。みんないい男性だし、子持ちのことにも気にしてないし、ほんとに気に入る男、一人もいないの?」美波は絶句して、軽く側頭部を揉んだ。きっと最後は母には勝てないと思い、彼女は適当に選んだ。「この方にしよう」美波の母は喜んで手を叩いた。「いいね。この方はね、名門大学の卒業生で、芸術専攻だったのよ。美波ともきっと気が合うわ。それにイケメンだし。今すぐに待ち合わせの時間を約束してあげるわ」翌日、美波はカフェで座って、向こうの人に目を走らせた。「小林山彦(こばやし やまひこ)さんですか?」向こうの男性が頷いたのを見て、美波は単刀直入に言った。「あの、親に言われたから来てみたんですけど、実は新しい恋を始める考えはまだなくて……」山彦はわずかに眉を上げて、そして紳士的に言った。「じゃあ、今日は簡単な食事だけして、お互いの親に安心させましょう」結構いい人ね。そう思い、美波はほっとした。話している間、店員は料理を持ってきた。しかし酒を注いでいる時、酒がグラスから溢れてしまい、不運なことに、山彦の服を汚してしまった。店員はすぐに猫なで声で謝った。「すみません、すみません。わざとじゃなくて……」聞き覚えのある声を聞いて、美波は驚きながら顔を上げた。「緒方?」どうしてここの店員をやっているの?梨乃の動きが一瞬止まって、同じく驚いた顔で彼女を見た。その目から隠しきれない憎しみが見えたが
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第19話

言い終わって、美波は振り返りもせずにお手洗いから出て行った。意外と楽しい食事会だった。終わりの際、山彦は自ら美波を家まで送ってあげると提案した。美波は断ろうとしたが、その親切な目を見て、結局断れず、敗北を認めた。家に着いたばかりで、冬雪の姿が目に入った。彼女は驚かなかった。いずれまた見つけられるのも予想内だったから。知らない男の車から降りた美波は、それを見た冬雪にとってあまりにもショックだった。「美波、そいつ、誰だ?」山彦も同じく警戒している目で冬雪を見据えた。美波は嫌そうに口を開いた。「冬雪、私達の関係はもう終わったよ。もうあんたの顔なんて見たくもない。音夢もそう思ってるわ。そんなことしても無駄よ」冬雪はそれを聞いて、慌てて美波の手を掴んだ。「いやだ。終わらないで!今ようやくわかったんだ。本当は君のことが好きだって。もっと早くわかればよかった。昔は俺がバカすぎた。君と音夢を傷つくべきじゃなかった。もう一度チャンスをくれないか?」美波はイライラしてきて、いっそのこと、隣の山彦に指差した。「ごめんね。もう彼氏ができたの」山彦は一瞬戸惑ったが、すぐに彼女に合わせて、冬雪に向って言った。「わかったか?美波はもう新しい生活を始めたんだ。もう君のところには戻らない。永遠に」その話を聞いて、冬雪は怒りが抑えられず、彼の顔にパンチを食らわした。まさか冬雪は手を出すとは思わかなかったから、美波はびっくりして、すぐに彼を止めた。「何してんのよ?」冬雪の目には恨みがいっぱいで、山彦を睨んでいた。まるで正気を失ったライオンのように。「美波は俺のものだ」山彦は口角から滲み出た血を拭って、痛みを堪えながら、笑い出した。そして美波に言った。「今よくわかったよ。なんであいつから離れたのか。確かに、こんな男は、捨てたほうがいいね」その言葉に怒らせられた冬雪は、また手を出そうとしたが、家の前にいる警備員に素早くねじ伏せられた。申し訳ないと思い、美波は山彦を見て言った。「私のせいで怪我したし、家に入って。薬を塗ってから帰ろう」冬雪はまた何か言おうとしたが、美波はすでに聞く気もなかった。彼女は冷たい眼差しで冬雪を睨んだ。「もしまた家の前で人に手を出したら、なんとかして強制送還してや
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第20話

実はここに来てから、彼女はすでに梨乃について調べてもらった。そこで、梨乃が海外で犯した様々な前科を知った。殺人という前科さえ。彼女が殺したのは、自分の最初の夫で、八十歳以上の年寄りだった。その年寄りが梨乃のベッドで亡くなってから、すべての遺産は梨乃に継承され、彼女はその遺産で一時期、享楽にふけた。しかし金遣いの荒い彼女は、あっという間に遺産を使い切った。それで、彼女はまた他の財布に慣れそうな男を落として、長年続いたら、元カレの数は八人ほど増えた。最終的に、梨乃が海外で買った恨みは数え切れないほどあった故、仕方がなく、帰国して、冬雪の元に戻った。だが、まさか結局冬雪に追い出されたとは思わなかった。彼女のような金遣いの荒い人は、レストランで稼いだ金で満足するわけがなく、そんな彼女の次のターゲットは山彦だった。山彦が彼女の話を聞いて、感心した。「どうやら運が良かったようだな。時光さんのおかげで、絡まれずに済んだ」しっかり自分の忠告に耳を傾けた様子を見て、美波もほっとして、彼を扉の前まで送った。その時、冬雪はまだ家の前にいた。さっきよりかなり落ち着いたようで、彼は美波の手を取った。「ちょっと話そう?」その手はすぐに美波に振り払われた。「話すことないわ」彼女はただ冬雪に一切関わらずに、今の生活を大事にしたいだけだった。それを聞いて、冬雪は目を濡らして、辛そうな顔をして彼女に泣きついた。「ただ座って、ちゃんと話すだけでもダメか?」美波は納得しなかった。ここで彼の未練を断ち切らないと、そう思い、彼女は冬雪に何一つも譲歩しなかった。そうでないと、彼は死ぬまで音夢と自分に絡んでくるであろう。彼女は無情に家に戻って、扉が再び閉じた。扉の外で、冬雪が一人で立ち尽くした。深夜になるまで、冬雪はどこにも行かなかった。彼は粘り強いラクダのように、その方法で自分の本気さを証明したくて、美波が会いに出てくれるまでどこにも行かないと宣言した。屋内で、外からの雨音が美波の耳に入って、イライラする気持ちがまだ晴れないままだった。家政婦はちらっと監視カメラを見て、美波に言った。「お嬢様、平野さんはまだ行く様子がありません」冬雪がそこまで粘るとは思わなかったから、美波の両親も眉を顰めた。そして
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