「キャー!」道端に立っている梨乃もびっくりした。ただ美波に痛い目を遭わせたいだけだったが、まさか事故になるとは思わなかった。まだ道中に倒れている美波を放っておいて、梨乃は考えもせずに現場から逃げた。何周転んだか、美波は視界がどんどんぼやけていって、意識も遠ざかっていった。いつの間にか、もう病院にいた。もう一度目が覚めた時、病室のベッドの横に、彼女の両親と娘が立っていた。「目が覚めたのね。具合はどう?」美波は包帯でぐるぐる巻きにされている頭を抑えて、頭から激痛が走った。美波の母は慌てて彼女の体を支えて、横にした。「脳震盪だって医者さんが言ったけど、大怪我にならなくてよかったわ。お母さん、心配してたわよ。何があったの?どうしていきなり事故に……?」梨乃の顔が美波の頭に浮かんだ。「緒方梨乃だわ」彼女はあの時、遭ったことをすべて話した。それを聞いて、美波の父は怒りのあまり、椅子から立ち上がった。「なんてこと!この件、このままじゃ済ませない。必ずあいつに代償を払わせるからな!」そう言って、彼は病室から出ていって、電話をかけた。このことを知ったばかりの冬雪は駆けつけてきたら、病院の廊下で、病室の前にいる美波の父とバッタリ会った。怒りの炎がメラメラと燃えながら、美波の父は険しい顔つきで彼を睨んだ。「よくも来たな?」睨まれて、冬雪も足を止めた。ただ心配そうな顔で聞いた。「美波はどう?」美波の母も彼を通らせないように、病室の前で道を塞いだ。「美波の心配より、その婚約者のことをしっかり見とけば?」彼らはまだ冬雪が梨乃と婚約破棄のことを知らなかった。故に、当たり前のようにすべての元凶は冬雪だと思っていた。「あいつのせいで、美波がこんなことになったのよ!」冬雪は口を半開きにして彼女を見た。「緒方梨乃?」梨乃だったのか!?少し信じられなかったが、彼はすぐにこの件を調べてもらった。当日、彼は事故現場の監視カメラに収まった映像をもらった。その中にははっきりと梨乃が美波を横断歩道にぶっ飛ばして、そのせいで美波が事故に遭ってしまった光景が映った!冬雪はその映像の中で車にぶっ飛ばされた美波を見て、両手が力強くアイパッドを握りしめ、止まらず震えていた。本当に彼女だったのか!
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