「!?なんの冗談だ……」大介は自分の耳を疑った。「冗談じゃないわ。昨日、あなたに置き去られた悠治は人生を諦めました」「その誤解されそうな言い方をやめろって言っただろ……」大介の無力な抗議を無視し、悠子はひとため息をついて、真面目そうに続けた。「十数年の引きこもりで、雪枝を守ることだけが生きがいの彼は、あなたへの復讐に全てをかけていました。なのに、あんな無惨な形で終わらせてしまって、彼にとってどれほどショックのことなのか、あなたにも分かるでしょう」「分からないんだ……変態シスコンの考えなんて」「とにかく、彼が生きる意欲を失ったから、私はこうして外に出なければなりません。昨晩から一生懸命生きる理由を探し続けていた結果―――あなたへの恨みというピンポイントが浮かび上がりましたわ」「なんでオレへの恨みが生きる理由に繋がるんだ!」(あまりにも理不尽だろ!)大介の喉は不平で燃やそうになる。「本来なら、雪枝の幸せを守ることにすべきだったけど、雪枝は今、あの身分詐欺彼氏とラブラブじゃないですか。悠治がそれを思い出すだけで余計につらくなって、死にたくなるの。ですから、しばらく彼の思考の焦点を雪枝から逸らす必要があります」「だから何故オレなんだ……?」「事情がおかしくなったのは、あなたが現れてからです。とにかく、私はあなたがすべての元凶という暗示を自分にかけました。この暗示は悠治の潜在意識にも影響します。これで、あなたへの復讐心は、彼の生きる意欲へと繋がるでしょう」もう聞いていられない、大介は床を叩いで起き上がった。「逆恨みでもほどがある!あいつは生きる意欲がないなら、それでいいんじゃないか!お前がいるし、その体はもうお前一人のものでいいだろ!」「そんなのできませんわ」悠子は目を伏せてに頭を横に振った。「悠子は、悠治が生きるために必死に生みだした人格。もし、彼は完全に生きる意欲を失ったら、この悠子の人格も長く存在できないでしょう」「……」人助けのために、自分が悪役に
Last Updated : 2025-06-04 Read more