Semua Bab 仄暗い灯が迷子の二人を包むまで: Bab 11 - Bab 20

53 Bab

第10話 仲直り

 結局、マンションに帰ってきたのは0時過ぎだった。 失恋記念と称して飲みに付き合った結果だが、その割には早く帰ってこれたと思う。楓の強メンタルに驚くばかりだ。 (きっと俺に気を遣ってくれたんだ。これからも友達でいたい、なんて言ったから)  とても傷付いたはずなのに、直桜に気を遣える楓は強いと思うし、これからも良い友達でいたいと思う。  なんとなく沈んだ気持ちを引き摺ったまま、直桜はキッチンに向かった。お土産に買ってきたプリンを冷蔵庫に入れておきたかった。 (化野がプリン好きか知らないけど。そういえば、化野の好みって知らないな)  夕飯も別の時が多いし、何が好きかなんて知らない。 私服も見たことがない。いつもスーツで髪を綺麗に後ろに流して、眼鏡をしている。そんな姿しか、見たことがない。 (一緒に住んでるはずなのに、化野のこと、何も知らないんだな)  部屋からキッチンへ続く廊下に出る。 キッチンと向かいの風呂の扉が開いて、誰かが出てきた。 濡れた髪を拭きながら上半身裸の男が目を細めて、こちらを見ている。 細い割に引き締まった体と高い身長、整った顔立ちは、まるで有名人のようだ。 (誰⁉ このモデルみたいな男、誰だ⁉ ここには俺と化野しか住んでいないはず)  あまりに驚いて、声が出ない。 凝視していると、男が声を発した。 「瀬田くん、おかえりなさい」  その声は、まぎれもなく化野だった。 「……え? 化野、なの?」  思わず呆けた声が出てしまった。 化野らしきイケメンが目を擦って、再度直桜を凝視
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-04
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第11話 初めての朝

『お前は特別な子だよ、直桜。その身に最高神を宿せる。神降ろしができる子は集落でも数少ないんだ』 「嫌だ。俺はそんなの、望んでない。神様なんか、いらない」 『神降ろしをしろと教えただろうに。神喰いなど、恐れ多い。顕現させた神を止めるから生神なのに、神を体内に喰らったら、何の意味もない』 「言われた通りにしただけなのに。直日神は内側に宿ることを望んだから。魂が繋がれば直桜の負担も少ないって、直桜ならそれができるって、神様がそう言ったのに」 『異端、忌子、災禍の種。何故、教えた通りにしなかった。人が神の力を得るなど、恐ろしい。お前はその力を使ってはいけないよ。きっと災いが起こる、きっとだ』 「そうか、俺の存在が災いなんだ。これだけ集落が騒いでる。力を使わなければ、普通に埋もれて生きれば、きっと何も起こらない。きっと、平和だ」  昔々の出来事が、走馬灯のように頭の中を流れていった。 (……夢、か? 久々にみた。あの時、俺を災いと呼んだのは、誰だったか)  呪詛でもかけるように囁いた女は、まるで直桜の存在を卑下した声で、顔で、笑っていたと思う。 (気分、悪ぃ。久しぶりに神力を使ったせいか。もう、忘れていたのに)  カーテンの隙間から木漏れ日が差し込んでいる。鳥の鳴く声が朝を告げていた。 気分が悪くて寝返りを打ったら、やけに端正な男の顔が目に入った。 (あれ……、化野? あれ、あれ⁉)  状況が理解できずに頭の中が混乱している。 (昨日は楓と飲んで帰って、風呂上がりの化野と話を……、プリン食べて、えっと) 
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-05
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第12話 不穏なピロートーク

 黙り込んだ直桜の髪を、護の指が何度も撫でる。 「反魂儀呪《はんごんぎじゅ》、という反社会的組織を知っていますか?」  ざわり、と心臓が嫌な音を立てた。 どくどくと、一度一度の拍動が大きく耳に付く。 「禁忌の反魂術で御霊を召喚し、|人《器》に流し込んで霊力の高い術師を強制的に作り出す。輪廻転生したはずの偉人の魂すら呼び起こす。他にも都市伝説のような術を行使して自然の摂理を壊すと噂される、13課が追い続けている反社です」  その術はまるで惟神を生み出す集落の術法と酷似している。 違うのは人の御霊を降ろすか神を降ろすか、それだけだ。なのに、祓戸大神だけは合法で、人の御霊は禁忌になる。 桜谷の集落が忌み嫌い敵視する組織だった。 (俺を異端と呼んだ女は多分、反魂儀呪にいる。集落の術法を盗んで、転用している)  長らく忘れていた過去が、頭の中に溢れてくる。 手が、小刻みに震える。護の服を強く握った。 「反魂術自体、成功率が低い眉唾物の術ですが……、直桜? 怖くなりましたか?」  護の腕が直桜の体を包み込んだ。 「大丈夫、だから、続けて」  護の胸に顔を埋めて深く息を吸い込む。 最近になって嗅ぎ慣れた香りが流れ込んで、気持ちが落ち着いた。 「不定期で行われる彼らの集会に踏み込んだ時、凡ミスで私の血を大量に浴びた彼は、そのまま息を引き取りました。私が殺したようなものです」「違うよ」  自分でも驚くほど、低い声が出た。 実際、どんな状況だったかなんて、知らない。だけど。 体質を勝手に隠して勝手に血を浴びて勝手に死んだ。直桜にはそ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-06
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第13話 バディに内緒のお出かけ

 川越の駅に着き、ロータリーを降りる。 キョロキョロしていると、目の前の車の窓が開いて清人が顔を出した。 「直桜、こっちこっち」  促されるまま車に乗り込む。 「護と一緒じゃなくて、本当にいいの?」「化野なら事務所で仕事してるよ。俺は大学に行ってることになってるから、口裏合わせてよね」「ふぅん」  車を走らせながら、清人が鼻を鳴らした。 「バディに隠し事なんて、悪い子だなぁ。もしかして、本気でこの仕事、続ける気になっちゃった感じ?」「……わからない」  呟いた直桜を、清人が笑みを収めてちらりと覗いた。 「わからないから、確かめに行く」  直桜の顔を眺めていた清人が、わしゃわしゃと乱暴に頭を撫でた。 「いいよ、今日は俺が付き合ってやる。俺も直桜に聞きたいことが、あんだよね」  スピードを上げた車が、川越の郊外に向かって走り出した。 清人が案内してくれたのは、古い住宅街の中にある一軒の空き家だった。 「もっと仰々しい場所でやってるもんだと思ってた」  中に入ると、崩れかけた壁がむき出しになっている。扉が半分外れてぶら下がっていたり、窓ガラスが割れていたりと、とても人が住める状態ではなくなっていた。 「正式な儀式なら場所を選ぶけどねぇ。反魂儀呪がやってる呪術は人の生活が近い場所の方が都合がいいのよ。邪魅が集まりやすいし、··に紛れやすい」  清人が意味深な笑みを向ける。 気付かない振りをして、直桜は目を逸らした。  軋
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-07
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第14話 半年前の落とし物

「化野に掛けられた呪詛の根源は、この石。でも別に、化野を狙って掛けた呪詛じゃない。恐らくその日、全国でほぼ同時に始まった反魂儀呪の集会では、同じ実験が行われていたはずだ。人の霊を使った呪詛で人を呪う実験」  握っていた石を、清人に手渡した。 「必要なのは、大量の邪魅とそれなりに霊力が高い人間の霊、それに血液。血は穢れているほど望ましい。それらの条件を、化野と前のバディは、偶然に満たしてしまった。だから、化野は呪詛を負った。それだけの話だよ」  直に手渡された呪詛の石を清人が布に包み、厳重に箱に仕舞う。 「直桜って力が強いだけじゃなくて、博識だねぇ。特に反魂儀呪には詳しいように見えるんだけど、気のせいじゃないよな?」  探りを隠さない清人の目が、直桜を見詰める。 今更、清人に何を隠そうとも思っていないので、構わないが。 「集落に秘されている俺が、何で関東の大学に通わせてもらえたんだと思う? 反魂儀呪は集落にとっての汚点。探りを入れて、あわよくば潰したいってのが集落の本音。拠点が関東にあるのは、わかっているからね」  言ってみれば、交換条件だ。 反魂儀呪について調べた結果を集落に報告する。それを条件に、直桜は大学という四年間の自由を手に入れた。 直桜にとって全くの解放でなかったとしても、集落を離れられるのであれば、それでも良かった。 「集落が課したミッションをクリアすれば、俺は晴れて自由の身……とまではいかなくても、せめてこっちで好きな仕事させてもらえる程度の自由は得られるワケだよ」「なるほどね。13課に席を置いておいた方が有利な気がするけど?」  したり顔の清人をため息交じりに一瞥する。 「怪異に関わる仕事は嫌だし、陽人に関わるのも嫌だ。俺は普通の仕事をして、
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-08
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第15話 バディの婚姻制度

 帰りの車の中で、清人が軽い調子で直桜に問い掛けた。 「護の前のバディのことは、聞きたくないか? あの集会で、未玖がどんなふうに死んだのか。どんな人間だったのか、知ってた方が魂魄も祓いやすいと思うけど。それとも、もう護に聞いた?」  コンビニで買ったコーヒーをチビチビと飲みながら、直桜は窓の外に目を向けた。 清人の言う通り、聞くべきなのは、わかっている。 今のままでは情報が少なすぎて、対処しづらい。 「聞いてない、けど、聞きたくない。……聞いた方が良いんだろうとは、思ってる」  最後の言葉は、声が小さくなった。 「直桜って、そういうとこガキだし、わかりやすいな。大事な話なのに、自分から全然聞いてこねぇもんなぁ」  清人が面白そうに笑うので、余計に聞きたくなくなった。 直桜の表情を横目に見た清人が、仕方ないとばかりに息を吐いた。 「護は未玖に恋愛感情、無かったよ。バディ変えてくれって相談されてたくらいだし」「それは、ちょっとだけ、化野に聞いた」  車は駅方面ではなく、環状道路に向かって走っている。 岩槻まで送ってくれるつもりなんだろう。時間はたっぷりありそうだ。 「清人は化野がゲイだって、知ってるんだ」「知ってるよ。未玖の前の護のバディ、俺だもん。あ、俺はバイだけど、別に付き合ったりはしてないから、安心するように」  思いっきり振り返った直桜に、清人が悪戯な笑みを向けた。 (さすがに俺だって、化野の過去の恋愛にまで嫉妬したりしないけどさ)  相手が清人となると、ちょっと話は変わる。先に釘を刺してくる辺り、大変清人らしい。 
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-09
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第16話 一カ月記念

 結局マンションに着いた頃には、暗くなっていた。 清人は都内在住らしいから、今から帰るのも大変だろうと思う。埼玉は道が混み過ぎだ。 (電車で帰ってくればよかったかなぁ。けど、色々話が聞けて、俺的には良かった、かも)  玄関の扉を開けて、部屋の前に立つ。事務所から戻ってきた護と目が合った。 「おかえりなさい、直桜」  にこやかに挨拶してくれた護の表情が、急に険しくなった。直桜に顔を寄せて、クンクンと匂いを嗅いでいる。 「清人さんの匂いがしますね。もしかして今日、一緒でした?」  ビクンと肩が跳ねた。 (なんでわかんの。匂いって、何? 鬼って鼻も利くの?) 「今日は大学に行くって、言っていましたよね?」  思いっきり疑いの目を向けられて、たじろぐ。 「うん、そうなんだけどさ。大学の後、ちょっと清人に会って、ちょっと話したりとかした感じ、というか、うん」  別に隠す必要もないのだが、行った場所が場所なだけに黙っておきたい。 じっと直桜を見詰めていた護が、ふいと顔を逸らした。 「そうですか。清人さん、こっちに来ていたんですね」  キッチンの扉に手を掛けて、護が振り返る。 「夕飯は済ませましたか? まだなら、たまには一緒にいかがです?」  振り返った護の表情は、穏やかに戻っていた。 「うん、一緒に食べる」  一緒にキッチンに入ると、既に支度が済んでいた。 何となく豪華な食事が並んでいる。 
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-10
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第17話 直日神との契り

 化野護は項垂れていた。 ベッドに降ろした瞬間、直桜が眠ってしまったからだ。 「こんなに酒に弱かったとは。あの日、自分で帰ってこられたのは、奇跡ですね」  友人にキスされたと打ち明けてくれた日の直桜も酔っていた。 「邪魅は近寄っただけで打ち消してしまうのに、アルコールには勝てないなんて、とんだ神様です」  親指の腹を唇に滑らせる。 熱く湿った粘膜が指に吸い付く。 ゾクリと背筋がざわめいて、指を離した。 「さすがに寝込みを襲う気には、なれませんね」  すっかり鬼化も解けて、滾った熱も落ち着いた。 キッチンに置いたままの眼鏡を取りに行こうと立ち上がりかけた時、直桜の手が護の服を掴んだ。 「直桜? 起きました、か……」  のっそりと起き上がった直桜の顔が緩やかに笑んで、護を眺めていた。 「酒は古来より神が好む。どんな毒も薬も直桜には効かぬが、酒は良いものだ。酔う心地よさは教えてやらねばな」  表情も、話し方も抑揚も、全部直桜ではない。 別の誰かが話しているのだと、すぐに感じ取れた。 「貴方は、誰、ですか」「直桜の中に居る神は一柱。直桜を守り、直桜に守られる神ぞ。滅多に表には顔を出さぬが、話をしてみたくなったのよ。懐かしい、化野の鬼とな」「直日神……」  護はその場に、座り込んだ。 直桜の顔をした神様が、護の前にちょこんと座る。 「それで、どうだ? |己《うぬ》は直桜を今生を掛けて守る気になったか?」  突然の問いかけに、動揺を隠せない。 
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-11
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第18話【R15】ご褒美

 小さな子供が泣いている。それが自分だと何となく気が付いた。 知らない土地で、いつも周囲にいる大人は何故かいなくて、心細くて動けなくて、一人で立ち尽くして泣いていた。 「君、どうしたの? 迷子になっちゃったの?」  少し年上の男の子が、手を握ってくれた。 その手はとても冷たかったけど、泣いて熱くなっていた手を冷ましてくれた。 その冷たさが妙に安心できた。 「わからない。急に誰もいなくなっちゃって」  しゃくり上げて上手く話せない直桜の手を掴んで、木陰に連れて行くと、男の子がしゃがみこんだ。 「じゃぁ、ここで俺と一緒に待っていよう。迎えが来るまで、一緒にいるよ」  直桜は頷いた。 待っている間、男の子はいろんな話を聞かせてくれた。 酒呑童子の話、桃太郎の話、百済の妖怪の話。どれも鬼の話ばかりで、鬼目線の昔話はかなり新鮮で面白かった。 話している間、男の子はずっと直桜の手を握っていてくれた。 「ねぇ、僕たち、友達になれるかな。また会えるかな」「君はどこに住んでいるの?」「僕は、滋賀の集落。今日は特別に、京都まで連れてきてもらったんだ」  男の子の表情が、少し暗くなった気がした。 「君は、京都の人? この辺りに住んでいるの?」「うん、俺はずっと京都だよ」「僕、友達がいないんだ。だから、仲良くしてくれたら、嬉しいな」「俺でいいの? 俺は小倉山の……」「君が良いよ。君のお話、面白いから、もっと聞きたい。それにね、手を握ってくれて、すごく安心する」「そっか。そんな風に言われたことないから、俺も嬉しいよ。もっとずっと、握っていようね」「うん。ねぇ、君の名前
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-12
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第19話 【R18】初めては鬼の手で

 くちゅりぴちゃりと水音が響き渡る。 舌が絡んで唾液が流れる。 化野の手が、硬く勃った直桜の陰茎を扱く度、先走りが流れ落ちて鬼の手を汚す。「すっごいガチガチ。俺の咥えて、興奮した?」 口付けたまま話されると、唇が震えて痺れる。「だって、護が、気持ちよさそうで……」  すごく嬉しかったから。 蕩けた声も、顔も、可愛かったから。 優しい手に包まれて扱かれるのも、すごく気持ちがいい。「うん、気持ちよかった。直桜も気持ちよさそう。すごく可愛い」 化野の舌が、乳首を舐め挙げる。 思わず腰が浮いた。「ここ、好き? いっぱい、舐めてやるよ」 舌先で弄られて、無意識に体がビクつく。「ぁ、やっ……気持ちい……」 その間も手は容赦なく直桜の男根を扱く。「んっ、ダメ、護……、もぅ、出っ……」 化野が顔を上げた。 直桜を見下ろす鬼化した顔には愉悦が滲む。「イっていい。何回でも、イかせてやるから」 手の動きが早くなって、腰に痺れが走った。 浮き上がろうとする腰を抑え込まれる。 ぐいぐいと先をいじられて、体のビクつきが止まらない。「もっ、出るっ」 重い快楽が体から抜けていく感覚が走って、腹の上に熱い精液が飛び散った。「ぁっ、はっ、はぁ……」「イキ顔、可愛い」 直桜の頬に、口に、首に口付けを落としながら、化野の指が出した精液を絡めとる。その指を尻の穴に当てた。 ドキリとして、身が竦む。「直桜、息を止めないで、力を抜いて」 耳元で囁かれて、力が抜ける。吐息のくすぐったさが心地よい。 化野の指が中に入ってくるのがわかった。「ぁ……、あっ!」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-13
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