All Chapters of 仄暗い灯が迷子の二人を包むまで: Chapter 51 - Chapter 53

53 Chapters

第50話 13課の生きる伝説

 剣人の手を握ってみて、呪具である刀そのものに憑りつかれているのだとすぐに分かった。 (でも、不思議だ。白雪も健人も、刀に守られている? いや、まるで刀が相棒みたいに、二人に悪さしてない。これってやっぱり)  忍に視線を送る。 白雪の時と同じように頷いて、微笑まれた。 (忍は13課の仲間を、すごく大事にしてるんだな。自分で自分を守れる強さを教えているんだ)  怪異に関わる以上、他者に守ってもらうだけでは限界がある。結局のところ、自分を一番に守れるのは自分だ。 そのためには自分が強くならねばならない。忍が直桜に施した訓練もそういう類のものだった。 改めて忍の優しさを垣間見た気分だった。 「そろそろ飯にせんかのぅ。腹が減った。化野も、いい加減に回復したじゃろ」  梛木がサラダを食みながら声を掛けた。 「もう食べてるだろ。神様ってご飯食べなくても平気なはずだけど」  呆れながら、席に着く。 「惟神の神と違うて、質量のある顕現は疲労がたまる。神でも腹は減る」  梛木が卵焼きを頬張って至福の顔をした。 食事を始めながら、直桜は先ほど剣人が呟いた名前が気になっていた。 「ねぇ、さっき剣人が話していた紗月って、どんな人? 13課の人?」  陽人からもあまり聞いたことがない名前だ。 不意に視線を感じて、剣人を振り返る。感動した顔で、直桜を見詰めいている。 「あ、ごめん。呼び捨て、早かった? 白雪が白雪だから、つい」  言い訳すると、剣人がぶんぶんと首を振った。 「いいです、そのま
last updateLast Updated : 2025-07-14
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第51話 【R18】約束

 忍たちと最終的な打ち合わせを行い、警察庁を出た頃には外は既に暗かった。 律が送るというのを断って、護の運転で岩槻の自宅まで車で帰ってきた。久々に戻った事務所は、大して長くも住んでいないのに、懐かしささえ覚えた。「やっと帰ってきたって感じですね」 護の腕が伸びてきて、直桜を抱き寄せた。「二週間も直桜に触れられないのは、拷問でした」「ん……、俺も」 言いかけた言葉を飲み込む。 代わりに護の匂いを思いっきり吸い込んだ。 唇を指がなぞって、舌が誘うように舐め挙げる。無意識に口付けを受け入れて、口内が犯される。「んっ……、ふ……」 久しぶりの刺激が甘くて、声が否応なしに洩れる。(やばい、このままだと、流される) 名残惜しい唇を押しのけて、体を離した。「とりあえず、シャワー、浴びよ。俺、汗だくだから」「そうですね。今日は久しぶりに二人でゆっくり過ごしたいですし」 残念そうにしながらも、護が納得してくれた。 申し訳ない気持ちを抱きながらも、直桜は護を風呂に押し込んだ。〇●〇●〇「訓練、お疲れさまでした」 互いにシャワーを浴びてすっきりしたところで、乾杯する。 とはいえ、酒が入ると記憶が飛んでしまう直桜はノンアルコールで我慢する。「護、なんで眼鏡しているの? 視力、回復したんだよね?」 護は今現在も鬼の常態化を維持している。完全なる鬼化とは異なり、鬼の力を右手だけに集中する方法なのだという。その副産物として視力が戻り、体躯が少しだけ大きくなっている。「伊達眼鏡ですよ。その、眼鏡をかけていたほうが、直桜は見慣れているでしょうから」「眼鏡かけてる方が、俺の好みだからってこと?」  護の顔が赤らんでいるのは、酒のせいではなさそうだ。 直桜は息を吸い、静かに吐き出した。 立ち上がって
last updateLast Updated : 2025-07-15
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第52話 【R18】結び

 直桜の匂いが充満する部屋の中で、護は愛しい恋人の両腕を拘束しながら見下ろしていた。 自分に可愛い悪戯を仕掛けてきた意図は、知れている。 似たような話を梛木から既にされていたからだ。『鬼神が守るべき誓いは三つじゃ。惟神に他者の死の穢れを浴びせるな。直桜の血を奪われるな。直桜がもし、我を忘れて暴走したら直桜ごと枉津日神を殺せ。神殺しの鬼の手であれば、人である直桜自身は死なぬ。案ずるな』 聞いた直後は驚愕したし、受け入れられなかった。(鬼神が惟神を殺す、それ自体が神事なのだろうか? 本当に、直桜を殺さずに禍津日神《荒魂》だけを封印できるのか?) 直桜の悲壮な表情を垣間見て、一抹の不安が過った。(もし違っていたら、俺が本当に直桜を殺してしまうかもしれない。それでも、直桜がそれを望むなら、信じるしかない) もし本当に直桜が死んでしまったらと考えると、反魂香を使う人間の気持ちがわかるなと思う。(せめて今くらいは、俺の直桜で、俺に抱かれていて欲しい) 何も考えずに、ただ同じ快楽を貪るだけの獣でいい。 護はベッドの上に置きっぱなしにしていた手枷を取った。直桜の手を頭の上に持ち挙げて、手枷をかける。「久しぶりに使いましょうか。この前も悦さそうだったし、直桜、手枷好きですよね?」 耳を舐めながら囁く。 さっき達したばかりの体は、敏感に背中から脈打った。「好き、だけど、後ろは、嫌だ」 後ろ手にすると抱き付けないから嫌だと言われたことを思い出す。 そんな発言も可愛らしくて愛おしい。「大丈夫、今日はちゃんと前にしますよ」 そう言いながらも、頭の上でかけた手枷をそのままベッドの上に固定する。「まもる、これじゃ、腕、うごかせなっ……ぁっ」 服を捲って、芯を持った突起を吸い上げる。 緩い刺激で焦らされた肌は簡単に快楽を跳ね上げる。舌で舐め挙げ、反対側を指で強めに摘まむと、背中が大きく反った。「乳首まで敏感。こっちも、一回イっ
last updateLast Updated : 2025-07-16
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