剣人の手を握ってみて、呪具である刀そのものに憑りつかれているのだとすぐに分かった。 (でも、不思議だ。白雪も健人も、刀に守られている? いや、まるで刀が相棒みたいに、二人に悪さしてない。これってやっぱり) 忍に視線を送る。 白雪の時と同じように頷いて、微笑まれた。 (忍は13課の仲間を、すごく大事にしてるんだな。自分で自分を守れる強さを教えているんだ) 怪異に関わる以上、他者に守ってもらうだけでは限界がある。結局のところ、自分を一番に守れるのは自分だ。 そのためには自分が強くならねばならない。忍が直桜に施した訓練もそういう類のものだった。 改めて忍の優しさを垣間見た気分だった。 「そろそろ飯にせんかのぅ。腹が減った。化野も、いい加減に回復したじゃろ」 梛木がサラダを食みながら声を掛けた。 「もう食べてるだろ。神様ってご飯食べなくても平気なはずだけど」 呆れながら、席に着く。 「惟神の神と違うて、質量のある顕現は疲労がたまる。神でも腹は減る」 梛木が卵焼きを頬張って至福の顔をした。 食事を始めながら、直桜は先ほど剣人が呟いた名前が気になっていた。 「ねぇ、さっき剣人が話していた紗月って、どんな人? 13課の人?」 陽人からもあまり聞いたことがない名前だ。 不意に視線を感じて、剣人を振り返る。感動した顔で、直桜を見詰めいている。 「あ、ごめん。呼び捨て、早かった? 白雪が白雪だから、つい」 言い訳すると、剣人がぶんぶんと首を振った。 「いいです、そのま
Last Updated : 2025-07-14 Read more