「なんか地上では王妃様が誘拐されたとかで大変だったらしいよ。飛行の魔法使える子たちが捜索に駆り出されていた。そもそも、国王陛下っていつ結婚したのよって感じだよね」 カリナの言葉を聞いて、私は戸惑ってしまった。 夜の寒い海の空を、魔法学校の子たちが私を探していたと言うことだ。 そして、魔法学校の子たちは十分な情報も与えられないのに、緊急時には突然駆り出される存在だと認識した。「名前も姿も知らない王妃様を真夜中に探せなんて酷い命令だね。ねえ、カリナ⋯⋯私たち、地下に住む魔法使いで独立した国をつくらない? マサス王国の為に尽くさなければいけない義理なんてないよ」 私はそんなおかしいことを言っただろうか、カリナは目を丸くして絶句していた。「ふふっ! 本当にルカって私が出会ったことないくらい面白い子。私たちはマサス王家から給与も出ている公的な兵隊みたいなモノなんだよ。確かに地上の生活には憧れるけどね。戦争にならない限りは外に出れないのは窮屈だけど⋯⋯お金がなきゃ地上でも暮らせないよ」「じゃあ、戦争の時に地上に出たらみんなで逃げて、逆にマサス王国を滅ぼしてやろう! お金は私が何とかするし、自給自足できるような魔法があれば生活だってできるよ」 魔法にどれだけの種類があるかは分からない。 今、知っているだけで、火の魔法、氷の魔法、治癒の魔法、魅了の魔法と飛行の魔法がある。 キースは全ての魔法が使えると言っていて、瞬間移動したりもできる。(そういえば、キースは姿形も変えられるって言ってたわ)「自給自足か⋯⋯植物を成長させる魔法とか使える子もいるし、不可能ではないかな。それにしても、お金は何とかするだなんて、ルカって男前すぎ! なんか、夢物語だけど⋯⋯こう言う話するのは面白いね」 私の話をカリナは夢物語のように聞いている。 私はクリスを利用して、レオと離縁し、マサス王家を滅ぼし、魔法学校のみんなを解放できないか考えていた。 私は顔だけの女だけれども、「特技、顔」はクリスやレオには通用する。 散々、自分勝手に私を扱ってきた2人を、今度は利用できないだろうか。
Terakhir Diperbarui : 2025-06-27 Baca selengkapnya