病院での診察を終えた後、外は激しい雨が降り出していた。 診断書に書かれた「末期」という二文字を見つめ、私は少しホッとした。 二回目の検査結果も同じ、私は現実を受け入れなければならなかった。 その瞬間、心の中で静かな安堵を感じた。まるで石をおろしたように。 考えることをやめ、私は遠山弘道(とおやま ひろみち)に電話をかけた。 これまで隠していたことを、ついに告白しようと思った。 しかしたった一秒で、通話中の音が聞こえた。 これはわざと電話を切られたのだとわかっていた。 私が酒の勢いを借りて告白したあの日から、彼は私に冷たくなった。 私のイメージも、「素直で大人しい妹」から「恥知らずにも兄を誘惑しようとする女」へと変わってしまった。 でも実は、私たちに血の繋がりはない。 私は諦めず、続けて何度も電話をかけた。ようやく、彼は応答した。 「何か用?」 彼の声は、恐ろしいほど冷たかった。 私の心は深く沈んだ。診断書を握りしめ、言葉に詰まった。 「いったい、何か用だ?」 彼は苛立ちを帯びていた、携帯電話越しに、彼が眉をひそめている様子さえ浮かんでくるようだった。 昔の彼は、決してこんなことはしなかった。 私は唇を噛みしめ、窓の外の激しく降りしきる雨を見つめながら言った。 「お兄ちゃん、病院まで迎えに来てくれる?話したいことがあるの」 その言葉が終わると、彼は怒気を孕んだ言葉で私を責めた。 「遠山由美(とおやま ゆみ)、今さら病気のフリをしてどうするつもりだ?」 私が反応する間もなく、彼は電話を切った。 私は呆然とその場に立ち尽くし、なぜ彼が突然怒ったのか理解できなかったが、次の瞬間、彼の彼女・富塚根雪(とみずか ねゆき)からのメッセージが原因を教えてくれた。 【私たちのデートを邪魔するつもりか?君には無理だろう】 文字はシンプルだったが、私はそこに極限の嘲笑を感じた。 私は何も返さず、彼女のSNSを開いた。たった一目見ただけで、私は全身の血の気が引くのを感じ、その場に凍りついた。 弘道が根雪にプロポーズしたのだ。 9枚の写真が並び、様々な宝石や高級ブランド品が尽くされていた。特に目を引いたのは、鳩の卵のように大きなダイヤの指輪だった。 私は二人がキスをしている写真
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