Semua Bab 花の終わり、人の別れ、恋も尽きて: Bab 11

11 Bab

第11話

手首の火傷痕がようやく綺麗に消えたある日、煌真は私を連れて、ウェディングドレスの試着に出かけた。上質なドレスサロンの前に立ったそのとき——まさかの人物が、目の前に現れた。——承弥。彼の腕には、かつて私の心をときめかせたはずの真紅のバラの花束。けれど——あの頃のように、私の心をときめかせる姿では、もうなかった。「詩織。俺、優奈とは結婚しない。ここ最近でようやく、自分の気持ちに気づいたんだ。今、俺が好きなのは——君だけだ!」彼の目からは、冷ややかさも傲慢さも消え、残っていたのはひたすらな懇願。その姿は、過去に恋人を裏切ったどこにでもいる男と変わらなかった。私は顔をそむけた。視界の端に浮かんだのは——あの記念日の夜、ホテルで彼と優奈が熱く抱き合っていた光景。その唇で、今さら「好きだ」と言われても——笑えるだけだった。私はもう、彼に向ける視線すら惜しかった。だらしない髭面の彼は、煌真の一筋の髪の毛にも及ばない。私は煌真の腕にしっかりと寄り添い、店の入り口に向かおうとした。その瞬間、承弥が走り寄ってきて、私の手首を掴んだ。「見てくれ、詩織!これが優奈の診断書だ。彼女、ガンなんかじゃなかった。俺たちは騙されてたんだ!彼女に病気なんかないと知ってたら、俺だって婚約なんかしなかった。お願いだ、頼むから一度だけ……一度だけでいい、見てくれ……!」彼の目は血走り、涙で潤んでいた。その様子に私が心を動かされる前に、煌真がさっと私の手を彼の手から引き離した。「賀川承弥——俺の妻に手を出さないでもらえますか?その未練がましい感情も、一緒に引っ込めてください」私は承弥の手に押し付けられた書類を、指先で軽く払った。——白河優奈の病気が嘘だったとして、だから何?それが事実だろうと関係ない。あなたが私にしてきたことが、帳消しになるわけじゃない。私は何もなかったように許すつもりもないし、元に戻るつもりも一切ない。今さらになってそんなことを言い出すなんて、承弥は正気とは思えない。地面にばら撒かれた診断書が、風に舞って足元に散らばった。嫉妬でわずかに目を細める煌真の姿が、妙に愛しくて——私は彼に寄り添うように身体を寄せ、床に散らばった紙の上を何気なく踏み越え、承弥には
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