夫は私を愛していない、ましてや、私たちの子も彼に愛されていない。息子生まれたその日、彼は目もくれず、息子をそのままほっておいた。その後、彼の憧れ続ける人が帰国した。今まで冷たい彼が、初めて家で酩酊し、笑いながら我が子を抱きしめた。息子が嬉しそうに男の首に抱きつき、こっそり私に聞いた。「ママ、おじさんはどうしたの?」私は瞳は濡れていて呟いた。「おじさんの好きな人が戻ってきたから、私たちはこれ以上彼を邪魔してはいけない、そろそろ引っ越すよ」息子を部屋に連れて眠らせた後、私は客室に戻り、離婚協議書の作成を始めた。今年は深津蒼(ふかつ あおい)と結ばれてから七年目である。そして彼と別居生活を続けてきた七年目でもある。今、私はついに彼を手放すことに決意した。トントン。ドアを開けると、七歳の息子が飛行機のおもちゃを抱えて私を探していた。「ママ、僕たち本当に引っ越すの?」彼は私を見つめて、その瞳に未練があふれている。「でも、さっきおじさんは僕を抱っこしてくれたよ。僕のことを好きになってきたのかな?」私は一瞬呆然として、ぼんやりとした。結婚してから七年間、蒼はずっと「お父さん」という呼び方を拒み続けていた。息子の二歳の頃、彼は息子を連れて買い物をしに行ったとき知り合いに出会った。息子がうっかり「パパ」と呼んだだけで、彼は歩き始めたばかりの息子を地面に下ろし、家まで歩いてついてくるように強いた。家に帰ったら、息子はすでに何度も転んで傷だらけになってしまった。四歳の時、この子は何度もお願いして、蒼がようやく彼を遊園地に連れて行ってくれることになった。その結果は同じく、息子が「パパ」を呼んだから、蒼は握っていた手を放した。たった四歳の息子が人混みに紛れてしまった。息子を見つけた時、彼は一人で植え込みの中に泣いていた。その後、息子は蒼のことを「おじさん」と呼び、私たちもこの家で完全に笑いものになった。そう思うと、鼻の奥ガツンとして、思わず息子を抱きしめた。「でも新(あらた)、おじさんの好きな人はもうすぐ帰ってくるから、私たちはこれ以上この家にいてはいけないよ」息子が一瞬落胆になったが、すぐに慌てて手に持っていた飛行機のおもちゃを私に見せた。「でもママ、今夜おじさんからプレ
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