All Chapters of 異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。: Chapter 41 - Chapter 50

59 Chapters

40話 デューイとの会話

 俺は木剣を抜くように動かし――  そして、すぐに収める動作をした。 その瞬間、目に見えない“斬撃”が走る。 バリアを斬り飛ばすように放ち、相手に叩きつける。  男の体が、衝撃とともに吹き飛んだ。 ――一撃。 今度は、間を置かずに歓声が爆発した。「きゃ~っ♡ ユウヤ様~っ! また勝っちゃいましたねっ♡」 ミリアが両手を振りながら、王族席でぴょんぴょん跳ねている。  頬を真っ赤に染めて、目をキラキラと輝かせながら、まるで恋する乙女そのもの。 ――うん、君が一番うるさいよ。「……もう終わりですよね?」 俺は木剣を肩に担ぎながら、相手に声をかけた。「ああ。完敗だ……降参だ。剣が全く見えなかった……。  流石、あのモンスターを倒しただけのことはあるな……」 男は潔く膝をつき、深く頭を下げた。 ――ようやく、終わった。 俺は心の底から、そう思った。 だが……。吹き飛ばされた男は、驚くほど早く起き上がってきた。 ――え、もう立つの!? ていうか、近い近い! しかも、額から血が流れていて、顔が真っ赤に染まっている。  そのままズカズカと俺に近づいてくる。 ――ちょ、待って。怖いって。  さっきより迫力あるんだけど!? お願いだから近寄らないで!「ちょっと待って、これ使って」 俺は慌ててポーチから治癒薬を取り出し、男に手渡した。「飲めばすぐ治るから。……たぶん」 男は一瞬きょとんとしたが、すぐに豪快に瓶を開けて一気に飲み干した。 ごくっ、ごくっ、ごくっ――「おおぉっ!? これは……すごい!!」 男の声が闘技場に響き渡る。「美味いし、出血も止まったし、痛みも
last updateLast Updated : 2025-07-21
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41話 王国最強のデューイと皇女ミリア

 ――え? やっぱりこの人、王国最強だったのか……。 どうりで、ただの“強い人”って感じじゃなかったわけだ。  ミリアと同じような、言葉にできない“圧”というか、オーラというか……威圧感がある。「俺が勝てないわけだな。あのモンスターの群れを単独で倒すとは……」 デューイは苦笑しながら肩をすくめた。  そして、ちらりとミリアを見て――「その強さに、可愛い子を連れてるとは……羨ましいね~。  なぁ、嬢ちゃんのお友達を、今度任務で護衛に行ったときに紹介してくれよ。な?頼むよ」 ――その瞬間。 王様とお偉い様方が、同時に顔を引きつらせた。「なっ……!」 軍服を着た一人が、顔面蒼白になってデューイの肩を掴んだ。「バカ者っ!! 不敬にも程があるぞ!!」 その怒声が、闘技場に響き渡る。「し、知らなかったとはいえ……申し訳ございませんでした……っ!」 男は深々と頭を下げ、額を地面に擦りつける勢いで謝罪した。「……え? な、なんでそんなに怒って……?」 デューイが戸惑いながら視線を巡らせると、王様が静かに口を開いた。「デューイよ……その方は、――アイラシス帝国第一皇女、ミリア・アイラシス殿下である」「……は?」 デューイの顔から血の気が引いていくのが、目に見えて分かった。「お、お嬢ちゃんって……皇女殿下……!?」 彼はその場に膝をつき、今度こそ本気で頭を下げた。「し、失礼を……本当に、知らなかったんです…&hellip
last updateLast Updated : 2025-07-22
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42話 ミリアとのやり取りと試合観戦

 ――おお、始まるのか。  これはちょっと楽しみかも。 俺は闘技台から降り、ミリアと並んで観客席へ向かった。 ミリアは俺の腕にぴったりとくっつきながら、にこにこと笑っている。「ユウヤ様と並んで観戦……まさにデートですわね♡」「……うん。まぁ、そういうことにしとこうか」 ――剣の試合観戦でデートって、なんか不思議だけど……  ミリアが楽しそうなら、それでいいか。 さっき俺を裏切って、護衛任務を回避した男性護衛――  その彼を、ついに戦わせることに成功した。 ……というか、ミリアからの“直命”を受けたら、断れるわけがない。  彼は観念したように静かに頷き、すぐに戦闘モードに入っていた。 一方のデューイはというと、俺との試合は一瞬で終わったし、  治癒薬でケガも完全に治っている。体力的にも問題なさそうだ。 そして、二人が準備を終え―― ――って、え? ちょっと待て。 なんで防具つけてるんだよ!? 胸当て、腕当て、脚部ガードまで、しっかり装備してる。  しかも、ちゃんとした試合用のやつだ。 俺のときは……木剣一本だったよな? 防具ゼロだったよな?「ねぇ……なんで防具つけてるの?」 俺は隣のミリアに、思わず尋ねた。「知りませんわ……」 ミリアは小首をかしげて、無邪気に微笑んだ。「俺のときは無かったんだけど……」「そうですわよね……何ででしょう?」 ――いやいやいや、マジで!?  俺のときは、王国最強の大隊長相手に、木剣一本で丸腰だったんだぞ!? ミリアはさらに、こてりと首を傾けて、にっこりと笑った。 ――うん。絶対わかっててやってるよね、それ。
last updateLast Updated : 2025-07-23
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43話 予想外の事故と高まる信頼

 ――その時だった。試合の最中、デューイが鋭く踏み込み、ミリアの護衛の隙を突いた。 木剣の腹で相手の剣を叩きつけるように打ち込むと――バキィンッ!!護衛の木剣が真っ二つに折れた。そして、折れた剣の破片が―― まっすぐ、ミリアの方へ飛んできた。シュンッ! バキッ!! シューーーン! ――やばい! 間に合わない!?女性護衛が反応して動こうとしたが、わずかに遅い。 俺の隣に座るミリアに、折れた木剣の破片が一直線に向かってくる。俺は咄嗟に、まだ手にしていた試合用の木剣を構えた。 ――いや、正確には“構えるフリ”をして、バリアを発動。透明な防壁を斜めに展開し、飛来する破片を――ガンッ!空中で叩き落とした。「危ないっ!」俺が声を上げた直後、ミリアがびくっと肩を震わせた。「きゃぁーっ! 危ないですわっ! もぉ……!」ミリアは驚きと怒りが入り混じった表情で俺を見つめたが、すぐに目を潤ませて微笑んだ。「ユウヤ様、ありがとうございます……また、わたくしの命の恩人ですわ♡」その言葉に、俺は苦笑しながら木剣を下ろした。 ――いや、ほんとに危なかった。その瞬間、王族席の後方から慌ただしい足音が響いた。「ミリア様! ご無事ですか!」「ミリア様ーっ!」国王とお偉い様方が、青ざめた顔で駆け寄ってくる。ミリアはそんな彼らに、にこりと微笑んで答えた。「大丈夫ですわっ♪ ユウヤ様に守っていただきましたの♡」俺は立ち上がり、軽く頭を下げながら言った。「事故ですし、気にしなくても大丈夫ですよ。 十分に護衛もつけていただいてますし」 ――まあ、俺がいなかったらどうなってたか分からないけどね。 でも、騒ぎを大きくしたくないし…
last updateLast Updated : 2025-07-24
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44話 変わる立場と過酷な現実

「もう少し訓練が必要ですわね」 ミリアは冷静に、しかし厳しすぎない口調で言った。「は、はい。戻り次第、さっそく訓練をしたいと思います」 彼は気を引き締め直し、ミリアの後方に控えて護衛任務に戻った。 ――うわ、落ち込んでるのに……でも、仕方ないか。 自分の護衛が負けたってことは、ミリアの安全に関わる問題だし。 弱い護衛だと思われたら、狙われる可能性もある。 ……うーん。護衛には悪いことしたかな。 でも俺だって、守ってほしかったぞ!? ミリアの護衛って、俺の護衛でもあるんじゃないのか?「ミリアの護衛って……俺も護ってくれるの?」 俺が尋ねると、ミリアは当然のように微笑んだ。「当然ですわ。だって、ユウヤ様はわたくしの婚約者ですもの♡」 ――そっか。そう言ってもらえると、ちょっと安心する。 でも――「……俺、薬屋なんだけどなぁ」 ぼそっとつぶやいた声は、ミリアには届いていないようだった。「ミリアの護衛って……俺も護ってくれるの?」 俺が尋ねると、ミリアは当然のように微笑んだ。「当然ですわ。わたくしの婚約者ですもの♡」「そっか……良かった」 ――ちょっと安心。やっぱり俺も対象に入ってるんだな。 ……と思ったのも束の間。「ですが……ユウヤ様に護衛は必要ないと思いますけれど?」 ミリアは首をかしげながら、不思議そうに言った。「え? あるって。普通にあるから」「でしたら――わたくしがお護りいたしますわっ♪」「え? ミリアが?」「はいっ!」 ミリアは胸を張って、誇らしげに言い切った。「…&hellip
last updateLast Updated : 2025-07-25
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45話 王子になった薬屋

「え?」 ……え? 今、なんて?「そ、そうなのですか? 早くないですか?」 俺が思わず聞き返すと、国王はにこやかに笑って言った。「これでも私は国王ですので、そのくらいの権限はありますぞ」 ――いや、そうだけど! もっとこう、儀式とか、宣言とか、心の準備とか……! 俺は内心で頭を抱えながらも、口には出せなかった。 ――これで俺、王族になったのか……? 薬屋の店主から、帝国皇女の婚約者で、王国の王子……? 人生、どこでどう転ぶか分からないもんだな。 ――そうだった。普通に話してるけど、この人……国王様なんだよな。 というか……俺、王族の養子になったから、この人が“父親”ってことになるのか。 ……変な感覚だ。 今まで何の接点もなかった。 ましてや、国の王様だ。 そんな人を“親父”と呼ぶ日が来るなんて、想像すらしてなかった。「質問なんですけど……帝国って、そんなに強いんですか?」 俺はふと気になって、尋ねてみた。「はい。帝国は――最強ですね」 国王は即答した。 その声には、畏敬と現実的な重みがにじんでいた。「長年、七つの王国を支配下に置いています。このユーテリア王国も、その一つです」「え? 王国を七つも……? すごいですね」「その分、何かあったときには、八カ国が一丸となって動けます。 実際、過去に一度、帝国の支配国が他国から攻め込まれたことがありましたが―― 帝国が介入して、わずか数週間で撃退されました。 それ以来、帝国の存在は強力な抑止力となっております」 ――七カ国+帝国で八カ
last updateLast Updated : 2025-08-01
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46話 皇帝の娘と国王の恐怖

 俺、ケガはさせてないけど―― 頬を叩いたんだよな? それって、下手したら“謀反”扱いじゃないのか……?いや、命だけじゃ済まない。 「皇女に手を上げた男」として、帝国法で極刑+一族連座とか、普通にあり得る。 ――こわっ。「あ、それと……ミリアの兄弟って、何人くらいいるんです?」 話題を変えようと、何気なく尋ねたつもりだった。「え? ミリア皇女殿下、お一人ですが……」 国王は、驚いたように目を見開いて答えた。 ――一人娘。つまり、帝国の唯一の後継者。 ……俺、そんな子の頬を叩いたのか。 いや、もうほんと、よく生きてるな俺。「えぇ? それじゃ……次の皇帝って、ミリア?」俺が思わず聞き返すと、国王は静かに頷いた。「……はい。ミリア皇女殿下ですね。 仮に今後ご兄弟が生まれたとしても、帝国では“生まれた順”で継承権が決まりますので、 男女を問わず――ミリア皇女殿下が第一位となります」そこで国王は、少し声を落として続けた。「……聞いた話によると、皇帝陛下は過去に毒を盛られ、生殖能力を失われたとか。 ですので、ミリア皇女殿下が唯一のご息女であり、 あれほどまでに溺愛されているのも、無理はありません」 ――うわぁ……。凄い人と、婚約しちゃったな……俺。「それで……帝国は安定してるんですか? どこか問題があったりしませんか?」俺が恐る恐る尋ねると、国王は即答した。「ええ。まったく問題ありません。 軍事、政治、財政、治安――どれも極めて安定しています」
last updateLast Updated : 2025-08-02
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47話 皇女の宣言と新たな道中

 ――え?その瞬間、空気がピシッと張り詰めた。 王様がピクリと反応し、ゆっくりとこちらを振り向く。 顔色が、みるみるうちに青ざめていくのが分かった。「……っ!」 王様は、口を開きかけて、何かを言いかけて――やめた。 ただ、俺の方をチラチラと見ながら、明らかに動揺している。 ――いやいや、なんで俺を見るんですか!? 俺、今なにもしてないよ!? 言ったのミリアだよ!? ――え?その瞬間、空気がピシッと凍ったような気がした。 王様がピクリと反応し、ゆっくりとこちらを振り向く。 顔色が、みるみるうちに青ざめていく。「……?」俺は思わず首をかしげた。「今さらか? いつも一緒にいるだろ? ……で、何で王様が青ざめてるんだ?」王様は、ちらりとミリアの方を見てから、 俺の耳元にそっと身を寄せ、小声で囁いた。「……“わたくしのもの”というのは、 皇女殿下が“帝国の皇位継承者として、個人の感情で国家の要人を囲い込んだ”と受け取られかねない発言でして…… 万が一、ユウヤ様が皇女殿下を裏切ったり、傷つけたりすれば―― 皇帝陛下が“娘を奪われた”と判断し、王国ごと……」そこまで言って、王様は言葉を濁した。 でも、言いたいことは十分すぎるほど伝わった。 ――つまり、俺がミリアを泣かせたら、国が滅ぶ。「……なるほど」俺が小さく頷くと、王様は深くため息をついた。そして――「ふふっ♡」ミリアが、にっこりと微笑んでいた。 まるで、すべて聞こえていたかのように。 ――いや、絶対聞こえてたよな、今
last updateLast Updated : 2025-08-03
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48話 愚かな盗賊たちの末路

 ――皇女のミリアを狙うなんて、正気の沙汰じゃない。この辺りの盗賊――いや、王国ごと殲滅されるだろ。 帝国が本気を出せば、地図から名前が消えるレベルで。 ……考えれば分かるだろ、まったく。面倒だけど、一応窓の外を確認する。 すると、案の定――けっこうな数の盗賊に囲まれていた。前方と後方、ざっと見ただけでも数十人はいる。 護衛だけじゃ、ちょっとキツいかもしれないな。「……俺も参加してくる。はぁ……」 ため息が自然と漏れる。 せっかくの癒やしの時間が、台無しだ。「すみません……護衛を増やしておけば良かったですわね」ミリアが、申し訳なさそうに言った。 その声には、ほんの少しだけ寂しさも混じっている。「いや、完全に忘れてたよ。 前に “目立つから減らしてくれ” って言ったの、俺だしな」そう言いながら、腰を上げる。モンスターがいなくなったと思ったら、今度は盗賊か。 ――随分と“居心地のいい道”なんだろうな、この街道は。もしかして、盗賊の間では「ここ通れば誰かしらカモれる」って有名な通りなのかもしれない。 ……いや、カモどころか、今は皇女とチート持ちが乗ってるんだけどな。「この盗賊って……殺しちゃっても大丈夫なの?」俺がそう尋ねると、ミリアは一切の迷いなく答えた。「盗賊行為は重罪ですので、助かったとしても処刑対象ですわ。 ですので――殺しちゃっても大丈夫ですの」その声は、驚くほど冷静だった。 まるで「雨が降ってますわ」とでも言うような口調で。「そっか。 手加減しながら戦って、こっちがケガするのもバカらしいしな」俺が腰を上げようとすると、ミリアがそっと手を伸ばし
last updateLast Updated : 2025-08-04
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49話 覚醒する薬屋の剣技

 ――ああ、いるんだな、そういうの。 たぶん、貴族か王族の関係者だろう。 平民じゃ、服装でバレるしな。「そうなんですね……」「そりゃそうだろ。 皇女殿下を襲ってケガでもさせたら、この辺一帯が帝国兵に一掃されちまう。 頭が悪くても、それくらいは分かるさ!」 ――うん、盗賊も意外と理屈は通じるらしい。 でも、ミリアの父親――皇帝がどれだけ溺愛してるかまでは、知らないんだろうな。もしミリアがケガでもしたら、 この辺の盗賊どころか、関係のない村や街まで“更地”にされかねない。「それに、お前が王族だと……? 平民服を着た王族などいるかよ! 身代わりのつもりか? それに王族が、わざわざ自分から盗賊の前に出てくるわけがないだろ!」そう言って、盗賊の頭は大笑いした。 周囲の盗賊たちも、それに釣られて笑い始める。 ――うん。そりゃそうだ。 俺も、まさかこんな状況で笑うとは思わなかったけど、 あまりにも状況がシュールすぎて、思わず口元が緩んでしまった。「お前、なかなか度胸があるな……! この人数を目の前にして、よく笑ってられるな! 気に入ったぞ! 仲間になれば、幹部にしてやるぞ!」 ――ああ、これはもう完全にフラグ立ったな。俺は、ゆっくりと剣の柄に手をかけた。 そして、静かに――でも確実に、笑顔を消した。 ……悪いけど、俺、薬屋なんで。 盗賊の幹部より、薬草の仕分けの方が性に合ってるんだよ。盗賊の頭は、俺を評価した。その目には、獲物を見つけたような獰猛な光が宿っている。「いや……ちょっと盗賊は無理ですね」俺がそう言うと、盗賊の頭は肩をすくめて笑った。「そうか……残念だが、抵抗するなら
last updateLast Updated : 2025-08-05
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