LOGIN異世界転生者ユウヤ、チート能力で波乱の幕開け! ごく普通の社会人だったユウヤは、ある日突然、異世界へ転生! 女神サーシャの「手違い」で、彼はモンスターがいる世界へ放り込まれることに。転生特典として、万能バリアとアイテム生成・収納能力を手に入れるが、同時に中学生くらいの見た目になってしまい戸惑う。 チート能力を駆使し、モンスターを倒しながら異世界生活を満喫し始めるユウヤ。しかし、初めて訪れた町で予期せぬトラブルと、重傷を負った貴族の少女との出会いが彼を待ち受ける。平穏を望むユウヤの異世界ライフは、早くも波乱の幕開けを迎える!
View Moreその仕草は、まるでお気に入りのぬいぐるみを抱きしめる子どものようで――けれど、そこには「わたしのもの」という強い意志がこもっていた。 レニアは、少しだけ目を伏せて、かすかに笑みを浮かべた。「……私のような者は、相手にされませんので。大丈夫です」 その言葉に、ユウヤは思わず言葉を詰まらせた。(いや……レニアは、十分可愛いと思うけど) 心の中でそう呟く。しかし、それを口に出してしまったら、目の前の状況がどうなるか、本能的に理解していた。「……ユウヤ様?」 にこぉっと満面の笑みを浮かべたミリアが、ユウヤの腕にさらにぎゅっとしがみついてくる。その圧力から、何らかの警告を感じ取った。(……あ、今、何か言ったら終わるやつだ) ユウヤは、何も言わずに、ただただ高く広がる青空を見上げた。穏やかな風が吹き抜け、ミリアの豊かな金髪がふわりと揺れる。その動きに合わせて、ほんのりと甘い香りが鼻腔をくすぐった。「この近くに住んでるの?」 ユウヤの問いかけに、レニアは小さく頷いた。「馬車で三十分ほどのところに、小さな村があります。王都の外れにある農村で、私の家が治めています。農産物の供給地として、王都にも野菜や穀物を届けているんです」「そうか……多分、治ると思うけど、もし治らなかったら――」 ユウヤは、ちらりとミリアの方に視線を送り、彼女の表情を確かめてから、優しい声で続けた。「ミリアの屋敷に居るから、来てもらえれば俺が直接、治しに行くよ」 その言葉に、レニアの目がぱっと見開かれた。希望の光が、彼女の瞳の中で瞬く。「……ありがとうございます」 その声は、震えるほどに嬉しそうで――レニアの顔に、はっきりと希望の光が灯った。長い間、諦めかけていた父の病が治るかもしれないという、確かな希望だった。 けれど、その瞬間――「……ユウヤ様?」 ミリアが、にこぉっと笑いながら、ユウヤの袖をそっとつまんだ。その笑顔は柔らかいけれど、どこか拗ねたような気配が混じっている。「『ミリアの屋敷』って……まるで、わたくしのところに居候しているみたいな言い方ですわね?」「え、いや、そういう意味じゃなくて……」 ユウヤは慌てて否定する。「ふふっ、冗談ですわ。……でも、あまり他の女の子に優しくしすぎると、嫉妬しちゃいますからね?」 ミリアは、そう言ってユウヤの腕にぴたり
今は、髪も整えられ、ドレスも綺麗に着こなしている。けれど、その表情にはまだ、どこか不安が残っていた。「あ、あの……先程は、本当にありがとうございました」 少女は、ユウヤとミリアの前で深く頭を下げた。「あれは……ヒドかったしね」 ユウヤが静かに返すと、少女は小さく頷いた。「ホントに……助かりました。あのままだったら、きっと……」 言葉の先を飲み込みながらも、感謝の気持ちは確かに伝わってくる。ミリアも、そっと微笑んで言葉を添えた。「あなたは、何も悪くありませんわ。あの場で毅然としていたこと、わたくしは誇りに思います」 少女の目が、かすかに潤んだ。そして、もう一度、深く頭を下げる。「……ありがとうございます」 その姿に、ユウヤはふと、“助ける”という行為の意味を、改めて感じていた。「……いつものことですから、大丈夫です。み、ミリア皇女殿下だったのですね……」 貴族の少女は、少し緊張した面持ちで頭を下げた。ミリアは、にこやかに頷く。「はい。ミリアですが?それより――ユウヤ様のお陰で、いじめてくる人は居なくなったんじゃないのかしら?」「……はい。助かりました……」 貴族の少女の声は、かすかに震えていたが、その表情には、確かな安堵が浮かんでいた。 けれど、(……他にも、何か話したそうだな) ユウヤは、貴族の少女の視線が何度も揺れているのに気づいた。言葉を選ぶように、何度も口を開きかけては閉じている。「何か他にも話がありそうだけど?」 ユウヤがやんわりと促すと、レニアは小さく息を吸い、勇気を振り絞るように口を開いた。「……はい。えっと……冒険者の方が話していたのを聞いたのですが……薬屋さんと、お聞きしたのですが……本当でしょうか?」「あ、うん。薬屋だよ」 ユウヤは、少し照れたように笑って答えた。それは、戦場でモンスターを一掃した“剣士”の顔ではなく、人を癒す“薬屋”としての、素朴な笑顔だった。「
驚いた顔をして、「何者なんだ」と聞かれたけど、(……俺は薬屋、だよな?) 王子って、職業なのか?いや、違うよな。肩書きだ。でも、それを名乗るのもなんか恥ずかしいし、そもそも信じてもらえないだろう。(他国の王子が、護衛も連れずにモンスターの出る場所に来るなんて、普通ないし……) だから、ユウヤは少しだけ困ったように笑って、答えた。「えっと……薬屋ですけど?」 その瞬間、「そんな薬屋がいるかよ!!」 冒険者の叫びが、森に響いた。ユウヤは、苦笑いを浮かべながら肩をすくめる。(だよね~。やっぱ信じてもらえないかぁ) じゃあ、なんて答えればいいんだよ?王子?いや、それはもっと信じてもらえない。しかも他国の王子が、護衛も連れずにモンスターの巣に来るなんて、どう考えてもおかしい。(……薬屋って言っても、服がこれじゃ説得力ないしな) 冒険者たちの視線が、じりじりとこちらに集まってくる。俺の着ている、王族仕様の豪華な服。そして、六体のモンスターを一瞬で斬り伏せた異常な強さ。そのギャップが、彼らの脳を混乱させているのが、痛いほど伝わってきた。「……じゃあ、なんて言えば納得する?」 思わず、ぼそっと呟いた。誰かが、ぽつりと答える。「……“勇者”とか、“伝説の剣士”とか……?」「いや、それはそれで恥ずかしいな……」 ユウヤは頭をかきながら、ため息をついた。(肩書きって、難しい)「そう言われても、薬屋なんですけどね……」 ユウヤが肩をすくめてそう言うと、冒険者は戸惑いながらも頷いた。「そ、そうなのか……薬屋ね…&hel
ただの八つ当たりだった。誰にも見られていない、誰にも知られない、そんな“感情の処理”のつもりだった。 けれど、ふと頭をよぎる。(……あれ、仲間だったんじゃないのか?)(俺が倒したあいつらの“家族”とか、“群れ”とか――)(それで、怒って……復讐に来た?) 王都の外れに現れたという、人型モンスターの群れ。冒険者ギルドが緊急出動を要請するほどの規模。負傷者が続出し、街が混乱しているという報せ。(……俺が、引き金を引いた?)(……大量発生って聞いたけど) 現場に到着したユウヤは、眉をひそめた。森の開けた一角。そこには、確かに人型のモンスターがいた。――六体。(全然、大量じゃないし) てっきり、十体以上が暴れているのかと思っていた。王都が騒然となるほどの規模なら、それくらいは当然だと。だが、目の前にいるのは、たったの六体。その六体が、数人の冒険者たちと激しく交戦していた。剣戟の音、叫び声、飛び散る血――現場は、確かに“戦場”だった。 ユウヤは、交戦中の冒険者の一人に声をかけた。「えっと……モンスターって、これだけ?」 その言葉に、冒険者が振り返る。顔には、驚きと苛立ちが浮かんでいた。「『六体も』の間違いじゃないのか!?六体もいれば、十分に脅威だろ!」 その声には、怒りというより、“理解されないことへの焦り”が滲んでいた。ユウヤは、少しだけ目を丸くした。(……あ、そっか) 自分にとっては“六体”でも、普通の冒険者にとっては“六体も”なのか。その感覚のズレに、少しだけ申し訳なさを覚えた。「……それで全部で六体?他の