異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。

異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。

last updateآخر تحديث : 2025-09-25
بواسطة:  みみっくمكتمل
لغة: Japanese
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異世界転生者ユウヤ、チート能力で波乱の幕開け! ごく普通の社会人だったユウヤは、ある日突然、異世界へ転生! 女神サーシャの「手違い」で、彼はモンスターがいる世界へ放り込まれることに。転生特典として、万能バリアとアイテム生成・収納能力を手に入れるが、同時に中学生くらいの見た目になってしまい戸惑う。 チート能力を駆使し、モンスターを倒しながら異世界生活を満喫し始めるユウヤ。しかし、初めて訪れた町で予期せぬトラブルと、重傷を負った貴族の少女との出会いが彼を待ち受ける。平穏を望むユウヤの異世界ライフは、早くも波乱の幕開けを迎える!

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الفصل الأول

1話 ある日、俺は異世界に転生した

 ユウヤはごく普通の20代半ばの社会人だった。あの日もいつものように会社へ向かおうと、電車を降りて最寄りの駅から会社まで10分ほど歩いていた、その時だった。——突如として襲いかかった強烈な目眩に、彼の意識は容赦なく飲み込まれ、そのままアスファルトの地面に崩れ落ちた。冷たい感触が頬に触れる間もなく、ユウヤの視界は真っ暗になった。

 ——異世界への転生

 次にユウヤが目を覚ますと、そこは七色の光が揺らめく、まるで万華鏡の中にいるような幻想的な空間だった。虹色の色彩に包まれたその場所で、彼はふわふわと宙に浮いている。目の前には、ユウヤと同じように宙に浮く一人の少女がいた。10代後半くらいに見えるその少女は、どこか見慣れない、しかし可愛らしい奇妙な服を身につけていた。心配そうにユウヤを見つめていた彼女は、彼が意識を取り戻したことに気づくと、途端に申し訳なさそうな表情になり、深々と頭を下げてきた。

「ごめんなさいっ!手違いで……その……魂を回収してしまいましたっ!」

「は、はい?魂?」

 突拍子もない言葉に、ユウヤの頭は疑問符でいっぱいになった。「ここはどこだ?君は誰だ?間違って魂を回収しただと?」混乱する彼の脳裏に、なぜか既視感がよぎる。そうだ、これはまるでアニメや漫画で見た「異世界転生」のシーンではないか。

「いきなり言われても分かりませんよね……」

 少女は困ったように眉を下げた。

「いえ、なんとなく分かってきたような気がします」

 ユウヤは混乱しつつも、冷静を装って答えた。現状を素早く理解することが、この奇妙な状況を乗り切る唯一の方法だと直感していた。

「ホントですか? 話が早くて助かりますっ!」

 彼女は少しだけ表情を緩め、安堵の息を漏らした。その表情は、まるで肩の荷が下りたかのようだった。

「それで……俺はこれからどうなるんですか? 元の場所には戻せないから困っているんですよね?」

「そうなんです……魂を完全に回収してしまったので元に戻せないんですよ~」

 ユウヤが怒っていないと分かると、彼女は一気に緊張を解いたのか、普段通りの明るい笑顔と軽快な口調に戻った。その変わりように、ユウヤは少し面食らった。

「元の世界に戻れないってことは……別の世界に?」

「そうなんです。それで良いですかね?」

「いや……その別の世界の説明をお願いします……」

「忘れてましたっ! えっとですね……文明はそこそこに進んでいて~モンスターが現れたりする世界ですね~」

 モンスターが現れるだと? それはつまり、命の危険が常に付きまとうということか。何の知識も、体を動かす術も、ましてや剣や魔法なんて使えるはずもないユウヤが、そんな世界にいきなり放り込まれても困る。すぐにモンスターの餌食になって、また意識だけがここに逆戻りになるのがオチだろう。

「はい? 完全にゲームの世界じゃないですか!」

「そうなんですか? 知ってる世界で良かったです~また、説明の手間が省けて良かったですっ♪」

 少女がにっこり笑って言った。その無邪気な笑顔は、ユウヤの不安とは裏腹だった。

「そんな危険な世界に転生させられても、すぐに死んじゃうじゃないですか! 何か特別な能力とかスキルを付けてもらえませんか?」

 いや、そんな世界に……ただ放り込まれたら即終了だろ!? なにか……いわゆる転生特典を……そんな思いで聞いてみた。喉元まで出かかった「チート能力をください」という言葉を寸前で飲み込み、表現を和らげた。

「もちろん良いですよ~♪ わたしの不注意だったので……何かご希望はありますか~?」

 少女が、あっさりと許諾してくれた。微笑みながら可愛く首を傾げて聞いてくるその仕草は、まるで喫茶店の店員がメニューを尋ねるかのようだった。

 あまりにも急な出来事で、すぐには思いつかない。頭の中をあらゆる選択肢が駆け巡る。

 ……普通ならば……死なないための強さを求めるのも悪くないが、そうするといわゆる『冒険者』になって、常に危険と隣り合わせの生活を送ることになる。正直、格闘技や戦闘はあまり得意じゃないし、好きでもない。

 俺が欲しいのは、大切な人を守れるだけの力だ。そう考えると、攻撃よりも防御系のバリアが一番しっくりくる。あとは、異世界で生活していくための足掛かりとして、アイテム生成の能力が欲しい。そして、生成したものを劣化させることなく、無限に収納できるストレージシステムがあれば完璧だ。

 ユウヤが希望を伝えると、彼女は納得したように笑顔でコクリと頷いた。

「はい。それなら大丈夫です! それで良いんですかぁ~? その世界で最強にしろとか……大金持ちにしろとか言われると思ってましたけど……それは出来ないんで。世界のバランスが崩れてしまうので。っていうか世界最強にすると大抵は好き放題をし始めて最後は魔王と呼ばれる存在になってしまうのですよ」

 少女は笑顔から苦笑いしながら俺の願いを予想していたらしい事を言ってきた。

「俺は戦いが苦手なので、そういうのは興味がないですね……」

 ユウヤは苦笑しながら答えた。

「他にはないですか?」

「他ですか……あなたのお名前は?」

「あ、まだ名乗っていなかったですねっ! わたしは、女神のサーシャですっ♪」

「その……俺と友達になってもらえないですか?」

 ユウヤは、半ば冗談めかして、しかし本気で尋ねてみた。この状況で、唯一心を許せる存在になりそうな彼女に。

「え?あ……はいっ。初めて言われましたぁ~嬉しいですっ♪もちろん良いですよ~」

 女神のサーシャが、花がほころぶような可愛い笑顔で答えてくれた。女神と友達なんて、前代未聞だろう。まあ、誰に話しても信じてもらえないだろうけど、これはこれで悪くない。

「サーシャって呼んでも良いかな?」

 女の子を名前で呼び捨てで呼ぶのは初めでだった。その初めての相手が……女神さまになろうとは。内心ドキドキだった。

「はいっ。お友達ですもんねっ♪ じゃあ……わたしはユウヤと呼びますね~」

「たまに話しとか出来たら、寂しくないから会話も出来たら良いかな~なんて」

 ま、無理だろうけど……女神さまは忙しいだろうし。声だけでも聞けたら……癒されるだろうなぁ……

「はい。出来るようにしておきますねっ♪」

 あれ? すんなりと快諾されたぞ……!? 嫌われないように……たまに連絡くらいなら良いか?

「ありがと」

「それでは転生を致しますね~。お友達ですので色々とサービスしておきますね~♪」

「うん。よろしく」

 会話が終わり、サーシャの言葉と共に、ユウヤの意識は再びゆっくりと、しかし確実に遠のいていった……。七色の光が収束し、彼の体を包み込む感覚と共に、意識は深い闇へと沈んでいった。

 ——新たな世界の夜明け

 …………

 次にユウヤが意識を取り戻したのは、暖かな日差しが降り注ぐ高原だった。草木を揺らす風の音が心地よく、鳥のさえずりが遠くで聞こえる。柔らかい草の絨毯が広がるその場所で、彼は一本の大きな木にもたれかかって座っていた。土の匂いと、青々とした草の香りが鼻腔をくすぐる。

「おっ。キレイな景色の場所じゃん。でも、モンスターがいるんだよな。いきなりモンスターとか勘弁してよね……」

 念のため辺りを見回すが、それらしい気配はなく、ユウヤは胸をなでおろした。ふと、手のひらを広げ、集中する。試しに『治癒ポーション』をイメージすると、彼の手のひらに、きらめく琥珀色の液体が満たされた小さなガラス瓶が、何の脈絡もなく現れた。

「すごいじゃん。効き目を試したいけど……でも、わざわざ怪我したくはないしな……。効き目が微妙だったら……最悪だしなぁ」

 今度はアイテムを収納するイメージをすると、ポーションは手からすっと消え、まるで空間に溶け込んだかのように見事に収納されたようだ。なんて便利なんだ。さすが友達のサーシャは気が利く。

 しかし、家はないのか……。こういうのって……普通さぁ、小屋とかで目覚めるんじゃないのか? 広大な草原のなかに放り出されても……

 高原をしばらく歩いていると、やがてけもの道のような場所に出た。土と草が踏み固められたその道は、動物たちが通った跡だろうか。さらに歩き続けること数時間。太陽はすでに傾き始め、空はオレンジ色に染まりかけている。もう体力の限界だった。道の脇の木に寄りかかり、ずるずると座り込んだ。足の裏がじんじんと痛み、喉はカラカラに乾いていた。

「はぁ……まだ町や村に着かないのか?腹も減ったし……疲れた」

 その時、閃いた!そうだ、体力回復のポーションを使えばいいじゃないか!さっそく取り出して飲み干すと、即座に効果が現れた。体中に温かい力が満ちていく感覚があり、みるみるうちに疲労感が消え去り、体力が回復した。だが、空腹感だけは解消されなかった。胃の腑がギュルギュルと鳴る音が、静かな高原に響き渡った。

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1話 ある日、俺は異世界に転生した
 ユウヤはごく普通の20代半ばの社会人だった。あの日もいつものように会社へ向かおうと、電車を降りて最寄りの駅から会社まで10分ほど歩いていた、その時だった。——突如として襲いかかった強烈な目眩に、彼の意識は容赦なく飲み込まれ、そのままアスファルトの地面に崩れ落ちた。冷たい感触が頬に触れる間もなく、ユウヤの視界は真っ暗になった。  ——異世界への転生 次にユウヤが目を覚ますと、そこは七色の光が揺らめく、まるで万華鏡の中にいるような幻想的な空間だった。虹色の色彩に包まれたその場所で、彼はふわふわと宙に浮いている。目の前には、ユウヤと同じように宙に浮く一人の少女がいた。10代後半くらいに見えるその少女は、どこか見慣れない、しかし可愛らしい奇妙な服を身につけていた。心配そうにユウヤを見つめていた彼女は、彼が意識を取り戻したことに気づくと、途端に申し訳なさそうな表情になり、深々と頭を下げてきた。「ごめんなさいっ!手違いで……その……魂を回収してしまいましたっ!」「は、はい?魂?」 突拍子もない言葉に、ユウヤの頭は疑問符でいっぱいになった。「ここはどこだ?君は誰だ?間違って魂を回収しただと?」混乱する彼の脳裏に、なぜか既視感がよぎる。そうだ、これはまるでアニメや漫画で見た「異世界転生」のシーンではないか。「いきなり言われても分かりませんよね……」 少女は困ったように眉を下げた。「いえ、なんとなく分かってきたような気がします」 ユウヤは混乱しつつも、冷静を装って答えた。現状を素早く理解することが、この奇妙な状況を乗り切る唯一の方法だと直感していた。「ホントですか? 話が早くて助かりますっ!」 彼女は少しだけ表情を緩め、安堵の息を漏らした。その表情は、まるで肩の荷が下りたかのようだった。「それで……俺はこれからどうなるんですか? 元の場所には戻せないから困っているんですよね?」「そうなんです……魂を完全に回収してしまったので元に戻せないんですよ~」 ユウヤが怒っていないと分かると、彼女は一気に緊張を解いたのか、普段通りの明るい笑顔と軽快な口調に戻った。その変わりように、ユウヤは少し面食らった。「元の世界に戻れないってことは……別の世界に?」「そうなんです。それで良いですかね?」「いや……その別の世界の説明をお願いします……」「忘れてましたっ! え
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2話 新たな能力の発見と試練
「肉って出せるのかな……?」 ゲームだったら食料も『アイテム』としてアイテムボックスに入っていたよな? ダメ元でも試してみる価値はある。そう思いながら、俺は手のひらに骨付き肉をイメージした。すると、驚くべきことに、湯気を立てる焼きたての骨付き肉が、俺の掌にぽんっと現れたのだ。その香ばしい匂いが鼻腔をくすぐり、焼けた肉汁の脂っこい香りが空腹感を刺激した。「マジか!」 思わず声が出た。これで食料に困ることはなさそうだ。しかも、調理済みでしっかり味までついてる。温かくて旨いし、最高じゃないか!なんでもありだな、この能力……。「ふぅ~……食った、食ったぁ~。満足だ!」 満たされた腹をさすり、俺はにんまりと笑った。体中に力が満ちていくのを感じる。ゴクゴクと水を飲み干し、上機嫌で再び歩き出した。高原の心地よい風が頬を撫でていく。太陽はまだ空高く、柔らかな陽光が足元を照らしている。 数時間、さらに山道を進んでいくと、目の前に現れたのは、まさしく**「会いたくない」存在**だった。「うわっ、最悪のタイミングじゃん……」 俺は顔をしかめた。それは、体長が牛ほどの大きさもある、黒い毛並みを持つ犬のような巨大な魔物だった。鋭い牙が剥き出しになり、赤い目がこちらをぎらりと睨んでいる。まだバリアも試していないし、俺の戦闘力は一般人レベルだ。体力も素早さも普通。こんなモンスター、俺に倒せるのか?不安が胃の奥をキリキリと締め付ける。心臓がドクドクと不規則に脈打ち始めた。 とりあえず、使えるはずのバリアをイメージする。全身を覆うように、透明な障壁が展開されるのを念じた。ひんやりとした空気が肌を包むような、ごく微かな感覚があった。「これで本当にバリアが張れてるのか? ……スゴイ不安なんだけど。これで大丈夫なのか……?」 次の瞬間、魔物が牙を剥き出しにして猛然と襲い掛かってきた。その咆哮が山に響き渡り、地面が微かに揺れる。まるで突進する岩のような勢いだったが、その巨体は凄まじい勢いで俺の前に展開されたバリアに激突し、『ゴッンッッ!』と鈍い音を立てた。 魔物は弾かれるように後ずさり、その鼻からは血が滴っている。鼻骨が砕けたような音だった。何が起きたのか理解できないとでも言うように、魔物は警戒した面持ちでバリアから距離を取り、ウロウロと徘徊しながら次の機会を伺っている。ひとまず危
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3話 奇跡の治癒と新たな出会い
 ——奇跡の治癒と新たな出会い 護衛兵は俺を怪訝な目で見つめ、掴んだ肩を強く引いて少女から遠ざけようとする。その手のひらが、俺の肩に食い込むほどの力だった。「邪魔しないでくれ!助けたくないのか?」 俺の言葉に、貴族の少女を抱きかかえていた護衛の一人が、苦渋に満ちた表情で呟いた。その顔には、一縷の希望が灯ったようにも見えた。彼の口から、掠れた声が漏れる。「……頼む……助かるのか?……どうか、助けて下さい……」 その必死な願いに、俺は冷静に答える。「俺の邪魔をしなければ、助かるかもしれない……」 その言葉を聞いた護衛兵は、顔色を青ざめさせながらも、すぐさま周囲に目を配り、群衆を押しとどめるように指示を出し始めた。「分かった。誰にも邪魔はさせないようにしよう! 頼んだぞ!」 人々のざわめきが少し遠のき、空間が作られる。その様子を確認してから、俺は再び少女に近づき、その容態を詳細に確認する。 意識はほとんど残っていない。息は浅く、体温も冷たい。そして……おびただしい大量の出血に、内臓まで達している傷。 俺はすぐに治癒ポーションを取り出し、きらめく琥珀色の液体を傷口に直接それを振りかける。すると、まるで魔法のように、血がみるみるうちに止まり始めた。あの深く切り裂かれた腹部の傷が、あっという間に塞がり、他の小さな傷や生々しい傷跡までもが、まるで最初から存在しなかったかのように消え失せたのだ。肌は透き通るように滑らかに戻っている。 そして、もう一本を自分の口に含み、ゆっくりと唇を重ね少女の口の中に流し込んでいった。甘い香りが微かに漂い、弱々しいながらも、少女が少しずつ『……コク。……コク。……コクリ。コクリ。』と飲み込む反応を示した。「よしっ!これなら大丈夫そうだな……」 俺は安堵の息を漏らした。このポーションは、やはり規格外の効力を持っているようだ。 「これで一安心だな。あとは……体力回復ポーションかな」 大量の血を失い、体力も落ちているだろう。俺は再び体力回復ポーションを口移しで飲ませた。甘酸っぱい香りが口内に広がる。すると、見る見るうちに少女の顔に血色が戻り、青白かった肌に健康的な赤みが差していく。やがて彼女の瞼がゆっくりと開いた。透き通るような青い瞳が俺の視線と絡み合うと、少女の頬がほんのりと赤く染まる。そして、無垢な表情で俺の首に手を回
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4話 バリア能力のさらなる探求
 外を見ると、まだ10人ほどの兵士が負傷して倒れている。彼らの呻き声が聞こえてくる。鎧は傷つき、疲労の色が濃い。俺は馬車の外に出て、彼らにも治癒ポーションを飲ませた。全員の傷が無事に回復し、元気を取り戻していく。彼らの顔に、みるみるうちに血色が戻っていくのが見て取れた。感謝の言葉が次々と投げかけられる。 うぅ~ん……料金を請求したいところだが、ポーションの価格調査をして値段設定をしていないし、この世界の貨幣価値も分からない。それに、今回は人命に関わる緊急事態だったし……まあ、今回はいいか。材料費も手間も何もかかってないしな。それより、貴族に関わると厄介事に巻き込まれる気がする。 そう思い、俺はそっと人混みに紛れ、その場を音もなく立ち去った。人々の喧騒が、少しずつ遠ざかっていく。振り返ると、ミリアがまだ俺の背中を見送っているのが見えた気がした。 それにしても、あの貴族の女の子は可愛かったな……前世の世界だったら、アイドルとかになってもおかしくないオーラがあった。 同じくらいの歳だったよな。彼女は無理でも、友達になれたら嬉しいんだけど、貴族は面倒ごとが多いからやめておくか。 あ、宿代くらいは請求しておけばよかったかもな……。そのくらいの価値はあっただろ。 まあ、お金は今のところ必要ないし、食料もある。寝るのは町の外でテントを張ればいいか。 上着を渡してしまったのを思い出したので、同じデザインの服をイメージし、バッグから取り出した振りをして新しい上着を着た。肌に馴染む布の感触が心地よい。  ——夜の森、バリアの限界 そろそろ夕方になってきたし、町から出て寝る場所でも探すか。空は茜色に染まり、鳥たちの囀りが聞こえる。西の空には、大きな夕日がゆっくりと沈んでいく。 町の外に出てしばらく歩くと、小高い森が見えてきた。木々の間から差し込む夕日が、地面に長い影を落としている。そこでバリアを張り、テントを設営する。直径数メートルはあるだろうか、透明な膜が周囲の空間を包み込んだ。テントの中にベッドと椅子とテーブルを出し、ゆったりと食事を済ませてからベッドに横になった。焚き火の代わりに、料理を温めるための温かい光が灯っている。 今日は町にたどり着いただけで、情報収集はほとんどできなかったな。明日は……ちゃんと情報収集しないとな。 まあ……今日は、この世界には「魔
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5話 予期せぬ投獄
 さらに、イメージによって『自分はすり抜けるバリア』と『すり抜けないバリア』を使い分けられることも判明した。試しに自分の爪をバリアで切ってみたが、傷一つつかない。しかし、目の前に張ったバリアに指で触れると、確かに硬い感触がある。これは、自分に対しては無害だが、他者や物体に対しては絶対的な防御と攻撃になり得るということだ。これによって使い道の幅がぐんと広がる。「うん。完璧じゃん。最高だ!」 俺はニヤリと笑った。その顔には、少年のような純粋な探求心が浮かんでいる。つい面白くて、薪の中に球体をイメージしてバリアを出し、切断してみた。球体にはバリアを張ったままで切れないようにイメージしたため、薪の中に完璧な球体ができあがっていた。「すげぇ~!」思わず感嘆の声が漏れた。まるで透明な彫刻を施したかのようだ。 そんな実験に没頭していたら、いつの間にか夜遅くなっていた。空は濃い藍色に変わり、満天の星が瞬いている。疲労は感じないが、空腹を覚える。 明日は情報収集という予定があるが、特に時間指定はない。昼でも夕方でも問題ないし、もっと言えば明日じゃなくても別にいい。このスキルがあれば、時間の制約すらも気にならなくなる。「異世界生活、楽しいかも。っていうか……スキルが便利で面白い!」 俺は満ち足りた気分で、ふかふかのベッドに身を沈めた。明日への期待が胸に広がる。 ——予期せぬ拘束 翌朝。 俺は朝食をとることにした。テントの中には朝の光がやわらかく差し込み、外からは鳥のさえずりが心地よく耳に響く。前世では、夜遅くまでゲームやアニメに夢中になり、寝不足がちで、朝食を食べる時間よりも出勤ギリギリまで睡眠を優先していた。だが今は違う。ゆっくりと時間が流れるこの贅沢を、心ゆくまで味わえる。「肉ばっかりだと飽きるよな……たまには野菜も食べないと」 俺は湯気を立てる温かい野菜スープ、彩り豊かなサラダ、焼きたての香ばしい匂いが食欲をそそるパン……そして、やっぱり豪快な骨付き肉も出した。テーブルの上は瞬く間に
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6話 予期せぬ再会
 俺は絶句した。薄暗く、じめじめとした牢屋に放り込まれてしまった。鉄格子の冷たい感触が腕に伝わる。床は湿っぽく、カビのような匂いがする。 明らかに人違いだろ……。隙を見て逃げるか? それとも、強引に出ていくか? う~ん……無実を訴えるか? はぁ……最悪だ。そもそも、罪状はなんだよ? なんの疑いで捕まったんだ? 壁にもたれかかり、今後の身の振り方を考えた。 ——ミリアとの再会と予期せぬ展開 30分ほど牢屋の中で今後どうしようか悩んでいると、外が騒がしくなってきた。慌ただしい足音や、何かの言い争うような声が聞こえてくる。「この町は騒がしいところだなぁ……他の町か村に移動するか……いや、それでもまずはここで情報収集しなきゃだよな」 聞き覚えがある声が聞こえてきた。怒っている口調で、兵士たちに何かを言っているようだ。その声には気品と、どこか必死な響きがあった。 兵士を怒鳴り散らせるくらいの、偉い人が来たのか……。 関わらないようにするか……それとも、その人に無実を訴えてみるか? いや、そもそも平民の俺は相手にされないんじゃ? 内心で迷っていると、声はますます近づいてきた。 声がだんだんと近づき、牢屋のある部屋のドアがギィと音を立てて開いた。眩しい光が差し込み、入ってきた人物を見て、俺は目を丸くした。そこにいたのは、昨日助けた少女だった。彼女の淡い金色の髪が光を反射し、青い瞳が俺を捉えた。「ゆ、ユウヤ様っ!」 少女は俺を見つけると、輝くような笑顔で駆け寄ってきた。その瞳は喜びで輝いている。顔は知っているけど、名前がすぐに出てこない……。「えっと……誰だっけ?」 俺が首を傾げると、少女は少し頬を膨らませた。その仕草は、昨日の可愛らしい少女そのものだった。
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7話 ミリアからの食事の誘い
 ミリアは潤んだ瞳で俺を見つめた。その視線に、俺は少しだけ心が揺らぐ。まるで子猫のような上目遣いだ。「貴族の礼儀とか作法とか知らないし……疲れそうだしさ」 俺は正直な気持ちを伝えた。堅苦しい場は性に合わない。投獄されて疲れた上に、さらに疲れる食事は勘弁してほしい。「そんな。わたくしの命の恩人様に、そのようなことは求めてはおりませんし……。どうしても、お礼がしたいだけです。命の恩人にお礼もせずに帰してしまっては、わたくしの家の恥になってしまいます。食事だけでもいかがでしょうか?」 彼女は必死に食い下がる。その言葉からは、貴族としての矜持と、純粋な感謝の気持ちが伝わってきた。これ以上断っていても、このまま付き纏われそうな気がする。「分かった……そのお礼だけで、もういいから」 俺は観念して頷いた。一度きりなら、まあいいか……と応じた。「はいっ♪」 ミリアは嬉しそうに、まるで花が咲いたかのような笑顔を見せた。そして、俺の腕を組んでそのまま馬車に乗せると、町の中にある巨大で豪華な屋敷へと連れてこられた。馬車の揺れが心地よい。「うわぁ……」 俺は思わず息をのんだ。町の中なのに、こんなに大きな屋敷で、庭も広いし静かな環境。芝生の青さが目に眩しく、手入れの行き届いた植木が並んでいる。鳥のさえずりが微かに聞こえ、喧騒から隔離された空間だ。羨ましいなぁ。まあ、俺のテントの周りも静かな環境で庭も広いぞ、豪華じゃないけどな……。 屋敷の門を警備の兵が開けると、馬車はそのまま中を通り過ぎ、広々とした敷地を抜け、玄関前で止まった。その壮麗さに、俺は改めてこの世界のスケールの大きさを感じた。 ——貴族の屋敷と予期せぬ求婚 馬車が止まると、ミリアはにこやかに俺を見上げた。「着きましたわ。ここは、わたくしの屋敷ですので気を使わずゆっくりしてお過ごしください」
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8話 予期せぬ求婚
 俺は内心で動揺した。心臓がドクンと音を立てる。それにしても、セミロングのサラサラの金髪は陽光を受けてキラキラと輝き、透き通るような青い目は宝石みたいにキレイだ。こんな近くで可愛い美少女を見られるなんて……。目のやり場に困る。 ミリアは少し顔を伏せ、戸惑いがちに口を開いた。その声は、控えめながらも真剣さを帯びていた。「あの……とても希少で高級な治療薬を使用をして頂いたとお聞きしています……しかも兵士達にまで惜しげもなく使って頂いたと……」 彼女の声は、どこか遠慮がちだ。「それも含めて、お礼は終わってるよ」 俺は軽く手を振った。別に気にすることじゃない。「いえ……それにキスまで……」 ミリアは顔を真っ赤にして、じっと俺を見つめてきた。その潤んだ上目遣いに、俺の心臓が少しだけ跳ねる。「うわぁ……上目遣いで頬を赤くして……可愛いなぁ……」 多分、どこの世界でも、貴族と平民だし付き合ったり仲良くするのは無理だろうなぁ……。彼女や友達にしても面倒になりそうだよな。貴族だし。「キスではなく、助けるためにしただけだよ? 気を失い掛けていて、一人で治療薬を飲めなかったので……口移しで飲ませただけで……」 俺は慌てて釈明した。誤解されては困る。「それでも、皆の前でキスをされたので……わたしは……」 ミリアの声が小さくなる。ん?まさかキスをしたので結婚とか? まさかなぁ……。一抹の不安がよぎる。「わたしは……ユウヤ様のお嫁さんになります……」 彼女の言葉に、俺は思わず固まった。
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9話 お付き合い=婚約、だそうです
「でも親が許さないんじゃない? 平民だよ俺は」「それも問題ありません。瀕死の状態の者を治療できるお方で貴重ですし。見返りを望まない無欲で勇敢なお方ですし。何より……この、わたくしが望んでいますので……」 ミリアは俺の目をまっすぐ見つめ、その言葉には一切の迷いがない。その真剣な眼差しに、俺は押し流されそうになる。 うわぁ……逃げられないじゃん。 別にミリアを嫌な訳じゃないけど、急ぎ過ぎで少し強引過ぎじゃない?「急だしさ、お付き合いをしてからじゃないの?」「お付き合いですか? お付き合いをしたら婚約と同義なので、どちらにしても結婚ですけれど?」 ミリアは首を傾げた。その仕草は可愛らしいが、俺の常識とはかけ離れている。「なんで、そうなるの?」「お付き合いをして取り消されたらお互い、どちらかが問題があるという事になりますので……普通は、今後の結婚がし難くなります。お付き合いと婚約は同じなのですよ」「あ~なるほど……」 この世界の常識か。俺は頭を抱えたくなった。完全に詰んでるじゃないのか……これ。「お話は、これくらいにしまして、お食事をしませんか?」 ミリアは、にこやかに提案した。その笑顔は、まるで何もなかったかのように明るい。「そうだな」 なんだか一気に食欲が無くなったんだけど。少し貴族の食事を楽しみにしていたんだけどな……。なんだか、やっぱり気楽に食べられるラーメンが恋しくなってきた。 リビングに移動すると、広くて豪華な感じで圧倒されるね……さすが貴族様って感じのリビングだなぁ。天井は高く、中央には豪華なシャンデリアが煌めいている。壁には精巧な彫刻が施され、窓からは陽光が降り注ぐ。「スゴイね……さすが貴族様って感じ」 俺は思わず感嘆の声
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10話 “忍び”って、こんなに目立っていいんだっけ?
 俺が礼を言うと、メイドは深々と頭を下げた。「いえ。お役に立てて良かったです」 教え終わると、メイドはお辞儀をして元の位置に下がった。その動きは流れるようにスムーズだ。「ポーションを売ろうと思ってるんだけどさ、価格ってどれくらいが良いと思う?」 俺はポーションの話を切り出した。「えっ!? あの治療薬ですか?」 ミリアは目を見開いた。「まぁー色々と売ろうと思ってるんだけど、ここに来たばっかりでさ、価格設定の相談が出来る知り合いがいなくてさ……困っていたんだよね」「あの治療薬をお売りになられるんですか?」 ミリアの声には、動揺が混じっている。「まぁ……商人をしようかと思って」「それはダメです。あの薬を売ると大混乱が起きかねませんので……お止めください」 ミリアはきっぱりと言い放った。その表情は真剣そのものだ。「え!? ダメなの? 混乱? なんで?」 貴族なら金儲けの話に乗ってくるんじゃ? 儲かりそうな話をしてるんだけど? この世界じゃポーションって栄養ドリンク程度で傷も治らないんだろ? 医者も応急手当だけで手術も出来なそうだし。「あの薬は、規格外に強力な効果を持っています。医者ギルド、軍事、他国等も係わって来ますのでユウヤ様の争奪、技術を手に入れようと最悪、戦争が起きる可能性も出てきますよ」 ミリアは早口で説明した。その言葉に、俺は思わず息をのむ。俺の事を心配してくれてたのか……っていうより頭良すぎじゃない? 金儲けより俺の事を、そこまで考えてくれたのか……。むしろ俺が売ることしか考えてなかった俺がバカ過ぎたか。「え? そこまで?」「瀕死の方が瞬時に回復をするのですよ?そのような治療薬存在していませんので、医者になった方が生活ができなくなりますよね?」 そりゃそうだ。逆の立場なら俺も生活が出来なくなれば、どうにかしたくなるかもな
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