Semua Bab 異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。: Bab 61 - Bab 70

96 Bab

60話 ミリアム王子との再会

 ミリアは、俺の態度に気づくこともなく、満面の笑みで答える。その笑顔が、今は少しだけ、つらかった。嬉しそうに話すミリアを見ていると、その言葉を聞きたくないと思ってしまう自分が、また嫌になる。朝に反省したばかりなのに。“器が小さい”って、自分で分かってるのに。 ――我慢、我慢。 俺は、ギリッと奥歯を噛みしめた。ミリアは何も悪くない。ただ、懐かしい友人との再会を楽しみにしているだけだ。それなのに、こんなふうに心がざわつくのは――きっと、俺が本気で彼女のことを想っているからだ。それが、余計に苦しかった。 なんとか数日間、耐え抜いた。ミリアの隣で、笑顔を保ち、言葉を選び、自分の感情を押し殺して――ようやく、目的地に着いたらしい。馬車の窓から見えたのは、またしても立派で豪華なお屋敷だった。白い石造りの壁に、手入れの行き届いた庭園。門の前には、衛兵が整列していて、まるで王族の別邸のようだった。「こちらも、わたくしのお屋敷ですので、ゆっくりとしてくださいね」 ミリアは、優雅に微笑んだ。「ありがと……」 俺は、形式的に礼を言った。心がこもっていないのは、自分でも分かっていた。「これから、どう致しますか?」「町を見て回ろうかな……」「ご一緒いたしますわ」 ミリアが、当然のように言った。「そうだね。詳しくないし……迷子になっちゃうかもしれないし」 不貞腐れたような口調になってしまったのは、自分でも抑えきれなかった。「ご案内をいたしますわね」 ミリアは、何も気づかない様子で、にこやかに言った。 ――その笑顔が、今は少しだけ、つらい。 荷物を降ろし終えると、俺たちは再び馬車に乗って町へ向かった。馬車の中、ミリアは楽しそうに町の話をしていた。けれど、俺の心はどこか遠くにあった。 ――いつまで、こんなふうに笑っていられるんだろう。「まずは、ミリアム王子をご紹介いたしますわね」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-16
Baca selengkapnya

61話 衝動的な逃避と戦闘での憂さ晴らし

「婚約は解消して、俺と友達になったんだ?そっか……」 俺の声は、自分でも驚くほど冷たかった。「二人は仲が良いんだし、そっちのお友達と婚約すれば?お似合いの美男美女で、良いんじゃないの?――邪魔者の俺は、消えるよ……」 言い終えた瞬間、空気が凍りついた。ミリアは、まるで何かに打たれたように目を見開いて、その場に立ち尽くしていた。ミリアム王子も、驚いたように俺を見ていたが、すぐに視線を伏せ、何も言わなかった。俺の胸の中には、怒りと後悔がぐちゃぐちゃに渦巻いていた。言ってしまった。言うべきじゃなかったのに――でも、もう止められなかった。ミリアの唇が、かすかに震えていた。「ユウヤ……様……?」 その声は、かすれるように小さくて、でも、確かに俺の名前を呼んでいた。「ちょ、ちょっと待ってください!まだ婚約の発表をしてませんし……!」 ミリアの声が、狼狽したように震えていた。でも、もう俺の中では何かが壊れていた。「他の国では、堂々と嬉しそうに発表してたのに?そいつの前では隠すんだ?――まぁ、もう婚約をお互いに解消したから、どうでもいいけど」 言葉が止まらなかった。止めたくても、止まらなかった。「今までありがと。お幸せにね。――さよなら!」 ミリアの言葉を遮って、一気にまくし立てた。そして、背を向けた。もう、これ以上ここにはいられなかった。足音が石畳に響く。その背後から――「お待ちになって!ユウヤ様ーっ!!」 ミリアの悲痛な叫びが追いかけてくる。その声に、足が止まりそうになる。でも、振り返ることはできなかった。もし振り返ったら――きっと、もう二度と前に進めなくなる気がしたから。 背後から足音が迫ってくる。ミリアだ。「ユウヤ様、待ってください――!」 その声を振り払うように、俺は早足で歩いた。振り返らなかった。振り返れなかった。王城を出て、王都の喧騒を抜け、ただひたすらに、足を前へと運んだ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-17
Baca selengkapnya

62話 ミリアが生まれて初めての反省と後悔をした日

 だが――その攻撃が、面白いように避けられる。体が、軽い。視界が、冴えている。動きが、読める。やっぱり、あのときの大型の犬型モンスターを倒してから、何かが変わった気がしていた。力も、体力も、素早さも――まるでレベルが一段階、いや、それ以上に上がったような感覚。体が思った以上に軽くて、感覚が、研ぎ澄まされている。 ――これが、俺の本当の力なのか? 剣を構え直す。モンスターの動きが、スローモーションのように見えた。「さあ――楽しませてくれよ」 剣を振るうと、スパスパと斬り刻んで――一瞬で終わってしまった。俺の剣は、まるでバターを切るかのように、抵抗もなくモンスターの身体を両断した。 ……うぅ~ん。見かけ倒しか。 低級のモンスターだったのかもしれない。拍子抜けして、思わず肩の力が抜けた。それにしても――剣をバリアで覆うって、かなり良いかもな。剣の耐久性を気にしなくていいし、斬れ味も落ちない。これなら、どんな素材の剣でも長く使える。 ……あれ?これって、なんか冒険者っぽくない?戦闘って、嫌いだと思ってたけど――思った通りに体が動いて、敵を倒せると……楽しいかも。 いや、楽しい。むしろ、ちょっと好きかもしれない。 俺は、新しい自分を発見したような気がしていた。そのまま調子に乗って、どんどん森の奥へと進んでいった。気づけば、あたりは見覚えのない景色に変わっていた。「……うわ。やっちゃったよ」 立ち止まり、辺りを見回す。現在地も分からないし、帰り道も覚えていない。 でも――「あ、でも……帰る場所も、もう無いんだった」 俺は、空を見上げて、ため息をついた。テントもあるし、食料もある。別に困ることはない。このまま、あてもなく進むのも――悪くないかもしれない。誰にも縛られず、誰にも期待されず、ただ、自分の足で、自分の行きたい方へ。そんな生き方も、悪くない。♢ミリアの絶望とメイドの助言
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-18
Baca selengkapnya

63話 後悔と涙、そしてすれ違う心

「……そうか。それもあるな」ミリアムは、短く息を吐き、すぐに兵士へと命じた。「兵を動かせ。ユウヤ様の捜索を開始しろ!  王都から出る者は、すべて厳しくチェックするように!」巻き込まれただけ――本来なら、そう言って済ませたいところだった。だが、もうそんな段階ではなかった。ミリアがここまで取り乱すのは、初めてだ。  幼馴染として、心配しないはずがない。だがそれ以上に――この件が解決しなければ、  自分自身が“重大な渦”に巻き込まれるのは確実だった。ミリアの婚約者を怒らせ、彼女を泣かせ、  その場にいた自分が“奪った”と見なされれば――世間体はもちろん、皇帝陛下からの印象も最悪になる。  隣国との関係にも、深刻な亀裂が入るかもしれない。――これは、まずい。ミリアムは、必死になるしかなかった。冷静を装っていたが、顔には焦りと緊張が滲んでいた。この件を、何としてでも収めなければならない。それが、王族としての責任であり――  何より、ミリアを守るための唯一の道だった。ミリアは、馬車の中で静かに目を伏せていた。揺れる車輪の音に身を任せながら、 屋敷での出来事、そして馬車の中でのユウヤの反応を思い返していた。――そういえば、あのときからだった。ミリアムの話をし始めてから、ユウヤの態度が急に素っ気なくなった。 それまでは、何気ない会話にも笑って応じてくれていたのに、 あのときから、彼はほとんど自分に話しかけてくれなくなった。そして――いつもなら、馬車の中では自然と膝枕をしていたのに。 今回は、ユウヤからも求めてこなかったし、 自分からも、してあげなかった。そのことに、今さら気づいた。自分は――ミリアムの話に夢中になっていた。ユウヤの表情が曇っていたことにも、 彼が何かを言いかけてやめたことにも、 何ひとつ気づいてあげられなかった。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-19
Baca selengkapnya

64話 すれ違う想いと、それぞれの居場所

「もし、ユウヤ様が突然――  女性の幼馴染のことを楽しそうに話し出して、会いに行って……  何の説明もなく、ミリア様のことを“友達”として紹介されたら……どう思われますか?」ミリアは、はっと息を呑んだ。その瞬間、何かが胸の奥で崩れ落ちるような感覚がした。――あれは、ユウヤ様にとって、どれほど残酷なことだったのか。ようやく、少しずつ理解し始めていた。ミリアは、少し考え込んだあと―― 想像してみて、はっとした。そして、嫌そうな顔をして、 ゆっくりと、理解が追いついてきた。その瞬間、彼女の表情は、まるでこの世の終わりのように沈んでいった。「はぁ……それは……最低ですわね……」ぽつりと、呟く。「わたしとミリアムが本当に“友達だけ”だということを、  ユウヤ様は知らなかったのに……」「そんな中で、わたし……馬車の中で、2時間も……  嬉しそうに、ミリアムの話ばかりしてしまいましたの……」声が震える。「最後には、何の説明も相談もなく……  “友達”として紹介までしてしまって……」「はぁ……ううぅ……どうしましょう……」ミリアは、顔を覆い、泣き崩れた。「うわぁ~ん……ユウヤ様ぁ……っ」その叫びは、後悔と愛しさが混ざり合った、痛切な祈りだった。メイドは、そっと寄り添いながら、静かに言った。「……捜索中ですので、今は&hellip
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-20
Baca selengkapnya

65話 空元気と聞こえた悲鳴

怒りの熱が、少しずつ冷めていく。 代わりに、胸の奥に小さな冒険心が灯っていた。「さて――何があるかな」彼は、静かに笑った。洞窟の中で、ユウヤは次々とモンスターを倒していった。気づけば、最奥までたどり着いていた。「うぅ~ん……強いモンスター、出てこないな……」ユウヤは、少し物足りなさそうに呟いた。剣を振るう爽快感はあった。  だが、それだけでは――心は満たされなかった。何かが足りない。  何かが、ずっと胸の奥で引っかかっていた。洞窟の外に出ると、すでに夜の帳が降りていた。冷たい風が頬を撫で、空には星が瞬いている。ユウヤは、再び洞窟の中へ戻り、 安全な場所を選んでテントを設営した。周囲にバリアを張り、最低限の防御を整える。そして、ベッドに体を預けた。静かな闇の中――考えたくないのに、考えてしまう。ミリアのこと。 あのときの言葉。 彼女の表情。 そして、自分が選んだ“別れ”という選択。「……くそ……」思考が渦を巻くたびに、イライラが募っていく。だから、何も考えないようにした。ただ、目を閉じて、眠りに逃げ込む。けれど、胸の奥では――  去ってきたミリアのこと、  そしてこれからどうすべきかという、  漠然とした不安が、静かに渦を巻いていた。♢再びの牢屋とミリアとの対峙 翌朝――「うぅ~ん……はぁ……良い朝だっ!」 ユウヤは、わざとらしいほど大きく伸びをして、空を仰いだ。朝の空気はひんやりとしていて、肺の奥まで澄み渡るようだった。木々の間から差し込む光が、テントの前に柔らかな影を落としている。「さぁーて、朝食にするかー。今日はちょっと、お
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-21
Baca selengkapnya

66話 正義と優しさ、そしてやりすぎた反省

 彼は、剣を手に取り、バリアで刃を覆った。その目には、もう迷いはなかった。「はぁ……ホントによく盗賊に会うなぁ……」 ユウヤは、深くため息をついた。「面倒だけど……困ってる人を放っておけないよな」 そう呟きながら、彼は装備を整え、怪しまれないように、あえて“普通の冒険者”の格好で歩き出した。足音をわざと立てながら、堂々と盗賊たちの方へ近づいていく。すると、すぐに声が飛んできた。「おい!貴様、何者だ!」 ユウヤは、平然とした表情で立ち止まり、肩をすくめた。「いや……ただの冒険者ですけど?モンスターを討伐に来てて、今は帰る途中なんですけど。なにか?」 その言葉に、盗賊たちはざわついた。そのとき――「助けて!!」 捕らえられていた女性の一人が、必死に叫んだ。 バシンッ!!「黙ってろ……クソが!」 盗賊の一人が、怒鳴りながら女性の頬を殴りつけた。乾いた音が響き、女性の口元から血が垂れた。ユウヤの目が、すっと細くなる。「……うわ。ヒド……」 その瞬間、胸の奥に、静かな怒りがこみ上げてきた。「女性に、それはナシでしょ……」 ユウヤは、ゆっくりと手を上げ、捕らえられた女性たちの周囲にバリアを展開した。淡い光が彼女たちを包み、守る結界となる。そして、帯剣していた剣を抜いた。刃が空気を裂く音が、静かに響く。 盗賊たちが一斉に武器を構え、襲いかかってくる。だが――ユウヤの動きは、彼らの想像を遥かに超えていた。一歩、踏み出す。その瞬間、風が巻き起こり、視界が揺れる。ユウヤの剣が、まるで光の軌跡のように閃いた。 ――ザシュッ! 一人、また一人と、盗賊たちが次々に倒れていく。剣はバリアで覆われており、刃こぼれひとつない。斬撃は正
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-22
Baca selengkapnya

67話 捕縛、そして再びの牢屋

「通り掛かっただけですので、気にしないでください」 ユウヤは、そっけなく答えた。声に感情は乗せず、視線も合わせない。それ以上、関わるつもりはなかった。彼はくるりと背を向け、山の方へと歩き出す。「さ、帰ろっと……」 ぽつりと呟いたあと、ふと足を止める。「……帰る場所がないか……」 自嘲気味に笑い、肩をすくめる。森に戻るしかない。テントを張って、また一人で眠るだけの夜が待っている。そう思って歩き出そうとした、そのとき――「町まで帰るのですよね?一緒にお願いします!」 女性の一人が、ユウヤの腕を掴んだ。その手は細く、まだ震えていた。必死な表情で、彼を見上げている。ユウヤは、思わず言葉を詰まらせた。 ――えぇ?帰る途中って言っちゃってるし…… 視線をそらしながら、頭の中で状況を整理する。向かっている方角は、ミリアと一緒に来た町――できれば、今は行きたくない場所だった。けれど、彼女たちをこのまま森に置いていくわけにもいかない。途中でまた盗賊に襲われたら?モンスターに出くわしたら?その可能性を考えると、放っておけなかった。「……はぁ……」 ユウヤは、内心で深くため息をついた。けれど、顔には出さず、静かに頷いた。「分かりました。町まで、お送りします」 女性たちの顔に、安堵の色が広がる。ユウヤは、再び歩き出した。背後から聞こえる足音が、三つ。誰かと一緒に歩くのは、久しぶりだった。その事実が、ほんの少しだけ、胸の奥を温かくした。 町の門をくぐり、助けた女性たちを無事に送り届けたユウヤは、そのまま町を出ようと、門の方へと足を向けていた。だが――「そこの者、止まれ!」 鋭い声が背後から飛んできた。振り返ると、数人の兵士がこちらに向かって歩いてくる。そのうちの一人が、人相書きのような紙を手にしていた。ユウヤの顔をじっと見比べている。「…&
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-23
Baca selengkapnya

68話 牢屋での再会とミリアの告白

「……ユウヤ様ぁ……ユウヤ様ぁ……大丈夫ですか?具合でも悪いのですか……?」 かすかな声が、耳元で揺れた。まぶたの裏に、柔らかな光が差し込んでくる。目を開けると、そこには――泣き腫らした目で、今にも崩れそうな表情のミリアがいた。頬は赤く、目元は涙で濡れている。それでも、必死に笑おうとしていた。ユウヤの頭は、彼女の膝の上に乗せられていた。 ――膝枕。 状況を理解するまでに、数秒かかった。牢屋の中。冷たい石の床。そして、ミリアの震える手が、そっと額に触れていた。その手は、少し冷たくて、でも優しかった。「……え?」 寝起きの頭がぼんやりとしたまま、ユウヤは瞬きを繰り返す。だが、すぐに我に返った。 ――うわぁ。気まずいんですけど……。 思わず、体をこわばらせる。ミリアの方が、よほど具合が悪そうだった。顔色は青白く、目の下にはくっきりとした隈が浮かんでいる。それでも、彼女はユウヤの顔を覗き込みながら、震える声で何度も名前を呼んでいた。「ユウヤ様……本当に……ごめんなさい……」 その声は、かすれていて、けれど真っ直ぐだった。ユウヤは、何かを言いかけて――言葉を飲み込んだ。牢屋の中に、静かな空気が流れる。鉄格子の向こうから差し込む光が、ミリアの綺麗な金髪を髪を淡く照らしていた。「あ、あぁ……大丈夫……」 ユウヤは、ようやく言葉を返した。寝起きのぼんやりとした頭が、少しずつ現実に追いついていく。ミリアの膝の上から、そっと体を起こしながら、彼女の顔を見上げて言った。「もう……開放してくれないか?俺、悪いことはしてないのに……また捕まったんだけど?」 声には、呆れと皮肉が混じっていた。ミリアは、少しだけ目を伏せたあと、
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-24
Baca selengkapnya

69話 揺れる心と、偽りの壁

 まっすぐに、ユウヤを見つめる。その声は、震えていなかった。泣き腫らした目の奥に、強い光が宿っていた。 ――どれだけ拒まれても、離れない。 その覚悟が、言葉よりも強く伝わってきた。ユウヤは、言葉を失ったまま、ミリアの瞳を見返した。牢屋の中に、静かな熱が満ちていく。「はぁ……」 ユウヤは、深くため息をついた。ミリアの決意に返す言葉も見つからず、ただ頭を抱えるようにして、壁にもたれかかる。そのとき――「無事にユウヤ様を保護したのか!?」 鋭く、よく通る声が牢屋の外から響いた。ミリアム王子の声だった。ユウヤは、眉をひそめて顔を上げる。「は、はいっ!」 兵士の慌てた返事が続く。 ――いやいや、そこは「はい」じゃないだろ。 ユウヤは、心の中でツッコミを入れた。保護じゃなくて、「捕らえて投獄しました」だろうが。まったく……どこの王国でも、命令ってやつは途中でねじ曲がるものらしい。「それで……どちらに、いらっしゃるのだ?」 ミリアムの問いかけに、兵士たちは沈黙した。扉の向こうで、誰もが顔を見合わせているのが目に浮かぶ。やがて、ギィ……と重い音を立てて、牢屋へ続く扉が開いた。ミリアム王子が姿を現すと、案の定――「なんてことをしているのだ!“保護”しろと命じたはずだが!?」 怒りを露わにし、兵士たちを睨みつけた。その鋭い視線に、兵士たちは一斉に背筋を伸ばす。「た、隊長から……“捕らえよ”との命令を受けまして……す、すみません!」 兵士の一人が、縮こまるように頭を下げた。ミリアムは、苛立ちを隠さず、深く息を吐いた。ユウヤは、鉄格子の中からその様子を見つめながら、肩をすくめて小さく呟いた。「……もう、どっちでもいいけどな」 その声には、呆れと疲れ、そしてほんの
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-25
Baca selengkapnya
Sebelumnya
1
...
5678910
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status