店員の言葉を聞いて、ようやく開人はあの青いギフトバッグに再び目を向けた。「これは......南が置いていったものですか?」彼は念を押すように確認した。「はい」と店員はすぐに答えた。「ギフトバッグの封に、奥様からのメッセージが貼ってあります」そのときになって、開人はようやく気づいた。袋の封に、淡いピンク色の付箋が貼ってあり、そこには美しく整った文字でこう書かれていた。【開人へ】その文字を見た瞬間、開人は思わず胸が高鳴った。これは南の筆跡だ。彼にはすぐにわかった。彼女の文字は、彼女自身と同じように清らかで、控えめで、そしてとても美しかった。その文字に触れるように指を伸ばしながら、開人の口元には自然と笑みが浮かんだ。南が「プレゼント」を残していったということは、怒っていないという証拠だ。もしかしたら、本当に店員の言うように、これはサプライズかもしれない。ふと、昔羽彌と同じようなことをした記憶が蘇る。デートのときにわざと姿を見せず、プレゼントを置き、そこに今どこにいるかのヒントを忍ばせていた。そして彼がそのヒントを頼りにたどり着くと、羽彌はセクシーなランジェリー姿でベッドに横たわり、彼を待っていた......その記憶を思い出しただけで、開人の喉がゴクリと鳴った。まさか、あの清楚で淡泊な南まで、こんな刺激的なプレイを仕掛けてくるとは......!きっと、最近の自分があまりにも冷たくしていたからだ。だからこそ、今日のデートで少し違ったことをして、夫婦の間にもう一度火を灯そうとしたのではないか?そう考えると、開人の心にはほんの少し罪悪感が湧いてきた。すべては羽彌のせいだ。あの悪魔がしつこくまとわりついて、南に時間を割けなかったんだ。でも、今日は違う。今日は時間を作って来た。今夜こそ、南にたっぷりの愛情とロマンを返してやろう。そう心に決めると、開人は待ちきれないようにギフト袋を開けにかかった。南、待ってろ。今すぐに君を探しに行くからな!しかし、ちょうどその時だった。彼のスマホが激しく振動し始めた。イライラしながらも、仕方なくポケットからスマホを取り出し、着信に出た。「もしもし、島岡さんでしょうか?」電話の向こうから聞こえてきたのは、聞き覚えのない男
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