隼人は雑誌を置き、淡々と言った。「篠原家と西園寺家が縁組をしようとしている。君の甥っ子が俺の人間を娶るそうだ」「……???」浩邦の顔が引き攣った。「ちょっと待ってくれ」そう言うと、隼人は急いで西園寺家に電話をかけた。家の庭に立ったまま事実を確認すると、その場で怒鳴りつけた。「兄貴、洵の嫁探しが急ぎだとしても、あいつが釣り合うかどうか考えろよ!だって、篠原先生は今、うちの娘の先生なんだぞ!」「すぐにこの話を断れ。これ以上篠原先生に手を出そうものなら、兄弟の縁も終わりだ」電話を切ると、浩邦は頭を抱えながら中に入ってきた。「もう解決した」隼人が言った。「なぜ直接『篠原先生は俺のものだ』と言わなかった?」浩邦は呆れたように隼人を見た。「篠原先生はまだ東雲家のあいつと離婚届を出していないんだ。『隼人君のもの』だなんて言ったら、篠原先生の評判を落とすだけだろ?」隼人は憤慨した。「俺が評判を落とす?篠原家のやっていることは評判を落とすことじゃないのか?」浩邦は合わせた。「篠原家が人間じゃないのは、今に始まったことではない。そういえば、離婚届を出せるまであと何日だっけ?」隼人は即答した。「5日」「さすが、よく覚えているね」浩邦は隼人をからかった。隼人が話題を変えた。「篠原さんは澪音に授業をしているのか?」それを聞いて、浩邦は嬉しそうに言った。「ああ、さっきの澪音の様子を見てたら、病気だなんて思えないくらいだよ」隼人の口元に優雅な笑みが浮かんだ。「澪音が篠原さんを気に入っている証拠だ」「うん、とても気に入っているよ」浩邦は立ち上がって酒棚から酒を取り出した。「一杯どうだ?まだ時間も早いし」「いいだろう」-授業が終わり、ことははしばらく澪音と過ごしてから出てきた時には、もう10時近くになっていた。白鳥夫人は澪音を部屋に連れて行き身支度をさせながら、澪音に言った。「篠原先生、神谷社長は下で私の父とお酒を飲んでいますよ」それを聞いて、ことはは一瞬固まった。神谷社長がいる?ことははうなずくと、一階へ降りていった。案の定、リビングに座っている二人の男が酒を飲みながら話しているのがことはの目に入った。酒が回ったせいか、隼人はとっくに上着を脱ぎ、袖をまくり上げ、シャツのボタンを三つも外していた。だらりと
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