ことはは感謝の言葉を言うと、すぐに主任医師とラインを交換した。主任医師は用事があると言って去っていき、二人はまだそこに残って中の様子を観察していた。ことはが尋ねた。「駿さん、どうしてこの人が、昔私と寧々を入れ替えた張本人だと確信できるの?」「本人がそう言っていたからだ」ことはは、静かに彼の次の言葉を待った。「彼はよく支離滅裂なことを言うんだが、一番多いのが、『篠原典明という畜生に、一生実の娘に会わせない』という言葉だった」ことはの瞳孔がわずかに収縮し、表情が硬くなる。しばらくして、彼女は尋ねた。「駿さん、この話を誕生日プレゼント一つと引き換えるには、あまりにも釣り合わないんじゃないかしら。本当の目的を話したらどう?」駿は目を輝かせ、ことはへの称賛と好意をさらに深めた。「本当に賢いな。道理で涼ちゃんが君を手放さないわけだ」ことははわずかに眉をひそめた。そのような褒め言葉は、あまり好きではなかった。「本題に入ってもらえるか?」「分かった、分かった。もう君の前で涼ちゃんの話はしないから」駿はそう言うと、片手をポケットに突っ込み、二人はゆっくりとその場を離れた。彼は、ゆっくりと語り始めた。「俺と涼ちゃんの仲が良いのは事実だ。うちの家同士に商売上の付き合いがあるのも、君は知っているだろう。東雲家の若造と寧々の件で、君も、君の養父がどういう人間か、よく分かったんじゃないか?」言葉の裏に、何かがある。ことはは、それを感じ取った。「篠原典明は悪徳な男だ。俺と涼ちゃんの仲を利用して、うちの商売を潰そうと画策している」そう言う時、駿の顔から笑みは消え、代わりに冷たい光が宿っていた。ことはの心が震えた。「俺と涼ちゃんの仲が良いことと、これは別の話だ。その関係があるからといって、篠原典明が陰でうちの家に仕掛けてくるのを、黙って見過ごすわけにはいかない」駿は言った。「ある意味、俺たちはお互い被害者同士だ。だから、ことはちゃん、俺と協力関係を結ぶことを考えてみないか?」「どう協力するの?」ことはは尋ねた。「篠原典明を、引きずり下ろすのさ」ことはは、何も言わなかった。駿は驚いた。「まだ、彼を父親だと思っているのか?」ことはは言った。「少し、考えさせてください」駿は唇を歪めた。「いいだろう。いつでも返事を待って
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