「ストリア公爵、ちゃんと話し合いの時間を先に取ってくれよ。俺は君からリリアナ嬢を取り上げようなんて思ってないんだから」 先程、私にしがみつき愛の告白をしてきたアッサム王子は、スッと立ち上がり私の手を取りレオの方に行くように促した。 アッサム王子の手が微かに震えていて彼が気になってしまうが、私はなぜか彼の表情を見れずレオから目を逸らせなかった。 「そうでしたか⋯⋯失礼致しましたa。それでしたら、レオナルド・ストリア及び第1騎士団は王家に忠誠を誓わせて頂きます」 レオは膝をつき、剣を床に立てながら厳かに言った。 「リリアナ嬢、君は自分の気持ちに従えば良い。君がストリア公爵を好きで、王家に嫁ぎたくない気持ちを尊重するよ。俺は君の恋を応援する」 後ろから聞こえるアッサム王子の言葉が少し震えている。 (彼は本当に私が好きで、私の為に私を諦めると言っている⋯⋯) 「では、リリィは連れて行きます。この度の襲撃で王家が被った損害はストリア公爵家が持ちますので⋯⋯」 レオが立ちあがろうとした時、私はこの上ない怒りを彼に感じた。 ストリア公爵家は武力では王家を凌ぐ程の力を持っている上に、マケーリ侯爵家の財力も手に入れている。 カサンデル王家や他の貴族が無視できない財力と権力を持っているから、このような強引な手段に出られるのだ。 (それで、どれだけの犠牲が出たと思ってるのよ!) パシン! 私は気がつくと、立ちあがろうとしたレオの右頬を思いっきり引っ叩いていた。 「痛い? 斬られた騎士はもっと痛かったのよ! 暴力に訴えるなんて、レオは会話もできないの? もし、誰か1人でも死んでたら許さないから。ここにいる騎士を全員治療するまではレオとは一緒に行かないわ」 私の言葉にレオが
Last Updated : 2025-07-19 Read more