Lahat ng Kabanata ng 月を杯に、群山を友に: Kabanata 21

21 Kabanata

第21話

晨也はしばらく呆然としていたが、完全に絶望したわけではなかった。彼には、一般人から見れば「巨額」とも言えるほどの貯金がまだ残っていた。それがあれば、菜月を探し続けることができると信じていた。彼の携帯は常に電源が入ったままだった。菜月に関する情報を一つも逃したくなかったからだ。しかし、そのお金はすぐに底をついた。菜月の情報が掴めるどころか、彼のもとには次々と詐欺師からの電話がかかってきた。皆が口を揃えて「彼女を見かけた」と言い、先に金を支払えば詳しく教えると持ちかけてきた。彼はそれを一つ残らず受け入れた。どんな金額を提示されても、ためらわずに支払った。こうして彼の口座からは、絶え間なくお金が流出し続け――ある日、振込をしようとした瞬間、「残高不足」の表示が出た。それ以降は、詐欺師たちすら彼に見向きもしなくなった。彼はまるで墓のように静まり返った別荘に籠もり、ひたすら謝罪の手紙を書き続けた。そしてまた一ヶ月が過ぎた頃、ついに力尽きて倒れた。退職しにきた使用人に病院に運ばれた。父と母は、もはや息子のことを心配し過ぎて感情も麻痺していた。だが彼が財産を食いつぶした今、面倒を見られるのはもう両親だけだった。医師は検査結果を見たあと、重々しい口調で言った。「できるだけ早く、心の準備をなさってください。患者は極度の精神的ストレスと深刻な心身のダメージを抱えています。この状態が続けば、自殺行為が出る可能性もあります」父と母は雷に打たれたかのように青ざめた。だが選択肢はなかった。彼らは息子を救うため、最後に残った不動産を売り払い、彼を療養施設に入院させた。かつて栄華を極めた晨也は、今やすべてを失った。財産、地位、名誉……そのどれもが彼の手からこぼれ落ちた。だが彼は気にしなかった。療養院の中でも、彼はただ紙に同じ言葉を書き続けていた。「菜月、ごめん」時は流れ、四年があっという間に過ぎ去った。今は賀来澄として暮らす菜月は、娘の手を引いて街中の公園を歩いていた。優しく語りかけながら、周囲の景色を紹介していた。「この街、とっても綺麗でしょ?高いプラタナスの木に、黄色く色づいた落ち葉……」娘は頷いた。「ママ、この街、来たことあるの?」「いいえ、ママも今日が初めて」「でも、
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