義堂は怒りと混乱の中で監視室へと向かい、直接その日の録画映像を再生させた。彼女があの絵を受け取った日付を指定し、画面に映し出されたのは、確かに小雪の姿だった。彼女は……自らその絵を破いた。静かに、丁寧に、そして躊躇なく、裂けたキャンバスをもう一度包み直し、元の場所に戻していた。「違う、違う……小雪がこんなことをするはずがない……!」義堂の目が震え、無意識に口から言葉が漏れた。傍にいた使用人が気まずそうに言葉を探した。「奥様……ご自分の描かれ方が気に入らなかったんでしょうか……?」「そうだ、きっとそうだ……今度はもっと綺麗に描いてもらおう、小雪が帰ってきたら……」必死に現実から目を背けながら、義堂はよろよろと立ち上がった。だが、主寝室へ戻った彼は、さらなる衝撃を受けた。──ベッドがない。「ベッドはどこだ!?俺と小雪のベッドは!?」驚きの声に、別の使用人がおずおずと答えた。「奥様が運ばせたのです。下の庭に……」「庭?」彼はまるで悪夢を見るかのように、ふらつきながら庭へと向かった。そこにあったのは、かつて二人が共に眠った証──そのベッドの、灰だった。真っ黒に焼け焦げた跡が、無残に広がっている。「ベッドは?」「奥様が……火をつけて焼かれました……」「な、なんだと……?」義堂は信じられないという顔で後ずさり、そしてその場に崩れ落ちた。あのベッドは、二人が結婚した年に小雪が自ら選んだものだ。どうして彼女がこんなにも焼いてしまうことができただろうか?使用人たちは顔を見合わせた。義堂が知らないはずがないと思っていた。「旦那様、ご存じなかったのですか?」義堂は首を振った。どうして知ることができよう?彼はもう何日も家に帰っていなかったのだ。ふと屋内を見回すと、小雪に関わる品々の多くがすでに消えていることに気づいた。動揺しながらスマートフォンを取り出し、何度も登録している番号を呼び出す。着信音は鳴らず、代わりに聞こえてきたのは、冷たい音声ガイダンスだった。「おかけになった電話番号は現在使われておりません。番号をお確かめの上、もう一度おかけ直しください」使われていない?義堂は自分の耳を疑った。番号は間違っていない。妻の番号を間違えるはずがない。だが、再
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