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任侠アニキ のすべてのチャプター: チャプター 11 - チャプター 20

23 チャプター

11. 西谷組の朝食

 そして台所に戻ると…「「兄貴!俺らでできる限り片づけました!兄貴の大事な城は兄貴にしか直せませんが、床の汚れとかは自分らで掃除しておきました。至らない点は多くあると思いますが…」」「ありがとうございます!!どうしよう?めっちゃ嬉しい。もう勢いに任せて何でも作っちゃうってくらい」「よくやったな」「「二代目からそのようなお言葉をありがとうございます」」「今日の夕飯はクリームシチューをパスタにかけよう!炭水化物食べないと腹持ち悪いよね」「「ウッス」」 その後、台所を昇仕様にカスタマイズして見事に夕飯を作り上げた。「兄貴は短時間で超うまいっス」「俺、ここの組で良かったー」――おい、それはちょっと聞き捨てならん発言だぞ?「ほら、涼も食べろ。尻が治らねーぞ」 組員の目線が一様に涼の尻に移動する。「昇!デリカシーがないの?」「あ、悪い。家のノリだった。涼、クリームシチュー好きだよな?俺が作ったやつ」「昇が作ったのは美味しいからね」「パスタの茹で加減難しいんだけど、皆さんどうですか?」「「最高っス」」「よかった。喜んでもらえて。俺はこんなことでしか台所片づけてくれたお礼できないから」「何を言ってるんですか!兄貴は料理もそうだけど、屋敷の掃除だって完璧じゃないですか!」――組員の絆を一つにまとめたって実績もあるな。本人無自覚だけど翌朝――ん?今朝も味噌汁のいい匂いがする。よな?「うーんと俺も考えた。涼、お前はだしの素を使え。平和的解決だ」 そう言いながら、昆布・鰹節・煮干しでだしをてきぱきと取っていく。――涼に料理を教えているのか。っていうか組員が試食するのか?「包丁は研いでおいた。よく切れるから気をつけろよ。朝だし、ワカメと豆腐の味噌汁にするか」「ワカメはだいたい塩漬けされて売ってるから塩抜きをすること!ただボールに水はって漬けとくだけだ。人数多いからこんくらいかな?」「少なくない?」「増えるんだよ」「増えるワカメじゃなくて、生ワカメだよ」 ちょっと昇をバカにしたように涼は言った。「生も増えるんだ。覚えておくように素人」「で、水を取り替えながらワカメを洗って…軽くしぼる。その後まな板にのせる。切るんだけど、力制御しろよ。俺が研いだ包丁を信じろ!小さな力で切れるんだ」 昇はだんだんイライラしてきた。「あー、時間
last update最終更新日 : 2025-07-03
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12. 昇の気分は上々

 その間昇はご機嫌に家事をこなしていた。「今日は天気もいいし、洗濯物がよく乾きそうだ!洗濯しながら掃除もしなきゃなぁ。昼飯何にしよう?」 すっかり主夫である。「光輝ー!こないだ行った業務スーパーにまた連れてってくれないか?食材減るの速いなぁ。流石大人数の男だよ。男子寮ってこんなんなのかな?買いだめしたつもりだったんだけどなぁ」――これは…デート⁈←違う!「あぁ、いいが。外で俺といる時はお前は俺のSPだからな」「それはわかってる」「いや、昇が食材選びに夢中になってるからさ。SP忘れてないか?と思って」「そもそもSPいらないくらいお前強いじゃん」「それ言うか?」 お買い物♪光輝は浮かれていた…。結構ヤバい状態なのに。「昼飯は何がいいかな?光輝は何がいい?」「朝飯が鍋だからなぁ?あいつらも疲れてるだろうし…。肉か?」「焼肉?量が凄そう。うーん、丼で焼き肉を出せばいいのか!って人数分丼ある?」「一般家庭じゃないからなぁ。丼も買わなきゃ無いのか…」「不経済だな…。カツカレーは?それなら皿足りるだろ?カレーが残ればアレンジできるし」「揚げ物して、カレー作ってって大変じゃないか?」「任せておいて!なんと!組員さんの中で料理上手さんを発見しました。彼をアシスタントにします」――二人っきりの台所…。誰だよ?そいつは!「だから今日は、肉を買って、買いだめしよう…予想を上回る量だけどいいか?」「…っああ、それは構わない」「揚げ物用のフライヤーも買っていいか?」「美味しいものは正義だ。このショーバイしてるやつに説得力はないがな」「これからも揚げ物をカラッと揚げるためだ!量が多いからな」 そして、大量の肉と俺にはわからないスパイス達と小麦粉と卵にパン粉。さらには備蓄用としての食材も買い込んだ。「これでしばらくは大丈夫の予定なんだけどなぁ。あ、キャベツも欲しい!野菜も買わないとな。やっぱバランスよく食べないと!」――そこまで考えてくれていると知ったら組員泣くぞ?「さーて、料理!とその前に洗濯ものとか掃除しないとな」@車中「そんな料理上手いたか?昇がうちに来るまでまともな味噌汁がでたことなかったぞ?」「料理上手な人、北条さんって言うんだけどわかるか?」「いや、下っ端は覚えてないんだ」「覚えろよ、名前。地味に怪しいな。料理を手伝って
last update最終更新日 : 2025-07-03
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13. 組員の心を鷲掴み

「光輝どこにいるかわかる?」と組員に聞いた。「「兄貴の後ろっス」」の言葉通り後ろに光輝はいた。「昇、涼のトコに北条連れに行くぞ」「そのつもり」と昇はジャケットの内側から抜けるように銃を携帯していた。「あー、銃を携帯用のベルトもあるんだが…。あとで渡す。今は道場の向こうにあるしな」「涼ー!北条さんっている?昼飯作るの手伝ってほしいんだけど?」「北条?」組員の中でざわつく。どうやらその名前を知らない人ばかりのようだ。「北条っていないのか?」光輝が聞く。「「自分は知りません」」というものばかり。「なぁ、これは会うまでもなく黒か?」と昇が光輝に聞く。「限りなく黒に近いな。射撃場近いし、銃の携帯用ベルトを持ってくるか」射撃場では銃弾が盗まれていた。「昇に渡す予定のベルトはあるんだけどなぁ。ほい昇」と、軽く渡された。「最終目標が俺の命で、それまでにうちのシマを荒らしまわり、銃弾の窃盗か…。面倒な真似をするなぁ」「銃弾なんだがな、実は…」 と、昇には隠し場所を伝えた。普段置いてあるところとは別に保管場所があることを聞いた。 一部の人間にしか知られていないような場所にまだあるらしい。「ところで昇、昼飯…」「あー‼カツカレーじゃなくてただのトンカツだけどいいかなぁ?」「昇が作ればうまいからいいんじゃねーの?」「そんじゃ俺は台所に入る!涼は立ち入り禁止‼」 傷物になった組員たちのハートを鷲掴みにした。「兄貴ー!最高っス!トンカツがサクサクと筋切りまでしてあって」「「だよなー」」「涼!どうしてお前は手加減をしないんだ?できないのか?未熟者!」と、昇に怒られている。「涼ー、頼んでたやつはできたか?」「ああ、でもまだまだ弱いけど?」「一般人よりは強いんじゃないか?」「まぁそうかな?そういうのチェックも昇の方がうまいよ」「で、涼がチェックした中には北条ってやついたか?」「うーん、いなかったと思うなぁ」 ますます怪しい北条…「そんじゃ、午後からは昇が稽古つけてやれよ。そんでもってお前らをランク付けるってのはどうだ?」 二代目には逆らえないだろう?「私は何すればいいのさー!」←逆らう人いた。「涼はそうだな…庭の掃除」「もう昇がやってほぼきれいじゃん!」「『ほぼ』なんだよ。涼は完全にきれいにするの。これでどうだ?」――ラン
last update最終更新日 : 2025-07-03
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14. ガッツリ食べようラーメンライス!

午後の稽古@道場「じゃ、適当にかかってきてー。武器使わないでね?」と昇。 んー、涼に傷物にされただけあって前よりはマシになってるじゃん。と思いながらも攻撃は全てかわす。「一人ずつじゃなくてもいいんだよー」この昇ののん気な言葉遣いが逆に組員の士気を高める。「「それじゃ」」とぶつかる→ケンカする。昇に怒られる。「夕飯…減らすよ?」脅し方が怖い。なんだかこれもDVなんだろうか?「夕飯、何にしようかなぁ?」と考えながら、攻撃をかわし続ける。「朝から鍋に昼はカツだから、夜はアッサリがいいかなぁ?」「兄貴!自分は夜もガッツリ食べたいっス」「「自分も」」と、攻撃しながらの会話。昇はかわす。「うーん、何がいいかなぁ?運動しながら考えよう。かかってきてね」「兄貴がかわしまくるから…」「俺が手を出したら骨とか覚悟が必要だよ?」「それは困ります。かわし続けで頼んます」 光輝のつけたランクはS・A・B・Cの4つ。「俺の体に当てたらSねー。かすったらA、ちょっとどきっとしたらB、それ以外はC」「「兄貴の体にかするのも無理っス」」「そこが頑張りどころ!光輝に見せつけてやんないと!俺は言わばいきなり入ってきた新米」「「兄貴は実力で入ったんス」」 力で入る所じゃないんだけどなー。なかば誘拐のような感じだったし。「おっとー。あ、君はBだね。ランクの表に名前書いていって」 こんな調子で昇は組員の格付けをしていった。「昇…。Aランク以上がいないぞ」「あー、俺の基準が『俺の体に当てたらS、かすったらA、ちょっとどきっとしたらB、それ以外はC』だったからかな?でもBランクのやつらの中にも北条って名前はない」「その基準厳しくねー?俺でもお前の体に攻撃当てるの難しいぞ?で、北条はいない…か」「どうしよっかなぁ?今日の夕飯、でかいホットプレートでみんなで焼きそば。と思ったんだけど、暗殺狙いがいるんじゃなぁ。みんなで毒殺されかねないし。どうしたらいいんだ!夕飯」「そうだよな。夕飯困ったなぁ。ガッツリ食べたいってリクエストもあるんだろ?昼は揚げ物だったしな。ラーメンとかは?器が別々だからいいんじゃね?」「麺あるかな?足りるかな?あ、そのうち蕎麦打ちも習得する予定なんだ♪蕎麦アレルギーの人とかいるかな?結構心配」――今は俺を心配してくれ「とりあえず、今日の夕飯
last update最終更新日 : 2025-07-03
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15. 鍋は作れない…

「あ?林組の件の首謀者がわれたって?そりゃ、林組だろ?そうじゃなくてうちに入ってたスパイ?で、誰だ?」「昇と涼って双子です。二人はやたらと強い。昇の兄貴は料理担当だから薬を入れるのも容易でしょうしね」「わかった」とだけ応えて俺はそいつの名前を聞いた。「お前の名前は?」「自分、北条と言います」――北条…「昇がつけたランク付けに名前がなかったはずだが?」「故意とは考えられませんか?」「とにかく、お前は自分も容疑者だってわかってるよな?以上より、お前の身柄は軟禁状態にする。ボディーチェックもした後でな」――とりあえず一匹かかった。一匹だけだといいんだが… それよりも昇を疑いたくはないな!そこが重要だ「昇、ちょっといいか?」「悪い。ラーメンが伸びちまうから今はムリー」――家事よくやってくれてるよな。組員達からも慕われてるし、昇と涼はそんなじゃない‼ 「できたー‼ラーメンライス‼伸びちゃうから皆さん、どうぞ食べてください」「このスープは兄貴が作ったんですか?」「変な味するかな?」「「絶品っス。」」「これなら店出せるってレベルっス。俺だったら常連になる!」「「俺も」」――うーむ、麺が少なめで野菜たっぷりなんだがうまいしなぁ。麺が増えると猶のこと味がうまくなるんだろうなぁ。「皆さんにいきわたりましたか?」「コレは軟禁している北条さんに」と俺に一杯ラーメンライスをよこした。「昇の頼みならなぁ」とこそッと北条のところに持って行った。 北条はごく普通に食べた。「お前は昇を疑ってたんだよな?薬を食事に混ぜるって。それなのに今、ごく自然に口にした。これはどういうことだ?」「っ…」「お前が林組からのスパイか?」「…」「無言は肯定と捉えるが、構わないんだな?さて、どうしようかお前の処分は。とりあえず知ってることを全部話せよ?自白剤もあるのはわかるよな?俺は親切だ。裏切りは極道の世界じゃ指詰めか?さーて、早く話した方がいいぞ?」「…」「盗聴器か?それならもう破壊してある。ここに来る段階で破壊した」「…」「ダンマリは面倒だな。しばらくここにいてもらおうか。舌噛まないように猿ぐつわでもしておこうか。俺のラーメンが伸びるんだよね、時間かかると」 そう言い、第1回の尋問は終わった。「昇ー、持ってったぞ」「遅い!ラーメンが伸びちゃう
last update最終更新日 : 2025-07-03
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16. 謎の魚を集めた魚の煮つけ

「あー、明日の朝食は何にしよう?」「昇の悩みはそんなのばっかりだね」と涼が言う。「涼に料理が出来れば二分の一になるんだよ!俺の悩み」 涼は自室へ逃げた。「光輝は何か食べたいものある?」「目覚めに味噌汁の匂いがするのはいいな」「和食かぁ、漬け物は…涼が俺のぬか床破壊したし!」――まだ根に持ってるのか…「浅漬けでいいんじゃないか?量は多いが」「焼き魚…グリルに入りきれない…。一気に大量に焼けないのか?」「煮魚ならどうだ?」「あ、それならできそう。肉ばっかりってのが気になってたんだよね」「肝心の魚って食材がないかも」「「俺が買ってくるっス」」というのが出てきた。一応名前を確認しておく。「お願いね~」「様々な種類の魚を煮ることになりそうな気がするのは俺だけか?」「なんとかなるんじゃない?」――昇、のん気だけど大丈夫かな? 予想が当たった…。ここは魚屋だろうか?種類豊富な魚が揃った。「昇、これで大丈夫か?」「アラもあるし、灰汁取りながら煮込めばうまくいくんじゃないか?」「朝食がかかってるんだぞ!」涼は言う。「なんとかなるでしょ、涼は立ち入り禁止」――昇は本気だな翌日 米はいつも通り。漬け物は浅漬けをお手製で作った。味噌汁は軽く麩のみだがかわりにだしが利いてて美味い。問題の魚料理はというと見事に作りきった。天晴!昇‼「誰にどの魚がいくかわからないけど、どうぞ召し上がれ」「「今日も最高っス。あれが何で美味くなるんだ?って感じっす」」 と、組員に好評。「光輝ー、魚も食べましょうねー」 そういって昇は光輝に謎の魚の煮つけを持ってきた。「この魚は何だ?」「わかんない。煮込んだら色はわかんないし」「漬け物美味いなー」「話そらすなよ?さ・か・な。骨以外は食べれるからなー」――昇はどこかのオカンのようだな「で?今日も尋問か?」「そうだな。ダンマリが続くようならこっちの出方も変えないとなぁ」「北条に漬け物と味噌汁と白飯を持って行ってくれよ。ついでにな」 というやり取りをこっそりとした。「他にも‘北条’はいる」――面倒なことをするなぁ、林組…「今日の朝飯。白飯と味噌汁と漬け物だ。食え」――あー面倒だなぁ。こいつが生き証人てことでもう林組に殴り込みでいいんじゃね?死人は出したくないけど。「昇―、面倒だからもう
last update最終更新日 : 2025-07-03
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17. 作戦決行!

 いつものように組員から熱烈に褒められた翌日決行された。「ねぇ、マジで3人で行くの?」「光輝は大マジ。俺もその方が犠牲者出なくていいって。銃持ってる人は肩の骨狙いで。丸腰は空手でいけるでしょ?」「昇はかなりのん気だね。銃も得意だもんねー」「お前ら行くんだぞ?いいか?」「「了解!」」昇と涼が応えた。 二人は似たような服装だから正直見分けがつけにくい。髪の長さ以外は外見ぱっと見わからない。「西谷組だけど、話し合いには応じてくれるんだろうか?」と光輝が問う。「飛んで火にいる夏の虫だな。そちらは…?3人ですか?」 そう言い終わるころ、戦闘が始まった。「警察、来ないといいんだけどなぁ。民間人だし、被害出したくないんだよ」 言いながら、光輝は銃を操りつつ、空手の要領で次々と林組員を倒していく。「今日の夕飯は何にしよー?」と言いながら、光輝のSPとして光輝よりも多くの林組員を倒す。 涼は、昇にも光輝にも負けてたまるかーという気迫で次々と倒していく。「組長まで行けばチェックメイトか?光輝?」と涼が聞く。「まぁそうだなぁ。っていうか、この騒ぎの時点で組長が顔出さないのも不審だけどな」 言われればそうだな。銃声は鳴り響き、組員のうめき声も聞こえる。そんな中で顔も出さないのは薄情だ。「抜け穴とかで組長が逃げてたりとかもアリ?」と涼が言う。「可能性も出てきたなぁ。こうなると、この組員が不憫だ」と、光輝。 3人で組長だけ逃げた説を結構大きな声で会話しながら戦闘を続けると、林組員の中でも不審に思う人間が出てきたのか攻撃してくる人も、力も弱くなってきた。「光輝ー?涼?犠牲者出てる?」「俺は何とか出してないよー」と3人でのん気な会話を繰り広げていた。 その時、「林組、幹部の一人阿部と申します。話し合いの場を設けたいと思います。お前ら、控えろ!」 この段階で9割がた倒れていたけど…。残りの1割で救助活動を始めた。「組長代理か…。組長の行方は知ってるか?」光輝は聞く。抑圧的だ。「おそらく脱出したかと思います」「はぁ、林組がうちの組にしてきたことしようとしてる事の全貌は分かるか?」「自分でも‘シマを荒らす’‘組長の首を狙う’しか知りません」「そうなのか…」 地味に昇が手当ての講習をしている…。「昇…周りの確認もしろよ」「ああ、それなら。大丈
last update最終更新日 : 2025-07-03
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18. 業務スーパーに行こう!

「うーん、どっか大量に食べれるところはないかなぁ?もしくは俺が手早く作れるもの…」――昇を悩ます問題なのか。林組よりこっちの方が悩んでないか?「冷凍ピザとかはどうだ?アレンジきくし。辛い物好きだったらタバスコかければいいし」「うちの連中はピザは何枚くらい食べそうだ?」「10枚は食べるかなぁ?残ったら冷凍しておく!そうと決まれば、光輝。業務スーパーに連れて行ってくれ!そこで冷凍ピザを買おう。とにかく急げー!」 急いで業務スーパーまで行った。「冷凍ピザ…あるだけ買ってしまえっていうか、丁度10枚だな」「光輝、これをレジに頼む!」――急いでるなぁ。冷凍ものなら急がなくてもいいのでは?というのは黙っておこうそれから昇は次から次へとピザを解凍していった。「すいません。今日の昼飯それなんで、温まったやつをどうぞ食べてください。お好みでタバスコをどうぞ」「まずは二代目ー」「俺は光輝を待つからお前らの腹を満たせ」「あの、遅くなったうえに昼飯もきちんと作れなくてすいません」と申し訳なさそうに昇は言う。「何を言うんですか、兄貴。兄貴は二代目と林組の方に行っていたんでしょう?疲れているのに俺らなんかの食事のことまで考えて…」と、組員は涙を見せた。「おいおい、お前ら涙は屋敷の中だけにしろよ」「兄貴の想いに感動して、俺らなんかのことまで考えてくれるなんて」――大げさだな。とも言えないか、あいつらの育ちから考えるとなんともなぁ「泣いてるとピザが冷めちゃうから、早い者勝ちですよ!まだあるけど」 と、昇が言うと組員がこぞって手を伸ばした。「ケンカしないでくださいね」昇は言う。――血気盛んなヤクザ者達にオカンのように言うか? ところが、昇の言うことには組員は従うようだ。年功序列という形にしたようだ。同年齢の場合はじゃんけん。「足りるかな?余るかな?」とドキドキで解凍進める。「午後からは何するの?」と涼の素朴な疑問。「俺は買い物に行きたいデス、業務スーパーへ」と、昇。「となると俺も昇と一緒だな。涼はいつもの組員を鍛えてくれよ。で、涼的にランクをつけてくれ。手加減忘れるなよ。怪我人増やさないようにな。有事に人がいないってことになる」「俺は買い物だけど光輝のSPもやるんだな」「ま、そういうことだな」業務スーパーに向かう車の中「スナイパーに狙われ
last update最終更新日 : 2025-07-04
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19. ゆっくり食べた方がいいのに…

「「おかえりなさい」」「ただいまー。ほら、光輝もただいまとか言えよ」「ただいま」――この中に情報漏洩者がいるのか…身内を疑うのはやだな「ピザを食べることにしたのも偶然だしね。涼が知らないかな?怪しいやつ」「涼!組員で挙動が怪しいやつっていなかったか?」「うーん、ほぼのしちゃったからなぁ」「手加減を覚えろと言ってるだろ!また尻たたきをするぞ?」「それはカンベン」「買い物行ったから夕飯は作れるぞ!」「「おぉぉぉぉ」」野太い歓声が上がった。「ところで光輝。この屋敷には監視カメラがないのか?」「あ、盲点だった。チェックしよう」「夕飯何がいいですか?」 おずおずと組員は言い出す。「自分は焼き肉が…」「自分はエビチリが…」「自分は兄貴の料理なら何でも」「うーん、鉄板焼きにしようか?白米付きで。味噌汁あった方がいい?」「光輝?」「あー、仕事量に無理がなければ味噌汁付きで頼む」「肉はこないだ買ったし、エビチリも鉄板で作ってしまえ。とすると台所で作るのは味噌汁だけだなー」「光輝!」と昇はこそっと呼んだ。「今日の夕飯でお前の毒殺考えるなら、俺が味噌汁を完成させた後に台所に入った人間だな」「他の料理は?」「鉄板で作る。エビチリは難しいかもだけど、下ごしらえと軽く焼いておけば大丈夫だ。焼肉も肉を準備するだけだし。簡単だよ」――実は古い屋敷だから監視カメラないんだよね。痛い… あの時会話を聞いてた組員なんてみんなだろうし、今回の昇の話は正直助かる。二代目の沽券に関わる。「そういえば、光輝って夕飯何食べたいんだ?」「俺は昇の味噌汁が好きなんだ」――ほんとは昇が…「それなら今日の夕飯は大丈夫だな」「ホットプレートでみんなで夕飯ー!」と昇が言うと、何故か組員から歓声が上がった。「今日は意見を汲んで、焼肉とエビチリを同時にホットプレートでやりまーす!」「「うおぉぉ!」」組員よ…歓声すごいぞ。「光輝希望の味噌汁もあるからな。あと、白米もあるしいいだろう?」 昇はエビチリを事前に作っておき、味噌汁を作り、白米を炊いた。台所は昇の城だ。「光輝ー?肉凄いな。A5ランクなのか?」「そうなのか?これは早いもの勝ちだ。あとは特売だ」「ああ、それならば。俺はなんだか心臓に悪かったよ」「そうか…」――エビチリの海老はいいやつ使ってるんだよ
last update最終更新日 : 2025-07-04
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20. 丼が重要です。

「昇はどう見る?」――俺は裏切り者について質問したんだけどなー「皆さん、鉄板焼きすごく満足そうに食べてくれました」――そういうことじゃないんだよな「涼はどう見る?裏切り者がいるとして目星つくか?」「いやぁ、正直昇の料理に夢中で見てなかった。ごめんなさい」――NO緊張感。いいんだけどさぁ「北条はまだいるってのはハッタリかねぇ?」「林組の中に北条がいたんじゃないか?壊滅させちゃったけど」「あぁ、そういう意味か」と光輝も納得。「林組の組長とか逃げた奴の中に北条がいるのかもよ」と涼。「その線もアリだな」光輝が元気になっていく。やはり自分の組の人間は疑いたくないという気持ちで心が沈んでいたようだ。「どこにいったんでしょうね?」「匿ってる組織か隠れ家があるのかなぁ?」と涼がスルドイ。――俺、同じ顔二人に囲まれどうしよう。今更だけど…。ってそうだよな。匿われてるかもしれないし隠れてるかもだよな「今後はどうしようか?涼は組員を鍛えてくれよ。こっちの兵力の底上げ。残ってるとかは言うなよ」「俺は?」昇が俺に問う。当然の流れだ。「あとは普段通りに過ごして、向こうがボロを出すのを待つしかないな」――今日も芳しい味噌汁の匂いだ「おはようございます」「「おはようっス、兄貴!」」今日も元気だ…。いいことだが。「おはよう」あくびをしながら光輝が現れた。「「おはようございます、二代目‼」」「光輝、朝弱いのか?あくびしながらとかだらしない!」――朝から怒られた…凹む「そうだ!すき焼きは難しそうだから、牛丼と思って必要な丼の数がわかるか?」「今日のうちに調べる~」「あー、朝の光輝はなんだか頼りないなぁ。もっとシャキっとしてるといいのに」――ほぅ、シャキッとしてる方がいいとな「ところで、牛肉を皆さんに振舞うのはかなりの勇気がいるけど光輝は大丈夫なのか?」「何も思わないが?」光輝としてはその質問自体が不思議だった。「牛丼って卵黄が乗ってるよなぁ。大量の卵白どうしよう?卵自体をなくすか?メレンゲが大量にできそうだ」「スイーツを作るってのは?」我ながらいい提案をしたと思う。「全員分にならないかもだから却下かなぁ。やっぱ卵ナシがいいのかな。まずは丼がないといけないんだけど」 昇は光輝を若干睨み付けるように見た。――俺を凝視ー‼「光輝!午前
last update最終更新日 : 2025-07-04
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