「あのね。それも、こっちのも、全部なんだけど」 とても大切なことのように蒼波が言葉を区切りながら話すので、燿は瓶を並べながらも聞き漏らすまいとした。蒼波が指差した木の実にもビー玉にも、なにかのオマケのマスコットにも、ゴミ袋全体にも視線を走らせる。「燿ちゃんみたいだなって思ったものを集めてたんだよ」 燿はもう一度ゴミ袋と自分たちの周りに散らかる蒼波の宝物を見回した。これらが飾られていたとき、燿は確かにきれいでかわいいと思ったことがあったが、己のようだと感じたことはない。「全部、きれいでかわいいでしょ? 燿ちゃんみたい」「な、なに言ってんだよ」 えへへと笑う蒼波を前に、燿は挙動不審になっていた。手にした瓶を床に置いては手に取ってを繰り返す。そんなことを言われたら、次からどうやって蒼波の宝探しに協力すればいいのか。長い時間を費やして集められた蒼波の宝物は、すべて燿に似たもので、燿を好きだったから集めていたと言われているのだ。 戸惑いを隠せない燿へと畳みかけるかのように蒼波が「あ」と声を上げた。「今度はなんだよ!」「本当は昨日したかったんだけど、余裕がなかったから……今してもいい?」 燿の返答を待つことなく、蒼波は段ボール箱から小さなケースを取り出す。中に入っていたのは美しい銀のリボンだった。蒼波は燿の目の前に膝をつくと、燿の左手をそっと取って薬指にリボンを結ぶ。「蒼波、これ」「もしかしたら、もう一回結べるかもって思って」「いつから?」「いつからだろう」 こてんと首を傾げる蒼波は、本当に一体いつからこんなに燿を想っていてくれたのだろうか。記憶をたどろうとしてもやはり蒼波の笑顔ばかりが浮かんできてうまくいかない。同じだけの年月をかけたものは返せないけれど、燿はこれからの蒼波になにかしたいと強く思った。「お前、したいこととか行きたいとことか、ねぇの?」 我ながら安直だと思わなかったわけではないが、燿はまず蒼波の望むことを叶えるべく尋ねる。蒼波は燿の左手を握ったまましばしうなっていたが、ややして思いついたというように声を弾ませた。「
Huling Na-update : 2025-10-26 Magbasa pa