Semua Bab ガラクタはキラキラ: Bab 41 - Bab 50

64 Bab

Ⅳ-8

 蒼波はそう言いながら、燿の胸の辺りにそっと手を当てた。仕方なく深呼吸をして体から力を抜こうと試みる。そんな燿の胸元をなでつつ、蒼波はそろりそろりと腹の方へ手を下ろしていった。Tシャツの裾から蒼波の大きくて温かな手が忍び込む。 「蒼波っ」 「なに?」 「いや、なんでも……」  一度燿の素肌に触れたら、蒼波には遠慮がなくなった。割れた腹筋をなぞったり、へそをくすぐったりしながら今度はどんどん手が上にくる。その指先が胸の先端を掠めた瞬間、燿は言い知れない感覚に身をよじった。 「うあっ」 「燿ちゃん、胸気持ちいいの?」 「そんなわけあるか! くすぐったいだけ、ん、あっ」  蒼波は執拗に燿の乳首をつまんだりひっかいたりして刺激を与え続ける。一方の燿はいちいちもれ出す声をどうにかしようと両手で口をふさぐしかなかった。そんな燿を見下ろす蒼波はとても嬉しそうに見える。  燿のTシャツはいつの間にか首元までまくり上げられていた。蒼波は燿の心臓の辺りに一度くちづけると、そのままじゅうっと乳首に吸いつく。吸いながら舌先で乳首を転がすように舐められるのに耐えかねて、燿は背中を大きく反らせた。 「ん、んー!」  結果的に胸も首も腹も、蒼波にすべて差し出すような形になっていることに燿は気づいていない。腰がずっしり重くなるのを感じて、燿はなんとか蒼波と密着している自分の下半身を逃そうともがいた。 「燿ちゃん、勃ってる。気持ちよかった?」  口を離した蒼波が大きく息をついて、自分のシャツを脱ぎ捨てる。燿は答えることなく蒼波のあらわになった上半身から目を逸らした。 「もう。頑固だな」  言いざま蒼波は燿のスウェットのウエスト部分に両手をかけて、下着ごと引き下ろす。 「うわ!? なにやってんだ!」 「なにって、えっちするんだから脱がなきゃ」  改めてはっきりと言葉にされて、燿は固まってしまった。その間に蒼波はてきぱきと燿のスウェットを脱がせてしまう。そして筋肉のついた足に触れた。 「燿ちゃんはやっぱりきれいだね」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-03
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Ⅳ-9

 言葉を返す余裕のない燿に構わず、蒼波はふくらはぎから太ももまでを何度もたどる。そうしておもむろに勃ち上がりかけている中心を軽く握り込んだ。 「う、あっ」  慌てて蒼波の手を押さえつけようとした燿の両手を軽く払って、蒼波はゆるゆると手を上下に動かし始める。 「蒼波っ。やめ、や! あっ」 「大丈夫。気持ちよくするだけだから」  別に燿に自慰の経験がないわけではない。しかし、他人の手でこのように高められるのは初めてのことだった。しかも相手は今しがた想いを交わしたばかりの蒼波である。  羞恥に混乱する中で、快楽を追う自分を蒼波はどんな風に思うのか。燿はそれが心配だった。 「あおば、あおば……っ」 「ここにいるよ」  荒い息の合間から蒼波の名を呼ぶと、安心させるように蒼波が答えてくれる。それでも燿の中心をしごく手を止めるつもりはないらしい。緩急をつけて動かしながら先端の敏感な部分をくるくる円を描くように撫でた。 「ん、ああっ」  燿は唇を噛みしめて迫ってくる射精感を耐えようとする。そんな燿に気づいた蒼波が、手を休めることなく燿にくちづけた。 「燿ちゃん、唇噛んだらダメ」 「ん、うっ。んん!」 「いつでも好きなときに出していいから」  唇を舌でこじ開けられて、燿には噛むものがなくなった。まさか口の中に入っている蒼波の舌を噛むわけにはいかない。口とともに中心へと与えられる刺激にぎゅっと目をつむった。  根元から先端までを強めにこすり上げられて、先に軽く爪を立てられたらもう我慢できない。 「んん、んー!」  瞼の裏がちかちかすると感じたのと同時に、蒼波の手のひらに吐精していた。 「いっぱい出たね」 「そういうことを、わざわざ、言うな」  荒い息の合間から文句を言ってみるが、蒼波はどこ吹く風といった様子だ。ティッシュで手を拭いてチェストの上にあったチューブに入ったなにかを持ってきた。 「なんだ? それ」 「ハンドクリーム」  燿がきょとんとしていると、蒼波が園芸や手芸は手荒れがひどくなるので使
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-05
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Ⅳ-10

「燿ちゃん、そのままうつ伏せて腰だけ上げて」「はあ!? そんなのできるわけ」「じゃあ、腰の下にクッション入れるから仰向けに転がって」 どっちの選択肢も燿にとっては地獄である。「蒼波。なあ、ちょっと落ち着こう」「落ち着けると思う?」 蒼波がここまで強くものを言うのは本当に珍しかった。燿は蒼波の下半身を改めて見る。先ほどよりもずっと硬く張り詰めているのがスウェット越しにも解った。今すぐにでもどうにかしたいくらいの状態だろう。それを蒼波がこらえているのは、全部燿を思ってのことだ。「なら、俺がしてやるから」 燿はなんとかこの状況を打開できないかと提案してみた。しかし蒼波に胸をとんっと押されてベッドに転がされてしまう。「蒼波!」「俺、燿ちゃんの中がいい。お願い」 蒼波は弱気なところが目立つけれど、一度言い出したことは絶対に曲げない。妙なところで頑固なのだ。燿はそれを解っていたから、蒼波とこじれたときにも自分の方がどうにかしなくてはならないと思っていた。 その厄介な頑固さが、ここにきて発揮されると誰が想像しただろうか。 うなっている燿に足を立てるようにうながし、腰の下にクッションまで入れてしまった蒼波は、ハンドクリームを手のひらに出してのばしている。これはもう逃げ出すことはできない。別に嫌なわけではないし、興味がないわけでもない。ただまさか自分が受け身になるとは思っていなかったので、ちょっと怖いと感じているだけだ。「絶対怖いことはしないから」 そんな燿の気持ちを見透かしたように、蒼波が優しくくちづけてくる。下肢を這うぬるりとした感触は、ハンドクリームにまみれた蒼波の手のひらだろう。「ひっ。お前、どこ触ってんだ!」「お尻ほぐさないと挿れられないでしょう?」 後孔に触れられて体をこわばらせた燿に、蒼波はのんびりと答えた。蒼波は丁寧に優しく後ろを刺激したり、浅く指を沈ませたりし始める。「あ、ちょっと! やめ、あっ」「力抜いて? キスする?」 どこをどうすれば力が抜けるのか解らなくなった燿は、蒼波の申し出に激しくうなずいた。蒼波の言
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-08
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Ⅳ-11

 深いキスを受けると、脳にぼんやりとかすみがかかったようになり、燿の体のこわばりはとけていった。それを見計らって蒼波がゆっくりと指を一本挿入する。「んんう……っ」「痛くない?」「へんなかんじ、する」 蒼波は燿に何度もくちづけながら、後孔へ愛撫を施した。時折中心にも刺激を与えつつ、後ろの指を動かして二本目までを挿れる。燿の様子をきちんと見ながら進めてくれるので、今のところ痛い思いも怖い思いもしていない。 そうやって蒼波は燿の後孔へ三本の指をくわえさせ、なにかを探るようにゆっくりと抜き差しを繰り返した。ハンドクリームが燿の体温でとけてぐじゅぐじゅと音を立てている。聞くに堪えないとばかりに、燿は両手で耳をふさごうとした。「あ! うあ、あっ」 蒼波の指が一点に触れたとたん、燿は悲鳴めいた嬌声を上げた。蒼波は探し物が見つかったというようにその場所を繰り返し刺激する。「あ、やだ。蒼波! そこ、やだ!」「燿ちゃんの気持ちいいところだよ」 気持ちいいどころの話ではない。意識が飛びそうになるのを必死にこらえながら、燿は蒼波の首筋にかじりつくように抱きついた。なにかにすがっていなければ、強烈な快楽に押し流されてしまいそうだ。「あ、蒼波っ。それ、イっちまうから」「ん」 蒼波はうなずくといきなり燿の後ろからすべての指を引き抜いた。その刺激すら今の燿には快感となる。自分のスウェットを下ろした蒼波が、どこから取り出したのかコンドームを装着し、ぐったりとベッドに横たわる燿の両足を抱えた。「燿ちゃん、いやなら、俺のこと蹴って逃げて」「うるせ」「もう本当に止まれないよ?」 こんなときでさえ燿のことを一番に考えてくれる蒼波の気持ちが嬉しい。蒼波がすることならなにも怖いことはない。痛みをともなう行為でさえ、蒼波と一緒なら構わない。 指とはまったく比べ物にならない質量のものが、慎重に、ゆっくりと燿の中に押し入ってきた。「く……あ、あうっ」「燿ちゃん、燿ちゃん」 うわごとのように燿を呼びながら、蒼波
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-10
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Ⅳ-12

「痛いよね。ごめん、ごめんね」 「う、あっ。いい、から」  蒼波のものをすべて受け入れるまでとてつもない時間を要した気がする。心の準備はできているつもりだったが、体には力が入って拒んでしまうのが現実だった。 「全部、挿入った……」  それでも蒼波が吐息を混ぜながら嬉しそうに言ったときには、燿もしあわせな気持ちになる。  蒼波は少しの間じっとして燿の呼吸が整うのを待ちたかったらしい。だが、微かに蒼波の腰が揺れ始めていることに気づいて、燿はくすりと笑みをこぼした。笑うと体内の蒼波にダイレクトに伝わるらしく、上から小さなうめき声が聞こえてくるのもおかしい。 「動きてぇんだろ?」 「うん……でも」 「ゆっくりなら、いい」  燿が言い終わらないうちに埋め込まれていた屹立がずるずると引き抜かれていった。抜ける寸前で今度は奥まで押し込まれる。その動作は繰り返されるたびに速度を上げていった。 「あ、バカ! ゆっくりって」 「ごめん、無理。気持ち、いい」  ぐっと根元まで挿れられて、燿はとっさにシーツをつかむ。蒼波はそんな燿の足をさらに開かせて腰を打ちつけた。 「う、あっ。あ、んんっ」  角度が変わったことによって、前立腺に蒼波の屹立が当たるようになったため、燿は喘ぐばかりだ。早急な抽挿に苦情を言うこともできなくなった。 「気持ちいとこ、当たってる?」 「ひ、うっ。あ! あ、んうっ」  燿の手がシーツを掻いて、自分の腰をわしづかみにしている蒼波の腕へと伸びる。先ほどと同じくなにかにつかまっていなければ耐えられないと思った。その間にも蒼波は腰を送り込んで燿を追いつめていく。 「あおば、も、やだ……っ」 「もうちょっと、待って」  達したいと訴えても、蒼波は燿の中心になかなか触れてくれなかった。蒼波が今まで以上に奥深くまで抉るように突いてくるので、燿の口からはまた意味を成さない喘ぎだけがこぼれる。やがて燿の上で蒼波が荒い息を吐き出した。 「燿ちゃん、俺もイクから、一緒に」  そう宣言した蒼波が反り返って腹につきそうになって
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-12
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Ⅳ-13

***「大丈夫?」 「そう見えるか?」  申し訳なさそうな顔で燿の腰をさすっている蒼波にぶっきらぼうに返事をする燿は、うつ伏せたまま顔を上げることができずにいた。今の今まで没頭していた行為を思い出すと、恥ずかしさで死んでしまいそうなのだ。ついでに腰を中心とした体中の関節がきしむように痛かった。  腰をさすっていた蒼波の手がふと止まる。 「燿ちゃん、怒ってる?」  それは違うと燿は痛む体を顧みることなく蒼波を振り返ろうとしたが、やはり羞恥が勝ってしまい蒼波を見ることができない。蒼波は終始丁寧に燿を抱いた。挿入後は若干激しかったともいえるが、高校生の性欲の暴走とまではいかなかったのではないかと燿は思う。 「違う。怒ってなんてない」 「でも……俺、まさか本当に止まれなくなるとは思わなくて」 「あー! だから違うって」  しゅんと肩を落とす蒼波は、また自分を責めているのだろう。先ほどまであんなに強気だったのに、どうして素に戻るとこうなってしまうのか。 「じゃあ、どうしてこっち見てくれないの?」  いまだ顔を上げられずにいる燿に、蒼波が問うてきた。燿は観念して蒼波と向き合うことにする。くるりと体を反転させて起き上がり、ベッドのはしで正座している蒼波の正面に座った。 「あのな。一応俺だって恥ずかしいとか思うんだよ」 「はずかしい?」 「お前とあんなことしといて、その、普通にするの……難しいだろ」  蒼波の頭が傾き、茶色の髪の毛がふわりと揺れる。まったく要領を得ていないという顔だった。 「俺は平気だけど、燿ちゃんは恥ずかしかったのか」  復唱されるとさらにいたたまれなくなる。燿は再びベッドに転がって掛け布団の中へと避難した。蒼波が布団ごと燿を抱きしめる。 「燿ちゃん、かわいい」  かわいいという言葉で、燿は自分の部屋に保管してあるゴミ袋の存在を思い出した。蒼波が捨ててしまった宝物を、この部屋になんとしても戻さなければならない。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-15
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Ⅳ-14

「蒼波」  掛け布団の中から呼ぶと、蒼波は「なあに?」と間延びした返事をよこした。燿はそのまま話を続けることにする。 「お前が捨てた宝物」 「あれはもういいんだ。さっき燿ちゃんがくれたので充分だよ」 「そうじゃない。全部俺の部屋にあるから」  がばりと掛け布団がめくられたかと思うと、燿の目の前に蒼波の顔が迫ってきた。 「どうして」 「俺が捨てさせると思うのか、お前は」  蒼波は下を向いてしまったが、寝転んでいる燿にはその表情がよく見える。唇を真一文字に引き結び、泣くのをこらえているようだった。燿は手を伸ばして蒼波の唇に触れる。 「泣いてもいいぞ。カッコいいだろ?」  宝物を捨てさせてしまったのは燿だったけれど、あえてそれには触れずにおいた。 「本当にカッコいいね」  蒼波が手の甲で目元をこするので、腫れてしまうと思った燿はその手をつかむ。ついさっき散々蒼波に翻弄されたことを思い出し、泣き出した蒼波の頬に自分からくちづけた。驚いて目を見開いていた蒼波が、燿の後頭部をがっちりとつかんで唇を合わせてくる。 「燿ちゃん、好き」 「もう解ったって」  ともすれば深くなっていきそうなキスを自制するように蒼波は燿に気持ちを伝えてきた。そう何度も言われてしまうと燿はどうしてよいのか解らなくなる。理解しているということだけ答えた。同じ言葉を返すのはまだ恥ずかしい。 「明日、宝物元に戻すからな」 「手伝ってくれるの?」 「当たり前だろ」  布団にくるまった状態で蒼波に頭をなでられていた燿は、とろりとした眠気に襲われ始めた。一日中走り回った挙句、さらに体力を消耗する行為に及んだので仕方のないことだと言える。そんな燿に蒼波が優しくささやいた。 「眠っていいよ」 「ん……」  蒼波がまた知らない間に宝物を捨てたりしないようにと、燿はぎゅっと蒼波の右腕をつかむ。燿の気持ちが伝わったのか、その手が振りほどかれることはなかった。 「おやすみ、燿ちゃん。ありがとう」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-17
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Ⅳ-15

*** カーテンの隙間から陽の光が射し込んでいる。いつもセットしている燿の目覚ましのアラームは、スマートフォンを水没させてしまったため鳴ることはなかった。ぐっすりと眠りこんでいた燿と蒼波をたたき起こしたのは、蒼波のスマートフォンの着信音だ。「なんだ? 誰だ」「おばさんからだよ」「げ。ってか、もう十時かよ」 部屋にかかっている時計は十時を示している。燿の母親がさすがに起こそうと思ったのも無理はなかった。この家を訪れなかったことだけが救いだ。燿も蒼波もほぼ素っ裸だった。蒼波が短い通話を済ませて燿を振り返る。「燿ちゃん、ごはんできてるって」「あー、うん」 朝食と聞いて空腹を覚えた燿だったが、母親の説教が待ち受けていることを思い出して、一気に気持ちが重たくなった。「早くしないと片づけちゃうって」「そりゃまずいな」 慌ててシャワーを浴びた二人は、室橋家へ向かうことにする。「お兄ちゃん、蒼波くんとは仲直りしたの!?」 母親とともに出迎えた煌に詰め寄られ、そのあまりの勢いに燿は一歩後ろへさがってしまった。どうも母親にも妹にも燿が一方的に悪いことになっているらしい。まさか本当のことを話すわけにもいかないので、燿は「あー」だの「うー」だの言葉を濁してしまう。「まだ仲直りしてないの!? 今謝って! 早く!」「いや、仲直りっつーか、それは大丈夫だと思う」「煌はいやなの! お兄ちゃんと蒼波くんが仲悪くなっちゃうの」 煌なりに心を痛めてくれていたのだろう。しかしこれ以上説明することはできない。燿は困ってしまった。「煌ちゃん、本当に大丈夫。燿ちゃんとはもういつも通りだから」 優しい笑みとともに煌にそう言い含めたのは蒼波だ。煌がほっと息をついたのと同時に母親からも声をかけられた。「本当にあなたたちがぎくしゃくすると、こっちまで気が気じゃないわ」「ごめん、おばさん。もう大丈夫」 燿にしてみれば蒼波とこうして仲直り――それ以上ともいう――ができたのだから、昨日の音信不通の件については不問に付してもらいたい。しかし、心配させたことに
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-19
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Ⅳ-16

 食後、燿は蒼波をともなって二階の自分の部屋へと向かった。宝物の入ったゴミ袋を運び出すためだ。二人なら一回で持ち出せる量だったので、ゴミ袋を手に素早く隣へと戻った。蒼波が宝物を捨てようとしたことまで燿の母親や煌に知られてしまうとどうしても面倒になってしまう。「さて、元に戻すぞ。どれからやる?」「えっと、瓶を全部出して、中に小さいのを入れようかな」「了解」 燿はゴミ袋の中から瓶を一本ずつ取り出していった。残念ながら割れているものもあったので、それはまた別の袋へ入れて処分することにする。燿の向かいでは蒼波が瓶に入れる小さな宝物を選り分けた。こちらも葉っぱなどは形が崩れていて取っておけないものが出てくる。「ごめん。壊れちまってるのあるな」「ううん、いいんだ」 構わないと話す蒼波は言葉通り晴れやかな表情をしていた。けれど燿は蒼波がこれらの宝物をとても大切にしていたことを知っている。申し訳ない気持ちは拭い切れなかった。「俺のせいで、こんな」「燿ちゃんが悪いんじゃないよ。それに」 言いかけた蒼波が口ごもる。気になった燿は瓶を床に並べていた手を止めて蒼波を見つめた。なに? と視線で問うと、蒼波が照れ笑いを浮かべる。「もう一番の宝物は手に入ったから、それを大事にするんだ」「ん? 昨日渡したやつか?」 訊き返した燿を見て、蒼波が盛大に噴き出した。「そうなんだけど、そうじゃなくて」「なんだよ」「燿ちゃんが俺のものになってくれたから、一番大切にするよ」 顔に熱が集まっていくのを感じて、燿は片手で顔を覆う。恥ずかしげもなくよくもそんなことを言うものだと思った。罵ってやりたいのに言葉は出てこず、ぱくぱくと口が動くだけだ。「でも燿ちゃんが持ってきてくれたものは、新しい宝箱を作って入れとこう」 にこやかに言った蒼波は、小物の選別を途中にしてクローゼットからきれいな缶や箱を取り出した。「どれに入れようかな」「おい蒼波」「どうしたの?」 やっとの思いで再起動した燿は、これだけは言っておかなくてはならないとばかりに言葉を絞り
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-22
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Ⅳ-17

 食後、燿は蒼波をともなって二階の自分の部屋へと向かった。宝物の入ったゴミ袋を運び出すためだ。二人なら一回で持ち出せる量だったので、ゴミ袋を手に素早く隣へと戻った。蒼波が宝物を捨てようとしたことまで燿の母親や煌に知られてしまうとどうしても面倒になってしまう。「さて、元に戻すぞ。どれからやる?」「えっと、瓶を全部出して、中に小さいのを入れようかな」「了解」 燿はゴミ袋の中から瓶を一本ずつ取り出していった。残念ながら割れているものもあったので、それはまた別の袋へ入れて処分することにする。燿の向かいでは蒼波が瓶に入れる小さな宝物を選り分けた。こちらも葉っぱなどは形が崩れていて取っておけないものが出てくる。「ごめん。壊れちまってるのあるな」「ううん、いいんだ」 構わないと話す蒼波は言葉通り晴れやかな表情をしていた。けれど燿は蒼波がこれらの宝物をとても大切にしていたことを知っている。申し訳ない気持ちは拭い切れなかった。「俺のせいで、こんな」「燿ちゃんが悪いんじゃないよ。それに」 言いかけた蒼波が口ごもる。気になった燿は瓶を床に並べていた手を止めて蒼波を見つめた。なに? と視線で問うと、蒼波が照れ笑いを浮かべる。「もう一番の宝物は手に入ったから、それを大事にするんだ」「ん? 昨日渡したやつか?」 訊き返した燿を見て、蒼波が盛大に噴き出した。「そうなんだけど、そうじゃなくて」「なんだよ」「燿ちゃんが俺のものになってくれたから、一番大切にするよ」 顔に熱が集まっていくのを感じて、燿は片手で顔を覆う。恥ずかしげもなくよくもそんなことを言うものだと思った。罵ってやりたいのに言葉は出てこず、ぱくぱくと口が動くだけだ。「でも燿ちゃんが持ってきてくれたものは、新しい宝箱を作って入れとこう」 にこやかに言った蒼波は、小物の選別を途中にしてクローゼットからきれいな缶や箱を取り出した。「どれに入れようかな」「おい蒼波」「どうしたの?」 やっとの思いで再起動した燿は、これだけは言っておかなくてはならないとばかりに言葉を絞り
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