LOGIN■「俺はそんなにきれいじゃない」美しく可愛いものばかり集める幼馴染みとの恋は綺麗事では済まなくて。 ■室橋燿の幼馴染みの高遠蒼波は優しい性格をしており、きれいで可愛いものを集める趣味を持っている。 そんな蒼波の世話を焼くのが好きな燿は、蒼波が自分へ向けてくる好意に恋愛感情が含まれていることに気づき意識し始めた。 しかし、蒼波の集めるものと自分との差に悩む燿は、蒼波からの告白に動揺してひどい言葉を放ってしまう。 綺麗事を並べたい高校生の恋のお話。
View More燿と蒼波はホテルをチェックアウトしたのち、もう一度海へと足を向けた。海は昨日と同様穏やかで、太陽の光を受けて輝いている。 「すごいな」 「きれいだね」 かたわらの燿がわずかに身じろぎして、蒼波の方へ体を寄せてきた。どうしたのだろうと思う間もなく、蒼波の手に燿の手が触れ、しっかりと握りしめられる。 「燿ちゃん?」 「別に、いい」 「え?」 「本当は、触ってもいい」 昨日蒼波が話したことを燿なりにずっと考えていてくれたのだろう。ぽつぽつと話す燿はうつむいていて、蒼波からは表情は解らなかった。けれど耳が真っ赤になっていることからどんな顔をしているのか想像はできる。蒼波は素早く辺りを見回し、人気がないことを確かめてから燿を抱きしめた。 「うわ!」 「俺、本当に燿ちゃんが好きだよ」 「解ってるって言ってるだろ」 燿は滅多に蒼波に対して「好き」という言葉を返してくれない。けれど、触られるのをいやがっていた理由が解った今なら構わなかった。 きっとこのあと、燿は照れて別の話題を持ち出してくる。そんなことまで手に取るように蒼波には解っていた。 「そろそろ、駅行くか?」 ほら、やっぱりと思って蒼波は笑ってしまう。 「なんでにやにやしてんだ」 「燿ちゃんが大好きだなって思って」 「そーかよ」 二人は海岸を離れ、駅へ向かって歩き出す。一泊二日の小旅行は二人の小遣いでまかなえる範囲の安上がりなプランだったが、楽しいものだった。それでも蒼波はいつかもう少し豪華な旅行を燿と一緒に楽しみたいと考える。 「今度はもっとすごいホテルで、ぜいたくなごはんも食べようね」 そう提案すると、燿が意地悪い笑みを浮かべた。 「そりゃいつになるんだ」 「えーっと、大学生とかになってから? それとも働き始めてから?」 「先の長い話だな」 蒼波は頬を膨らませて反論する。 「じゃあ、冬休みにバイトするからそれで行く?」 「無理すんな。大学生とか社会人になってからで充分だろ」
二人は泥のように眠っていた。一日海岸を歩き回って、夜には激しく交わっていたのだから当然とも言える。燿のスマートフォンのアラームが鳴ったが、スヌーズを含めて三回ほど蒼波が止めてしまった。チェックアウトが遅めの時間に設定されているホテルだったので、少しの寝坊は許されたのがさいわいだ。 身支度を整え、万が一にも情事の痕跡が残っていないかを確認してから、朝食を摂りにラウンジへと向かう。朝食はバイキング形式となっていて、これまた食べ盛りの二人には丁度よかった。 細かく仕切りのついたプレートを手にした燿と蒼波は、それぞれ好みの食事を取り分けに向かう。蒼波はスープとパン、スクランブルエッグと厚切りハムを焼いたもの、サラダを持ってテーブルへと戻ってきた。対して燿はというと、スープにライス、グリルチキンにとんかつ、スコッチエッグとすごいボリュームだ。そして圧倒的に野菜が足りていない。 「燿ちゃん、野菜は?」 「そんなもん食わなくても育つ」 「トマトだけよけたらいいじゃない」 「俺は肉が食いてぇの」 蒼波もおかわりに行くことを前提にしているので、あまり燿のことを言えない。けれどここには栄養バランスを考えてくれる燿の母親はいないのだしと思う。もっとも燿は相変わらず聞く耳持たずだけれども。 「お前もこういうときくらい、好きなもん食えよ」 そう言われて、蒼波は燿に手招きして顔を寄せるように合図する。そして耳元でささやいた。 「それは、昨日の夜お腹いっぱい食べたから」 「この……バカ! バーカ!」 燿は言い捨ててがつがつと食べ始める。それが照れているだけだということは、赤くなった頬や耳がなにより雄弁に語っていた。蒼波もフォークを手にして食事を始める。 二人は結局三度ほど席を立っておかわりをした。二度目、三度目になると蒼波も燿につられてついつい肉を多めに取ってきてしまって笑われる。 「燿ちゃんが美味しそうに食べるてるから」 「人が食ってるのって美味そうに見えるよな」 「どれが気に入った?」 「塊の肉」 燿の答えに蒼波は噴き出した。燿は本当に肉が好きだ。それでも三度目に席を立ったときには小さなサラダ
二人は絡み合ったまま荒い息を整える。「終わったんだから、離れろよ」「もう。燿ちゃんはすぐそういうこと言う」 ゆっくりと燿の後孔に埋めていたものを抜くと、それすらも刺激となるのか燿が小さく声を上げた。「もう一回お風呂入らないとダメだね」「そうだな」 燿は力が入らないのか、ベッドに仰向けのまま転がっている。蒼波は純粋に嬉しくなって燿に声をかけた。「後ろだけでイケたの、気持ちよかった?」 寝返りを打って窓の方を向いてしまった燿は、こちらを見ようとしなくなってしまった。どうやら訊いてはいけなかったことらしい。「俺は、燿ちゃんがそうやってイってくれたの、嬉しかったんだけど……」「お前は少し慎みを持て!」 言葉とともに枕が飛んできたので、蒼波は早々に風呂場へと退散した。シャワーでざっと体を流して戻ってみると、燿はベッドからソファへと移動して、スポーツドリンクを片手にテレビを見ていた。「燿ちゃんも入ってきたら?」「おう」「出てきたら夜食食べよう?」「ん」 バスルームに向かう燿を見送ってから、蒼波は先ほど海岸でもらったアクアマリンを取り出して眺める。宝石だから嬉しいわけではない。この石を燿が自分のために獲ってきてくれたこと、それも今日のためにわざわざ用意してくれたことが嬉しかった。「俺もお返しできるようにならなくちゃ」 蒼波の独り言は、燿が聞いていたらまた怒り出しそうなものだ。 二人が恋人同士になってから初めての旅行は、例にもれず甘いものとなった。
「気持ち、いいか?」「俺の台詞、取らないで」 蒼波は汗で額に貼りついている燿の黒髪を優しく払ってから、ゆっくりと動き始める。喘ぎの合間から燿が小さな声で呟くのが聞こえた。「俺だって、不安なんだよ」「燿ちゃん?」「俺で、お前が、気持ちいいのか、とか」「気持ちいいって、言ってるのに」 最初のときも蒼波は気持ちよくて止まることができなかったのに、なにを不安に思うことがあるのだろうか。今だって燿にちゃんと話させてやりたいと思っているのに、どん欲な自分は腰を動かすことをやめられずにいる。奥深くまで来てもよいと許可された喜びで爆発しそうだ。「奥までするの、どんな感じ?」 尋ねながら蒼波はこれ以上奥はないというところまで自身を捻じ込んだ。きれいにしなる燿の背中をしっかりと抱いて、何度も最奥を貫く。「あ、あっ。ん、あおばっ」「やめる?」 燿が首を横に振ったのを見て、蒼波は微笑みを浮かべた。負けず嫌いの燿のことだから、多少無理はしているのだろうけれど、本当にいやがっている様子はない。「じゃあ、今日は奥で気持ちよくなって?」 角度を変えて前立腺をかすめるように突き入れて、奥の奥まで抉るように動く蒼波に、燿がしがみついてきた。それだけではやり過ごせなかったのか、蒼波の肩に噛みついてくる。声を抑えたかったのかもしれない。噛みつくたびに後孔がぎゅっと締まるので、蒼波はそれだけで持っていかれそうになった。「燿ちゃん、燿ちゃん」「ん、んんっ」 蒼波は夢中になって燿の中心へと手を伸ばし、一緒に達するために刺激を与えようとする。しかし、自分の動きが激しくていつものように燿をうながすことができなかった。「あ! あおばっ。ちょっと、あ、ああっ」 今の動きでまた角度が変わってしまったのか、燿がひときわ大きな声を出す。とっさに燿の口を手でふさいだ蒼波は、そのまま抽挿を繰り返した。「んっ。んー! んうっ」「燿ちゃん、イキそう?」 全身を震わせている燿の姿を見て蒼波が問いかけると、燿は何度もうなずいて蒼波の腕や肩に爪を立てる。燿が耐えがたい快楽の
言葉を返す余裕のない燿に構わず、蒼波はふくらはぎから太ももまでを何度もたどる。そうしておもむろに勃ち上がりかけている中心を軽く握り込んだ。 「う、あっ」 慌てて蒼波の手を押さえつけようとした燿の両手を軽く払って、蒼波はゆるゆると手を上下に動かし始める。 「蒼波っ。やめ、や! あっ」 「大丈夫。気持ちよくするだけだから」 別に燿に自慰の経験がないわけではない。しかし、他人の手でこのように高められるのは初めてのことだった。しかも相手は今しがた想いを交わしたばかりの蒼波である。 羞恥に混乱する中で、快楽を追う自分を
蒼波はそう言いながら、燿の胸の辺りにそっと手を当てた。仕方なく深呼吸をして体から力を抜こうと試みる。そんな燿の胸元をなでつつ、蒼波はそろりそろりと腹の方へ手を下ろしていった。Tシャツの裾から蒼波の大きくて温かな手が忍び込む。 「蒼波っ」 「なに?」 「いや、なんでも……」 一度燿の素肌に触れたら、蒼波には遠慮がなくなった。割れた腹筋をなぞったり、へそをくすぐったりしながら今度はどんどん手が上にくる。その指先が胸の先端を掠めた瞬間、燿は言い知れない感覚に身をよじった。 「うあっ」 「燿ちゃん、胸気持ちいいの?」
「いってぇ」 「ね、燿ちゃん。いい?」 なにが? と燿は尋ねることができなかった。仰向けに倒れた燿に覆いかぶさる形になっている蒼波とは下半身が密着している。蒼波のそこが硬く張っているのが伝わってきたからだ。 「あお、あおば……。待て、ちょっと」 制止の声を上げた燿に向かって、蒼波が頬を膨らませる。不満があるときの蒼波の癖だ。むすっとしたまま蒼波は燿の耳元へ口を寄せ、低い声で内緒話をするように言った。 「ずっと待ってたよ。もう待てない」 耳をはむりと噛まれて、耳朶に舌を這わされる。燿は「ひっ」と肩をすくめた。 「ダ
膝立ちのまま燿の腰を抱いていた蒼波に視線を合わせようと、燿はその場に座った。蒼波の手が腰から離れて燿の頬を包み込む。 「なんだよ」 「俺、しあわせ」 「大げさだな」 言い終わるか終わらないかのうちに、燿の唇はふさがれていた。羽根が触れるような唇を合わせるだけのキスだ。やはり蒼波だから気持ちがよいのだと燿は再確認していた。 しかし、前回味わった強烈な快楽を得られないことに物足りなさも感じる。ちゅっちゅと繰り返される軽いくちづけに焦れて、薄く唇を開いてみた。蒼波が気づいてくれればよいとも、気づかなければよいとも思う。気づかれてしまったら