一週間の待機期間を経て、すべての審査結果が出揃い、実行委員会からは全ての参加者に対して最終授賞式への招待が届いた。凛音は鏡の前でドレスの裾を整えていた。そこへ孝之が現れ、彼女の首にそっとパールのネックレスをかけてあげた。「すごく似合ってる、気に入った?」そう言って彼は彼女の頬にキスを落とし、優しい眼差しで見つめた。凛音は手を伸ばして、自然光の中でほのかに輝く真珠に触れる。そして彼の胸元に身を寄せながら振り返り、正面から向き合った。「今日、一緒に来てくれない?もし私が受賞したら、あなたにもそばにいてほしいの」孝之はため息をつき、彼女を抱きしめながら申し訳なさそうに言った。「ごめん、俺も一緒に行きたいけど、今日はどうしても外せない予定があるんだ」凛音は目を伏せた。「うん、わかった。仕事、頑張ってね」孝之と友里は、凛音を乗せた車が見えなくなるまで見送った。友里は確信を持ったように言った。「義姉さん、絶対浮気疑ってるよ。今にも泣きそうだったじゃん」孝之は彼女の頭を軽く叩いた。「俺がそんなクズに見えるか?さっさと行くぞ、遅れる」授賞式の会場、凛音は一人で席に座っていた。頭の中では、孝之の「どうしても外せない予定」が何なのか、ぐるぐると思考が巡っていた。ふと、隣の人に軽く肩を突かれ、ようやく我に返る。壇上では司会者が先ほどの発言をもう一度繰り返していた。「花岡様、本大会で見事一位を獲得されました。どうぞステージへお上がりください」巨大スクリーンには彼女のデザイン作品が映し出され、有名なラグジュアリーブランドの社長がプレゼンターとして壇上に立っていた。凛音は感極まり、立ち上がる。トロフィーを高く掲げた彼女は、ライトに照らされて、まるで輝く星のようだった。「審査員の皆さま、本当にありがとうございます。そして、もう一人感謝したい人がいます。本当は今日ここにいてほしかったけど、聞いてくれていると信じています。なお、今回の賞金はすべて、世界の視覚障害児支援団体に寄付いたします。少しでも多くの子どもたちに、光を取り戻すチャンスを……」感謝の言葉を述べ終え、凛音がステージを降りようとしたその時、司会者が彼女を呼び止めた。「花岡様、ちょっとお待ちください。あそこにいらっしゃるのは、先ほど残念ながら会場に来られなかったという
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