「……そう喚かず最後まで聞け。二つ目の方法としては、表面上だけ俺と紗綾《さや》が距離を置くことだ。そしてお前がターゲットから外されるまで俺がアイツらの機嫌を取ればいい。だが……正直、この方法は気が乗らない」「でも、その方法なら御堂《みどう》が乱暴な手を使う心配はないわね……貴方はどうして気が乗らないの?」 この方法が私は良いと思うのだけれど、それを考えた御堂の眉間には深いしわが寄っている。 私がそれを聞くと御堂は私に見せつけるように大きなため息を吐いた。「それはそうだろう。俺は紗綾と距離を置きたいとは思っていないし、お前を傷つけたアイツらの機嫌も取りたくないに決まってる。いちいち聞かなければ分からないか?」「……わ、悪かったわね。鈍感で!」 呆れた顔で私を見下ろす御堂。 そりゃあ、気付かない私も悪いと思うけれど……私は今までそんな、宝物のように大切にされた経験は無かったから。嬉しいが戸惑ってしまう。「紗綾が鈍感なのはもう諦めてる。……で、三つ目の方法が一番簡単で説得力があるだろう。このまま紗綾と俺が恋人同士になる、だ」「はあ? それじゃあ、ますますその子達を煽るだけでしょう?」 おそらく女の子たちは御堂の近くにいる私がとても邪魔な存在のはず。そんな私がこの人の恋人なんて言ったら、余計に怒らせるんじゃないの?「アイツらは紗綾がライバルだと勝ち目がないから、今のうちにお前を俺から離したいんだ。紗綾が俺の恋人になれば、自分達では勝負にならないから諦めるだろ」「えっと、言ってる意味がよく分からないんだけど……?」 本当に私なんかが恋人になってその子たちが諦めるのかしら? 御堂の言う事がちょっと信じられないのだけど。「この三つから、紗綾に選ばせてやるよ。さあ、どれにする?」
Terakhir Diperbarui : 2025-07-14 Baca selengkapnya