Semua Bab 唇に触れる冷たい熱: Bab 21 - Bab 30

47 Bab

逃がさない 3

 御堂《みどう》の乱暴だった口付けは少しずつ変化していき、優しく啄むように何度も私の唇を求めてくるようになる。 私は抵抗も出来ないまま、ただ彼の唇を受け入れるしかなくて。 ……いいえ、抵抗出来ないんじゃない。もしかしたら私は御堂の強引な言動を本気で嫌だと感じていないのか。 心のどこかでこのまま彼に流されることが出来るならば、という気持ちが無いわけじゃないと思う。 ····の記憶を消し去るくらい、御堂が強く私を奪ってくれるならば…… そんな期待をしなかったと言えば、嘘になる。だけど、御堂はそんな私の弱い所もすべてお見通しだったようで。「紗綾《かっこ》。お前が俺を受け入れられず、苦しんでいる|理由《ワケ》を話せ。それと向き合い乗り越えなければ。お前は心から恋愛することが出来ないんだろう?」 身体だけ差し出して過去を隠してしまおうとする私の狡さを、やはり御堂は見過ごさない。 彼は私の身体だけでなく心も、過去も未来もすべてを手に入れるつもりなのだろうか? 欲張りだと思うが、それさえも御堂らしいとも言える。「紗綾の唇は俺を愛したい、俺に愛されたいと伝えてくるみたいだ。お前自身も少しは素直になったらどうなんだ?」「……自信過剰よ、私はそんなこと貴方に伝える必要ないわ」 つっけんどんにそう返せば、全く動じない御堂からキスの雨を降らされて。頬に、額に、唇に……そのキスに私は堪らず彼のシャツを握りしめる。 まだ「そうだ」と自信を持って応えられるほど、御堂に気持ちがあるとは言えない。だって私は貴方がとても怖いもの。 だけど……御堂の熱《キス》は、少しずつだけど私を固まった溶かしていく。何年も変えることの出来なかった私自身を、確実に変化させていく力が彼にはあるんだって思えた。 
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-09
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逃がさない 4

 御堂《みどう》は強引さの中にも、しっかりと私への愛情と優しさを持ってくれている。それが彼のキスから伝わってくるから、私の心が揺らいでしまうのだろう。 唇が離れ、冷たい指が私の濡れた唇をなぞる。ほら、また私の唇が熱くなってしまう。「俺のキスが嫌だと思うのなら、なぜお前は拒まない?」「御堂がそうさせてくれないんでしょう? あなたはいつも強引過ぎるのよ」 拒むことが出来なかったように言ったけれど、本当は違う。私は御堂を本気で拒もうとしていないんだって、自分でもちゃんと気付いている。 結局……私は少しだけ、御堂に女として甘えたい気持ちがあるのだわ。「優しくされ遠回しに好意を伝えられても、相手の気持ちに気付かないふりをして逃げてきたんだろう? そんな紗綾《さや》には、これくらい強引なやり方でちょうどいい」「どうして、貴方がそんな事……」 ここに来たばかりの御堂が、なぜそこまで知っているのか。確かに私はそうやって、向けられた好意を見ないふりしてきたけれど。「今の紗綾の様子を見ていればわかる。だが、それが俺にも通じると思うのは間違いだ」「私を逃がしてくれる気は……無いの?」 まっすぐ、私を射貫くように見つめてくる二つの瞳。そうよ、答えなんて最初から分かってる。「俺はお前を、逃がさない」 こうやって、言葉で視線で私を動けなくして……御堂はゆっくりと私を捕らえようとしてくる。 ――どうして、逃げられない? 「今すぐ逃げろ」と、頭の奥で自分の声が木霊するのに、私はこの場所から一歩も動けないでいる。 
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逃がさない 5

「ついて来い、紗綾《さや》」 御堂《みどう》は私の手を掴みそのまま室内へ上がると、リビングを通り過ぎて奥の部屋の扉を開ける。戸惑う私を中へと押し込み、入り口近くのスイッチで照明をつける。 ……広い寝室に大きな黒のベッドとサイドテーブルのみの、とてもシンプルな部屋。そのせいだろうか、緊張で私の喉がゴクリとなった。「わ、私そういうつもりは」 私が御堂のキスを受け入れたことで、全てを許すと思われたのだろうか? 想像もしなかったいきなりの展開に身体が石のように固まってしまう。 御堂はそんな私に振り返りもせずスーツの上着を脱ぎ始め、それをハンガーにかけた後で彼は私に手を差し出した。「紗綾も脱ぐだろう?」 御堂からハンガーを渡されて、私は上着を脱いで御堂の上着の隣に掛ける。私は本当にこのまま、御堂と……? 不安な気持ちのまま背の高い彼を見上げると、御堂はそっと私に近寄りギュッと私の身体を抱きしめた。 上着を脱いだことで伝わってくる御堂の体温。私より高い御堂の体温を感じる事で心が落ち着くのはなぜなのか?「……こうしていれば、お前も少しは落ち着くだろう?」 どうして御堂には私の思っている事が全部バレてしまうの? こんな時でも彼だけが落ち着いているなんて少し悔しくもあって。 この瞬間も私の心臓は御堂に抱き締められることで、うるさいほど音を立てているというのに。 
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逃がさない 6

「どうだ、紗綾《さや》」 少し強めに抱かれた私の身体、御堂《みどう》のぬくもりを感じながら彼の肩にそっと自分の頭を乗せる。「凄く、暖かい……」「それは良かった。じゃあ、しばらくこうしていろ」 言葉の少ない御堂だけれど、こうして抱き合っていると彼がとても優しい男性だということが分かる。駄目だわ、このぬくもりは私を御堂から徐々に離れがたくする。「けっこう意外ね……御堂はもっと遠慮なく攻めてくる男だと思ってた。私の気持ちなんてお構いなしに」 最初の御堂の行動を考えれば、私がそう思うのも仕方ないことだと思う。あまりに強引な御堂に私は本当に振り回されてばかりだもの。「チャンスがあれば遠慮なくそうさせてもらうさ、覚悟はしておけ」 ……チャンス? だったら今はチャンスじゃないの? とはさすがに聞けない。まだ私にはそこまで覚悟が出来てないから。「どうして……貴方は私にここまでするの? 面倒でしょう、こんな女」「ずっと欲しかったからな。紗綾《さや》の事で面倒な事なんて俺には一つもない」 そうハッキリと気持ちを告げられてしまうと、私だって嬉しくないわけじゃない。ただ、今すぐには御堂の気持ちに応えられないだけで。「だが……そうだな、我慢したご褒美くらいは貰おうか?」「……え?」 形の良い御堂の唇の端が片方だけ上げられた。それだけでも胸がドキリとする、彼の言動はまだまだ私には予測することが出来ないから。 
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逃がさない 7

 戸惑っている間にスッと御堂《みどう》の頭が下がり、彼は私の首筋に口付けて……しまった! と思った時にはチクリとした痛み。すぐに反応出来なくて御堂を制する時間もなかった。「御堂、貴方ね……!」 私の首筋につけられたであろうキスマーク、御堂は付けたばかりのそれを指先でそっとなぞる。私が彼をジロッと睨んでいることなど、全く気にも留めないようだ。「これは印だ。紗綾《おまえ》は俺が予約済みだという、な」「予約済みって、私はあなたのものになるなんて一言も言ってない」 そう囁かれ抱きしめられながらも、まだ私は御堂に応えることは出来ないと思っている。きっと私では……彼を本当に幸せにしてあげる事は出来ないから。「なるさ。紗綾は必ず俺だけのものになる。どれだけ時間がかかろうとも、俺がそうしてみせる」 自信にあふれる御堂、どうしてそこまでして私なのよ? 他に素敵な女性がいくらでも貴方のそばには寄ってくるのに。「他の人の方が、御堂を幸せにしてくれると思う」 ……これは本音。幼馴染の彼には幸せになってほしいし、今の御堂に相応しい女性がきっと現れると思うから。「俺に抱き締められながら、お前は何を言っている? それに、俺が誰といて幸せかは自分自身で決めることにしているんだ」 御堂は私の汚い部分をまだ知らないから、そんな事が言えるのよ。私の全てを知ればきっと貴方だって、今の気持ちすら無かったように私から離れていくはず。 ――ああ、だから私はまだ話せないんだ。本当は御堂が自分から離れてしまうのが怖いから。 
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-09
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逃がさない 8

「そうね、御堂《みどう》はそういう男だわ。それにしても私をこんなに甘やかして、一体どうするつもりなのかしら?」 ……そう、こんな風に御堂に優しく抱きしめられていると自分がとても大事にされているように気分になる。素直に彼に甘えてしまいたくなってしまう。「紗綾《さや》が俺無しではダメになるようにしてやろうかと思ってな?」 「卑怯ね、御堂がそんな手を使うなんて意外……」 御堂、あなたは本当に私の事を分かってるわね。このままだと本当に私はあなたが傍にいてくれないと駄目な女になってしまいそうなのに。  でも……そう簡単に貴方の思い通りにはなってあげれない。「欲しいものを手に入れるためなら、少しくらい卑怯にもなるだろう? 今だってこのまま紗綾を離さなくて済む方法を、この頭の中で必死に考えてる」 「必死で」御堂らしくない単語に少し驚く。だけれど彼は私が欲しくてそこまで考えてくれているのだわ。  こうして私をここまで大事にしてくれる、必要としてくれる人が今までいただろうか? こんな御堂に惹かれるなという方が無理な話で、彼は少しずつ私の心の中へと入りこんできている。「怖いわね、これ以上ここにいるとあなたに全て奪われてしまいそう」 「俺は最初からそのつもりだが?」 冗談ともそうでないとも取れる御堂の言葉。でも彼はきっと最後は私に選ばせてくれるはず。「……そろそろ帰るわ、御堂」 
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-10
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逃がさない 9

「……さっき逃がさないと言ったばかりだろうが」 御堂《みどう》は私の言葉に呆れたような様子でそう言ってくる。思っていたほど、すんなりとは帰してくれないようで。「そうだけれど、私だってお腹が空くもの。そろそろ帰って夕食の準備をしなくちゃ……」 そういうと同時に私のお腹から「くうっ」と音がする。私は御堂から見られないよう両手で赤くなった顔を隠したが、どうしてこんなタイミングで鳴るのだろう。「俺と抱き合っているのに緊張感のない腹の虫だな。まあいい、俺が夕飯を作れば紗綾《さや》はまだここに居れるんだろう?」 「誰が……夕飯を作るって?」 まさか、御堂が料理をするっていうの? とてもじゃないけれど、そんな彼のそんな姿は想像出来ないのだけれど。「俺が、だ。こう見えても父子家庭で育ってきたからな、料理はガキの頃からやっているぞ」 「父子家庭……? え、おばさんは?」 子供の頃には何度も【かんちゃん】のお母さんとは会っている。長い黒髪の、とても綺麗な女性だった。「紗綾は、何も聞かされてないんだな。まあいい、その話はいつでも出来る」 御堂はそういうと私からそっと離れて寝室のドアを開けると、そのままのキッチンまでスタスタと歩いて行ってしまう。少しさっきの話が気にはなるものの、深く追及はせず彼の後をついていく。  ……でも、本当に彼が料理を作ってくれるのかしら? 御堂はそうまでして私を帰したくないのかと思うと、何だかちょっとだけ胸がくすぐったかった。 
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逃がさない 10

「紗綾《さや》はソファーに座ってテレビでも見ていろ」 そう言われてソファーにちょこんと腰かけた。御堂《みどう》ともう少し話したかったから、あえてテレビはつけずに待っている。  この部屋にはテレビとソファー、他にはほとんど物はない。それはそうかもしれない、彼はまだここに来たばかりなのだから。  なんとなくソワソワして、私はソファーから立ち上がりこっそりキッチンを覗きに行く。黒の前掛けエプロンをしてフライパンで具材を炒めている御堂。  ……どうしてだろう、この男は何もしても絵になるのだから腹が立つ。  火を止めた後、卵を冷蔵庫から出している。そんな何気ない動作一つにも見惚れてしまいそうで……料理をしてる男性ってこんなにかっこよく見えるものだっただろうか?「そんな所から覗くくらいなら、堂々と見たらどうだ?」 御堂は私の方を見るとニヤリと笑って、私の手を強く引っ張った。引き寄せられキッチンと御堂の両腕に挟まれる様な形になる私。「ちょっと御堂、危ないじゃない!」 「何がだ? 火はもう消しているし危ないことなんてないだろう? ほら紗綾、もっと俺に寄ってくれないと卵が割れないだろ」 御堂には私を後ろから抱きしめるような形で、そのまま料理を続けようとするから堪らない。「私を離してくれれば、卵なんてすぐに割れるでしょう? ねえ、離してってば……」 「大人しくソファーに座るように言ったのに、チョロチョロしている紗綾が悪いんだろう? 俺の言う事をお前がちゃんと聞くように躾けているんだよ」 「わ、私はペットじゃないんだから!」 真っ赤になる私を見下ろしながら、御堂は面白そうに「クックックッ……」と笑っている。もう、凄く性格が悪いわ!
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逃がさない 11

「まあいい、俺が割れなければ、このまま紗綾《さや》が卵を割ってくれれば済むことだ」 「ど、どうして私が……きゃあっ!」 御堂《みどう》は持っていた卵をボールに戻し、空いた左腕で私の腰をグッと引き寄せる。  ピタリと背中が御堂の身体とくっついてしまって……伝わってくる彼の体温に、ドクドクと心臓がうるさいくらいに音を立てる。「どうした、紗綾。卵の割りかたも知らないのか? 仕方ないな。ほら、こうやって……」 御堂は私の手のひらに手を重ねて、子供にでも教えるかのように卵を持たせる。しかもピタリと私の背中にくっつかれているせいで、御堂の吐息が首筋にかかってかなりくすぐったい。「分かるってば、そんな事をしなくてもちゃんと出来るからっ! だから離してよ!!」 御堂のこういう意地悪に、とてもじゃないけれど太刀打ち出来なくて。私はこんなに追い詰められているのに、逆の立場である御堂は涼しい顔をして笑ってる。  とんでもなく悔しいのに、そんな風に笑う彼を嫌いにはなれない。「ああ、紗綾は素直で可愛い反応をするから躾けがいがあるな。このまま離すのは少々惜しい気もする」 「か、可愛くなんてっ……!」 御堂の言葉で熱くなった顔が、ますます赤くなってしまう。意地悪な事を言われているのに、どうして私は彼を喜ばせるような反応しか出来ないの?「そういう所だ、紗綾。こんな反応を何度も見せられてるんだ、いつまでも我慢してやるつもりはないからな?」 「我慢って……」 私を抱き寄せていた腕の力が強まって、彼が私を本気で欲しがっている事を思い知らされる。  でもね、御堂……私はまだまだ貴方からの気持ちに応えられそうにない。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-11
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逃がさない 12

 そんな私の気持ちはお構いなしで、御堂《みどう》は後ろから私の首筋に息を吹きかけるように囁くの。「そう、俺だってこうしていて何も感じないほど枯れちゃいないんでね」 「そ……そんな事言いながらも、私の許可なく貴方は勝手に触れているんじゃないの!」 私が御堂から一生懸命距離を取ろうとしているのに、全部壊して近付き触れてくるのはいつも貴方の方じゃない。「言ったはずだ、紗綾《さや》が嫌なら本気で拒めば良いと。こうされても逃げないのだから、抵抗する気が無いのだと俺は受け取っているが?」 そうね、本気で逃げようとしてないのは私。どこかで強引に貴方が捕まえてくれないかと少しだけ期待してる。  ずっと、そんな狡い自分が見え隠れしてて。「……逃がそうなんて、本気で思ってないくせに」 「そうだな。少なくとも紗綾がこうして俺の腕の中にいる間は、簡単に逃がす気にはなれない」 ぎゅっと両腕に力が込められて、ちょっとだけ苦しい。御堂の気持ちに応えられないのに、彼を拒むことも出来ないでいる。そんな自分自身を、私はどうすればいいのだろう?「俺を選ぶんだ、紗綾……」 熱を帯びたかすれた声で囁かれて、私は御堂に心臓を鷲掴みにされているような気分になる。彼の熱に酔わされて、頭がクラクラしてしまうのだ。「そんなにあせらせないで。私だって、もう少しくらい時間が欲しいの……」 御堂の右腕に顔を埋めて、懇願する。後ちょっとでもいいから、時間をちょうだいよ? ちゃんと、貴方と向き合う努力をするから。 
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