「御堂が私の事を好きだと心から想ってくれているのなら、もう私の事は放っておいて欲しい。お願いだから、これ以上私を追い詰めないで!」 私が御堂の気持ちに、本心で応えることが出来る日はきっと来ない。私はそれを御堂が納得してくれるまで、何度だって説明するつもりでいた。 なのに……「紗綾、お前にどんな過去や事情があるかを離れていた俺は知らない。だが、逃げているばかりで問題が解決する時が来るとは限らないんだぞ?」 そんな御堂の知ったような言葉についカッとなる。確かに彼の言う通り私はこの問題にいつまでも向き合えず、過去を思い出さないように逃げてばかりなのだから。 でもそれをハッキリと人から指摘されるのは……正直、とても辛くて。「そんな簡単に言わないで! 御堂だって、本当の私を知れば……」 「幻滅するわよ」そう言いたいのに、御堂の鋭い視線が、それ以上私に喋らせようとしない。 どうして……貴方はいつも、私にはそんな視線ばかり。「俺はどんな紗綾でも受け止める、だからお前が自分自身を傷付けようとするな。大体そう簡単に諦められる程度の想いなら、二十年もお前を探してはいない」 「二十年って……まさか、離れてからずっと私の事を探してたの?」 私たちが離れた理由は【かんちゃん】が引っ越したからなのだが、それでもしばらくは手紙のやり取りをしたりもしていた。 だけれど……「手紙が来なくなったと思ってたら、今度は紗綾がどこかへ引っ越していたからな。それでも俺は、ずっとお前からの手紙を待ってたが」 「御堂……」 「子供の頃のオレには、そうする事しか出来なかったからな」と、とても小さな声で御堂が呟いて。
Last Updated : 2025-07-08 Read more