「要《かなめ》……!? 貴方、どうしてここが?」「紗綾《さや》、その話は後だ。横井《よこい》さん、すぐに連絡をくれてありがとう」 要のその言葉に、横井さんは笑顔とピースサインで返す。どうやらここに来る前に横井さんが彼に連絡をしていたみたいで。本当に彼女は色んな所に気が回る女性なんだって思った。「御堂《みどう》 要、またお前か。紗綾を傷付けたのは俺だけじゃない、お前だって今こうして紗綾を傷付けているだろう?」 そう言って彬斗《りんと》君は、要に数枚の写真を投げつける。 どうして……彬斗君は私を守る要の存在が邪魔な存在なだけでしょう? 私が要に傷付けられるのならば、それは私を苦しめたい彬斗君にとって都合のいい事なんじゃないの?「彬斗君! 私は別に要に傷つけられてなんか……!」「紗綾は黙ってろ! 俺は今、御堂 要と話をしているんだ!」 どうして? 彬斗君の今日のターゲットは私なんじゃないの? このまま要を責められたら、私はいったいどうすればいいの……?「伊藤《いとう》 彬斗、お前が俺や紗綾に言いたいことはそれで終わりか?」 どんな弱みを握ったつもりでも、どんなに彼の事を調べ上げても、要の堂々とした態度に変化はない。きっと彼には誰にも後ろめたい事をしていない自信があるんだわ。「何だよそれ、俺はお前が紗綾を都合良い存在にしている事を――!」「伊藤 彬斗。お前は自分がしたことでも他の男が同じことを紗綾にすることは許せない、そうなんだろう?」 え? それって、まさか……?「彬斗《りんと》君……本当にそうなの?」 付き合っている時の彬斗君は、そこまで私の事を気にしているようには見えなかった。 彬斗君自身も私の事をぞんざいに扱っていたし、私が誰にどんな目にあわされても話を聞こうともしなかったから。 「違う! 俺はただ紗綾《さや》の態度と、御堂《みどう》 要《かなめ》の存在が気に入らないだけだ!」 私と要の問いかけに焦った様子を見せる彬斗君。まさか要の言う通りだったりするの……今更どうして?「違わないだろう、伊藤 彬斗。お前は俺の存在を知って、やっと紗綾が自分にとってどんなに大事な存在であるかに気付いたんだろうが」 「違う……! 俺にとって紗綾はそんな特別な相手なんかじゃない、俺はただお前達に復讐しようとしているだけで……!」 要の言葉に過
Huling Na-update : 2025-07-30 Magbasa pa