Semua Bab 唇に触れる冷たい熱: Bab 61 - Bab 70

87 Bab

受け入れるから 2

「主任、今日一緒に飲みに行きません? スタッフさんが素敵な人ばかりのバーを、駅の近くで見つけたんです」 仕事終わりに横井《よこい》さんからそう誘われたが、彬斗《りんと》君と約束のある私は小さく首を横に振ってみせる。横井さんには普段、色々と助けてもらっているから断るのは申し訳なかったけれど。「ごめんなさい、今日はちょっと用事が入って」 「珍しいですね、もしかして御堂《みどう》さんと会うんですか?」 ここで違うと言えば、勘の良い横井さんに何か勘付かれるかもしれない。流石に本人に確認することは無いでしょうし……「ええ、ちょっと二人で行きたいショップがあってね」 悪いとは思いながらも、嘘をついてしまった。これ以上、私のゴタゴタに横井さんを巻き込みたくない気持ちが大きくて。「ええー、いいなあ。今日はデートでしょうから邪魔しませんけど、今度は私も一緒に連れて行ってくださいね?」 「ええ、分かったわ」 横井さんに怪しまれなかったようで、とりあえずホッとし鞄を肩にかける。  ……急がなくては。彬斗君からは、すでに場所と時間をメールで送られてきている。「それじゃあね、横井さん」 彼女に挨拶をしてタイムカードを打つと、そのまま小走りでオフィスを出た。待ち合わせ場所までそう遠くはないけれど、彬斗君を待たせるわけにはいかない。  不安な気持ちを押し殺すように胸を押さえて、彼に指定された場所まで走って行った。  待ち合わせのレストランの中に入り、彬斗《りんと》君に指示された通り彼のいる個室に案内してもらう。  緊張しながら扉をノックすると「ああ、中に入って」と、昔と同じような口調で返事がきた。  未だに彼の声を聴くと、全身が震えてくるような気がする。本当に私一人の力で、この問題を解決出来るのだろうかという不安もあって……「へえ、本当に約束通り一人で来たんだ。真面目なだけが取り柄の紗綾《さや》らしいね」 そうね、彬斗君は私の性格をよく分かっていると思う。それを知っていて彼はそういうメールを送ってきたのでしょうし。  彬斗君の言う通り、恋人関係だった時の私はこの人の言う事を大人しく聞くだけの存在だった。そうすることで彬斗君に喜んで貰えるのだと、勝手に思いこんでいたから。「そんな事より、貴方の用件を話してくれる? 私達はもう楽しく話せるような関係ではないは
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-21
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受け入れるから 3

 彬斗《りんと》君の言葉に苛立ち、グッと唇を噛む。彼の事だからきっとその話をしてくると思っていた。私の知っている伊藤《いとう》 彬斗という男は、こうやって人の弱い部分を突《つつ》くことが好きな人だから。 ……だったら、私はあらかじめ用意していた言葉を喋るだけよ。「それは御堂《みどう》と私の問題でしょう? 赤の他人の伊藤さんには、全く関係ないことだわ」 彬斗君はあからさまにムッとした表情をする。きっと私が動揺しないで冷静に返したのが、気に入らないのでしょうね。「……へえ、でも関係無いなんて言えないんじゃないかな? 被害者なんだぜ、俺は」 やはり簡単に引き下がってはくれないようで。しかも自分だけが被害者のような顔を平気でするなんて、信じられない気持ちになる。 ……そう思うけれど、そんな彬斗君よりもっと最低なのは過去の自分で。「私も被害者だったと思っているわ、貴方の女癖の酷さのね」 この人と付き合った後半の半年は、ただ辛いだけだった。何度も約束を破られ、他の女性と過ごす彼を待っている事しか出来なくて。「……ずいぶん性格がひん曲がったな? 前みたいに素直な紗綾《さや》に戻してやろうか?」「それこそ大きなお世話よ。こんな女が誰より可愛いと言ってくれる人もいるんだもの」 そう、御堂《みどう》ならこんな可愛くない台詞も全て受け入れてくれる、自分の都合よく、相手を変えてしまおうなんてしない。「はっ! そいつが受け入れてくれるといいな、お前の過去を……!」 怒った彬斗君がそう言って、私の手首を掴んで引き寄せようとした。 その瞬間――――「悪いが紗綾の過去で、俺に受け入れられないものなんて何一つないんだが?」 どこからともなく現れて、彬斗《りんと》君の手を払い落として私を庇うように前に出る|御堂《みどう》。その広い背中に守られて、今までで一番安心する。「御堂、どうして……?」 私は彼に何も伝えずにこの場所に来たのに、どうして御堂は私のいる場所が分かったのかだろうか? まさかこっそり後をついてきた……いいえ、私は後ろを何度も確認していたし。「私もいますよ~、主任!」 私の肩を叩いて、パチンとウインクして手を振る横井《よこい》さん。凄く助かったけれど、私の頭の中は疑問だらけで?「横井さん、貴女までどうして? そもそも、貴方達はどうやってここに……
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-22
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受け入れるから 4

 攻撃的な彬斗《りんと》君の言葉に、私は強く唇を噛む。彼は間違っていない、だって何も嘘はついていないもの。 悪いのはあの時、淋斗君を傷つけようとした私の方なのだから――「主任が伊藤《いとう》さんの首を? また、そんな分かりきった嘘を……」「嘘かどうかは、今の紗綾《さや》の顔を見れば分かるんじゃないのかな? 真面目な彼女は君たちに嘘なんてつけないだろうから、ね」 信じられないというような表情で、御堂《みどう》と横井《よこい》さんが私を見ている。 分かっているわ。あの時の私は、彬斗君に対して殺意があったのかも思い出せない程に追いつめられていた。とはいえ、私のとった行動は決して許されるものじゃない。 眠っている彼のその首に手を回した時の感触は、今でも忘れられない。「彼の言う通りよ、私……彼の首を絞めようとしたの。あの時、そうする事ですべての苦しみから解放されるんじゃないかって……」 私と約束していても、他の女性と遊ぶのを止めなかった彬斗君。他の女性に触れた手で、私にも触れようとした彬斗君。 何もかもが限界だった。私から離れて他の女性の元に行くのなら、もういっそ……そう思ったら、身体が勝手に動いていた。「ほら、聞いただろ? これでも御堂さんは紗綾を受け入れられるって言うのか?」 彬斗君の言葉に私は目を瞑る。こんな話を聞いても御堂が私を受け入れてくれる自信は無くて。 せめて彬斗君からではなく、自分の口でちゃんと伝えられたら良かったのに……ごめんなさい、御堂。「ああ、もちろん全て受け入れるさ。俺はお前みたいにそこまで《大切な人》を苦しめ追い詰めたことにも気付けないような、馬鹿野郎じゃないんでね」 何の迷いもないハッキリとした御堂《みどう》の答えに、私は胸がいっぱいで泣きたい気持ちになった。 私は自分のこの過去を御堂に知られたくなくて、本当は隠し通せればいいとまで思っていたのに。「御堂、私は貴方が思うほどきれいな人間じゃないのよ? 本当の私は、ずる狡くて残酷で……」 ちゃんと知ってもらいたい、本当の私を。全部知って本当の意味で受け入れられたい。「大丈夫だ、紗綾《さや》。俺はどんなお前でも、全部受け入れたいんだから」 私の言葉に御堂が大きく頷いてくれる。違うのね御堂は、あの時に私の全てを否定した彬斗《りんと》君とは。「何だよ、それ……紗綾の
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-22
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受け入れるから 5

「伊藤《いとう》、お前だって本当は紗綾《さや》がそんな事をする女性ではないと分かっているはずだ。それに前の支社でもお前はセクハラ問題を起こしたそうだな? それでもまだ、全部彼女の所為だと言えるのか」 どうやらこちらに移動してくる際に、前に働いていた支社から彬斗《りんと》君の問題点について御堂《みどう》に伝えられていたようで。 それにしても……この人の女性問題は、結局どこに行ってもなおらないのね。「彬斗君、私は自分の事で貴方を長く苦しめたことは悪かったと思っているわ。だけど……」「うるさい! 今更謝られたって、許してやれるわけないだろっ! 紗綾だけが幸せになるなんて俺は絶対に認めない! お前は、俺の……ぐっ!」 ダァン! と、ものすごい音がして彬斗君が床に倒れている。 私に襲い掛かろうとしてきた彼を、御堂が掴んで床へと投げ飛ばしてくれたようで。 だけど店内でこんなに騒いでしまったことで、きっとお客さんやお店のスタッフに迷惑をかけてしまっただろう。 そう慌てていたのに。「御堂さん、ナイスです!」 彼の投げ技を見て、やや興奮状態の横井《よこい》さん。確かにさっきの御堂は、とてもカッコ良かったけれど……「お前の紗綾、じゃない。今、長松《ながまつ》 紗綾は俺の婚約者だ。次に彼女に手を出そうとすれば、こんなのでは済まされないと思え」「……くそっ! 誰がそんな女の相手なんかしてやるもんか!」 彬斗君はそう怒鳴ってから、そのまま部屋から出て行ってしまった。やっと終わったと思い、へなへなと腰が抜けるようにその場に座り込んだ。「大丈夫ですか、主任。それにしてもお約束な感じの捨て台詞はいていきましたね、伊藤さんって小物感が凄いなあ」 そう笑いながら私を椅子に座らせてくれる横井さん。私が上司のはずなのに、迷惑ばかりかけて本当に情けない。「それにしても、二人はどうやってここに? 私、横井《よこい》さんに嘘までついて来ていたのに……」 彬斗《りんと》君との待ち合わせ場所だって、わざわざ会社のパソコンから送っていた。彬斗君が御堂《みどう》や彼女に話すとは思えないし……「すみません! 私、主任が席を立った時に主任のパソコンのメールボックスをチェックしていたんです。きっと主任、一人で何とかしようとするんじゃないかって思って」「横井さんが? そんな事をして彬斗君
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-23
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受け入れるから 6

「さて、と……伊藤《いとう》さんも退治できましたし、お邪魔虫はそろそろ飲みにでも行くことにします! 主任の心のケアは、御堂《みどう》さんにお任せしますからね」 横井《よこい》さんは明るい声でそう言うと、御堂の肩を叩いて部屋から出ていってしまった。あまりにあっさりしていて、逆に驚いてしまう。「御堂、その……」 まずは謝らなければいけない。御堂にも横井さんにも迷惑をかけてしまったのだから。そう思ったのに……「この話の続きは俺の部屋で聞く。紗綾《さや》もそれでいいだろう?」 御堂の言葉に頷き、彼の車でマンションへと向かう。マンションまで向かう車の中、何も話すことが出来なくて御堂の横顔をそっと見つめていた。「ホットミルクを用意してくる、紗綾はソファーに座って待っていろ」 御堂の分かりにくい優しさが、震える胸を暖かくする。こうして私が弱っている時は、いつも温かい飲み物を用意してくれる。 今までも、今回だって私の問題に彼を巻き込んでしまっている。もしこれからもそうなのだとしたら……?「私は、このまま御堂の恋人でいていいのかしら……?」「紗綾、それはどういう意味だ? 今回の事で罪悪感を感じてそう言っているのなら、いくら俺でも怒るぞ?」 ぽつりと呟いた言葉を御堂に聞かれていたようで、きつく睨まれた。彼の瞳には迷いは見えない、私と歩いてく未来だけを見てくれている。「これから先どんなことがあっても、紗綾が俺から離れることは許さない。お前だけは……決して逃がさない」 私の前まで来ると、飲み物を置いてじっと私の事を見つめている。御堂《みどう》は淋斗《りんと》君のように、簡単に嘘をついたりしない。きっとこの言葉も、本心で言ってくれているはず。 だったら私も――「御堂が好き……私も貴方から離れたくない。だから、私の事をずっと捕まえていて?」 今の自分の素直な気持ちを伝えたくて、伝えるだけじゃ足りなくて御堂の身体におずおずと身体を寄せてみた。奥手な私からはこれが精一杯だったのだけど……「紗綾《さや》。キスを、してもいいか?」 御堂に言われて私はそっと目を閉じる。するとすぐに柔らかな御堂の唇が触れた。 再会したころは許可してないのに無理矢理キスをしていた御堂、なのに今は確認してくるなんてね。 軽いキスを何度か繰り返すと、御堂の唇が離れていこうとする。まだ、
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-23
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同棲しないか? 1

「紗綾《さや》、俺と同棲しないか?」 それは御堂《みどう》の部屋に泊めてもらった次の日の朝、彼が淹れてくれたコーヒーのカップを受け取っている時に言われた言葉だった。「はい? ごめんなさい、御堂……もう一度言ってもらえるかしら?」 私は自分が何かを聞き間違えたのだと思い、御堂にそう聞き直したのだけど。 ……だってそうでしょ? 付き合ったばかりで同棲の話が出るなんて、思いもしないもの。 だけど、彼はそうではなかったようで。「だから、俺と同棲しないかと言っている」 真っ直ぐに私を見てそう繰り返す彼には、少しも迷いは無さそうで。本当に私の聞き間違いじゃないのね?「えっと、御堂が誘ってくれるのは嬉しいわ。でも、急になぜ……?」 私達はまだ付き合ったばかり、お互いに結婚を急いでいる訳でもなくて。どうしてこのタイミングで同棲する必要があるのかが分からない。「俺はまだ少しだけ伊藤《いとう》 彬斗《りんと》の事が気になっている。もし何かする場合、あの男は自分よりも弱い紗綾の方を狙うはずだ。間違いなく安全だと分かるまで、俺に紗綾を守らせてほしい」「御堂、それじゃあ貴方に負担が……」 御堂の気持ちはとても嬉しかった。でもこれ以上、私の事でこの人に迷惑をかけたくなくて……「俺の事は良いんだ。どうしても同棲が嫌ならば、この事が解決するまでの間だけでも俺の部屋に来てくれないか?」「御堂……」 結局……少しの間だけ悩んだけれど、これからの事も考えて私は御堂と一緒に暮らすことを選んだのだった。 良く晴れた週末。私はこれからの生活に必要な分の荷物を纏めて、約束通り御堂《みどう》のマンションへと引っ越した。家電・家具の類はすでに揃っているし、私の荷物もそんなに多い方では無かったので二人でもすぐに終わってしまう。「紗綾《さや》の家電は、言われた通り頼まれた場所に届けておいたぞ」「ありがとう、もう私は使わないし使ってくれる人がいて良かったわ。あ、御堂……ここに埃がついているわよ」 私は手を伸ばして、御堂の肩についていた埃を摘まんでゴミ箱に捨てる。私からも、少しずつ彼に触れることが多くなったと思う。 ……私は御堂にもっと触れたいし、彼に触れられたい。これって私だけなのだろうか? そろそろ自分達も次のステップに進んでもいいのではないかと思うのだけど、まだ御堂がどう考
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-24
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同棲しないか? 2

 御堂《みどう》は頑なに私と一緒に眠ろうとしてくれない。私は今夜、彼と同じベッドで眠りたいのに。 ここにいる私の事を拒絶されているような気がして、それがとても悲しかった。 せっかく恋人として一緒に暮らし始めたのに……どうして今の方が御堂との間に距離を感じるの? こんな日に私を一人ぼっちで眠らせないでよ。「どうしても、ダメなの……?」 子供みたいに甘えているって事は分かってる。こんな我が儘を言えば、余計にこの人を困らせてしまうってことも。だけど……「紗綾《さや》、俺は……な」 何かを言いかける御堂、でもその続きは聞きたくなくて……彼の言葉の続きを待たずに、自分の気持ちだけ伝えてしまう。「今夜は二人一緒が良い、御堂と一緒に眠りたいのよ」 私の言葉で困ったような彼の顔を見て、酷く泣きたい気持ちになった。もしかして御堂は、私のような手のかかる女に嫌気がさしてしまったのかもしれない。「あ、ごめんなさい。私、つい……」 我が儘が過ぎたと謝ろうとすると、御堂が私の言葉を止めた。「違う、紗綾は悪くないから謝らなくていい」 私は悪くないの? でもさっきから御堂はずっと困ったような顔をしてるじゃない。「じゃあ、どうして……? どうして貴方は私と距離を取ろうとするの?」 御堂は綺麗に固められた髪をクシャリと手で掻き回して、大きく息を吐いた。「いいか、紗綾。今夜、お前と一緒のベッドで眠ったら俺は我慢出来る自信がない」 まさか御堂《みどう》がそんな風に考えていたなんて。 彼が私をとても大切にしてくれているのは分かっているつもりだった。けれどそれ以上に、彼は私の事を触れてはいけない宝物かなにかと思っているようで……「しなくてもいいのよ、我慢なんて。私だって貴方に触れて欲しいもの」 ねえ、好きなら相手に触れたくなる。これは男性でも女性でもみんな同じことでしょう? 私だって……そうなのよ?「紗綾《さや》、だが俺はお前を壊してしまうかもしれない。自分が抑えられず、紗綾に嫌な思いをさせてしまっては意味がない」 御堂は困ったように言うけれど、それってそんなに深く私の事を愛してくれているって事なんでしょう? そんなことで御堂が苦しむ必要はないのよ……私は貴方の恋人なんだもの、ちゃんと受け止めてみせるわ。「いいの、壊しても。御堂にされることで嫌な事なんて、私に
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-24
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同棲しないか? 3

 御堂《みどう》に優しくベッドの上へと降ろされたので、ゆっくりとシーツに足をのばす。自分から言い出したこととはいえ、この状況で胸はドキドキとうるさく鳴っていて。「紗綾《さや》、本当に無理をしていないか?」 本当にどこまでも心配性な人なのね、無理だと思うのなら自分から触れて欲しいなんて言わないのに。「御堂、私ね……もう貴方から貰う優しさだけじゃ満足出来なくなっちゃったの。もっともっと愛されたい、私って貴方が思っているのよりも貪欲な女なのよ?」 御堂に触れて欲しい、私も貴方に触れたい……その手や唇で、そう貴方の全てで私を愛して欲しいって。「俺だってそうだ。ずっと紗綾が欲しくて堪らなかった……!」 御堂の言葉に胸が震える。彼にこんなにも必要とされ、求められていたなんて。それは彬斗《りんと》君と一緒の時には、一度も感じる事の出来なかった大きな喜びで。 ――今すぐに、身も心も御堂で満たされたい! 心からそう思った。御堂が私を欲しがってくれるように、私も彼が欲しい。触れて触れられて、そうして二人で溶け合って……「御堂、愛してる。私だけの御堂になって……?」 「紗綾……俺も愛してる。優しく出来なかったら、本当にすまない」 御堂の冷たい指先がゆっくりと私の身体へ触れていく。優しく出来ないなんて嘘、触れてくる貴方の指先はこんなにも優しさで満ちているんだもの。  唇に触れる御堂《みどう》の指先は相変わらず冷たいけれど、彼の中に存在する熱はきっとそうじゃない…… 見つめ合って、唇が重なり合う。一度目のキスはいつも優しさで満ちているのが、凄く彼らしいと思う。  優しいだけでは物足りなくて、今日は私からも積極的に唇を重ねていた。  何度も触れて、やっと私の中へと進んできてくれた御堂を受け入れこちらからも舌を絡ませる。丁寧に歯列をなぞり、口内を攻めていく御堂のシャツを掴みながら私も出来る限り彼に応える。「はぁっ、は……御堂……」 まだまだ全然足りてない。もっともっと貴方を感じさせて? 私は御堂のシャツのボタンをゆっくりと外していく。「紗綾《さや》……」 抑えるのが辛いのか、切羽詰まったような声と熱っぽさを感じる瞳。御堂も私のシャツを丁寧に脱がしていく。  下着姿になった私の肌に彼の手がそっと触れる。そのまま背に手を回され胸の締め付けを外された。  ブ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-25
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同棲しないか? 4

 御堂《みどう》は両手で私の身体のラインをなぞりながら、その首筋に顔を埋めて唇で耳朶を責めてくる。  何も教えてもいないはずなのに、彼は私の敏感な場所ばかりを責めてくる。「みど……ぉ、そこ……やだ、もぅ…ダメ……っ」 彼に必死でしがみついて耐えるけれど、御堂は構わず私を高めようとしてくる。御堂の指が、唇が私をどんどんおかしくさせていくから……「紗綾《さや》、もっと俺を感じろ。今だけでいいから。俺だけを見るんだ」 言われなくても貴方にしか感じて無いし、貴方しか見えない。今の私は全て御堂だけのものだから。  彼の手がゆっくりと私のショーツを剥ぎ取っていく。一糸纏わぬ状態でこの身体の隅々まで御堂にみつめられて……「御堂、そんなに見たら恥ずかしい……」 「こんなに綺麗な身体なんだ、見惚れて何が悪い?」 チュッ、チュッと私の鎖骨や胸元にいくつもキスマークを付けながら、彼の手がやさしく私の太腿に触れた。  そのまま足の付け根に移動する彼の手に、ギュッと目を瞑る。これ以上触れられて、はしたなく乱れてしまって御堂に嫌われないかと。「御堂、あの……あっ、やぁ……あっ、あっ……!」 そんな不安も一瞬で、すぐに彼の指に身体の感覚の全てを奪われた。  彼の指が私の身体の奥に触れ、そこから溢れた蜜を掬って敏感な尖りを弄る。ゆっくりと動かされる指、与えられる快感に私はたまらず「いやいや」と頭を振る。 「紗綾《さや》、我慢する必要なんかない。俺はお前の乱れる姿も見たいから」 「そんなっ……みど…っ……やあ、ぁああっ……!」 御堂《みどう》は私の敏感な場所だけではなく、脚を左右に開かせてもっと奥の方まで指を滑らせる。  私でさえあまり触れない場所に侵入した指が、その奥を擦り内側を掻き回していく。「あっ! ダメ……やっ、御堂っ……イっちゃう、ダメっ……!」 「紗綾、要《かなめ》だ。今は要と呼んでほしい」 貴方に与えられる快感で私は頭がおかしくなってしまいそうなのに……こんな時にそんなお強請りをするなんて、ズルイんじゃ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-25
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同棲しないか? 5

 切羽詰まった声でそんな事を言われたら、私の身体の奥がまた疼いてしまう。私だって、この人がすぐにでも欲しいのだから。「要《かなめ》……早くきて?」 甘えた声で強請ってみせると要はすぐに服を脱ぎ捨てて、私の脚を左右に大きく広げた。彼はそのまま少し強引に腰を進めてきて……「ぁあっ……あ……っ」 先程まで要の指を受け入れていたその場所は、何の抵抗もなく彼自身を私の中へと導いていく。 けれども指とは全く違う要自身の圧迫感に、私は思わずシーツを掴む。 要は奥までたどり着くと、一度止まり苦しそうに息を吐く。きっと彼はすぐにでも動きたかったはず、だけど私のために我慢してくれているのだろう。「……いいのよ、動いて?」「紗綾《さや》……今夜は手加減出来ないと思う。しっかり俺に掴まっていろ」 そう言うと要はゆっくりと腰を使い始めて、私は急いで彼の首に腕を回した。きっとこの人がそう言うという事は、本当に手加減が出来ないのだろうから。 始めは緩やかだった要の動きが、少しずつ早くなっていく。それでも彼は私が反応した場所を見つければ、しっかりとそこを攻めてくるから堪らない。もう気持ちが良くて、目の前の恋人しか見えなくなって。「あっ、ああっ……かな、めっ…もっと……奥まで、愛して……!」 要にしがみついて、理性も忘れたようにただただ彼に甘えた。もっとこの人を感じたい、もっと要に愛されたい。 ただもう、それだけで……「愛してやる、紗綾。お前もこれから先、俺だけを愛せ」 その言葉が涙が出るほど嬉しくて。分かっているでしょう? 私はもう貴方しか愛せないわよ。「うんっ、要だけ……あ、あんっ、イくっ…やああ&hell
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-25
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