Semua Bab クレイジーレズと呼ばれた少女、自分が戦闘あり乙女ゲーの大ボス悪役令嬢だと気付いたので開き直って今世で推しのサブキャラメイ: Bab 11 - Bab 20

27 Bab

第11話 モヒカン以下は辛すぎますの

「ロゼ、何をしてますの?そこをどきなさいな」 見ればわたくしの前に出たロゼの身体は少し震えていましたわ。 まさか、最強無敵完全無欠の超貴族たるこのわたくしを守ろうとでも言うんですの? 思わぬロゼからの気遣いに感動半分、わたくしの実力を低く見積もられた事に怒り半分で感情が混乱している最中、アクアルお姉様が懐から冒険者カードを取り出してモヒカン共に見せつけましたわ。「ねぇ、モヒカンさん達。それは私達がバレスチカ家の者だと知っての誘いかしら?」「Aランク!?しかもあの魔王の末裔と噂のバレスチカ家だとぉ!!?」 腰を抜かして尻餅をつくモヒカン二人。 コワモテのくせに意外と小心者ですわね。「お茶の誘いだったらあなた達を我が家に招待してもいいんだけど……どうするの?」「ひええええぇッ!す、すいませんでしたああああああぁッ!!!」 見事な土下座を決めた後に脱兎の如く逃げ出すモヒカン二人。 いえ、今はあんな小物共はどうでもいいのですわ!「ロゼ、さっきのはどういうつもりですの?」 ロゼに対しての怒りと感動は結局怒りの感情の方が勝りましたわ。 そもそも原作である『ふぉーみら』で、ロゼは牢に捕えられたわたくしを助ける為に現地に乗り込み、そして命を落としている。 今回の蛮勇を許す訳には行かないのですわ。「わたくしがあのモヒカン共に負けると思ったんですの?それともあなた、まさか自分がわたくしより強いとでも?」 ロゼの頬を撫で付けつつ、真っ正面からロゼ色の瞳に目線を合わすと……眉を下げ困ったような表情をしている彼女がいましたわ。 な、なんですの?その顔は?「はぁ。分かってないわね、リリアーゼ」 すると、アクアルお姉様が溜め息を付きながら話に割り込んできましたの。「ロゼはあなたをモヒカン達から守ろうとしたんじゃない。あなたからモヒカン達を守ろうとしたのよ」「……は?」 ロゼにとってはわたくしより見知らぬモヒカン達の身の安全の方が大事だと言いますの? 嘘ですわよね、ロゼ? ですが、その願いもむなしく本人によって否定される事になりましたの。「アクアル様の仰る通りです」 無情にも告げられる真実にガツンと頭を殴られたような感覚に陥りましたわ。 クラクラと目眩がして膝を突きそうになりますの。 ……あぁ、別にわたくしはロゼから嫌われている事に動揺し
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第12話 お姉様抱っこは全女子の憧れなのですわ

「アーゼちゃん、大丈夫?気分は悪くないですか?」「大丈夫ですの。問題ありませんわ」 ふわふわした頭でロゼに手を引かれながら岩に近い物質でできたダンジョンの道を歩いていく。 何故かロゼから心配されたものの、今のわたくしはステップでも踏みたいぐらい気分が高揚してますわ!「はぁ、これじゃどっちがお守りか分からないわね」 先頭を歩くアクアルお姉様が呆れ声で生意気にもわたくしをお荷物扱いしてきやがりましたが、ご機嫌なわたくしにはそんな挑発など通じませんの。 ダンジョン内での基本的な作戦としては、わたくしとお姉様が交互に魔物と戦い、残ってる方がロゼの警護。 ロゼのレベルが上がってきたら彼女にも限界まで弱らせた魔物を相手に戦闘経験を積ませる手筈となっていますわ。 お姉様にはせいぜい馬車馬の如く働いてもらうとしますの。 ちなみにレベルを上げるという表現をしましたけれど、ここはゲームではなく現実なので、ステータス画面を開いて自分の強さを確認するなんて手段は当然ありませんわ。 世界のルールとしては、冒険者は魔物を倒すとその魔力の一部を取り込んで強くなれると、そんな感じの認識をしていればオッケーですの。「……来たわね」 お姉様が呟くと前方に魔物の姿が現れてましたわ。 そこにいたのは右手にショボい短剣、左手にヘボい盾を構えるくっさそうな緑色の皮膚をしたゴブリンソルジャー4体、美少女冒険者を見つけたら『ぐへへ』とか言い出しそうないやらしい(主観)豚面をしたオークが1体。 いかにも雑魚そうな見た目な上に、わたくしからすれば実際くそ雑魚なのですけれど、原作では大ボス悪役令嬢たるリリアーゼが待ち構える最終ダンジョンである事もあって、他ダンジョンの物より魔物のレベルは上となってますわ。「……」 敵影を確認したお姉様は収納鞄(空間魔術が施されためっちゃ荷物が入るご都合主義の入れ物)からミスリル製の薙刀を音もなく取り出しましたわ。 にしても日本人としての記憶が戻る前は違和感を感じなかったとはいえ、中世ヨーロッパをモチーフにした世界観でもろ日本の武器が使われてるのは謎ですわね。 っと、そんな事を考えてる間に駆け出すお姉様。 原作では四天王(3人)という名の中ボスを務めていただけあって中々の速さですの。「【|凍結(フリーズ)】」 お姉様が呪文を唱えると待ち構えてい
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第13話 大胆な告白は女の子の特権ですの

 アクアルお姉様の手によってロゼをお姫様抱っこされてしまうというNTR?行為により脳が破壊され頭を抱えて悶絶するわたくし。 そんなお姉様はロゼをちょうど良い岩に座らせると、少し離れた場所(とはいえ5m程度ではありますけれど)まで歩いていき、そしてわたくしに向かって手招きしてきやがりましたわ。 フン、そっちがその気なら喧嘩ぐらいいくらでも買ってやろうじゃねぇですの!「ねぇ、リリアーゼ。取引をしない?」 わたくしを呼び寄せたお姉様から掛けられた言葉は想像とはだいぶ違う物でしたわ。「はぁ?取引……ですの?」「あなた、私にロゼが抱かれるのを見た時、そのまま憤死しそうな顔してたわよね」 おいィ?抱かれるって言い方してんじゃねーですわよ! ほんとにわたくしのロゼがNTRされたみたいに聞こえるじゃねぇですの!「おそらく今日1日、ロゼは強い魔物共の魔力を吸収した反動でまともに動けないままでしょう。私の取引に応じるなら3階のセーフティエリアに付くまでの間、彼女を支える役割を任せてもいいわ」「受けますわ」 迷わず即答しましたわ。 急激なレベルアップによる反動が持続し続けるなんて事はダンジョン探索の初日でしか起こり得ない、つまり時期限定イベントと言っても差し支えありませんの。 つまるところお姉様の取引に応じれば無防備なロゼをお姫様抱っこし放題という事訳ですわね。 そしてお姉様から取引の条件を聞いて……わたくしは愧死しかけましたわ。 ◇「申し訳ありません。あたしの事でアクアル様とお話されてたんですよね?」 取引を終えてロゼのところに向かうと、彼女はしょんぼりとした様子で詫びを入れてきましたの。 足を引っ張る以前にそもそも身動きがでとれなくなってる事を気に病んでいるのでしょうけれど、残念ながら今のわたくしに追い討ち……ではなくフォローを入れてやれるほどの余裕はないのですわ。「ねぇ、ロゼ」 意を決して言葉を紡ぎますの。「月が……綺麗ですわね」「え?」「雨が止みませんわね」「はい?」「わたくし、あなたがいなくなる一日前まで生きたいと思ってますの」「……?」 ああああああ死にてぇですの! お姉様との取引の内容は自分の前でロゼに愛の言葉を送れという言ってしまえば嘘告白、おふざけの罰ゲームのような代物でしたわ。 学生か!……そう言えば学生でし
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第14話 ご機嫌な夕食なのですわ

「はい、アーゼちゃん」「いただきますわ」 ロゼがよそってくれたホワイトシチューの入った木の器を受け取りますの。  机の上にある火で軽く炙って温めた香ばしい匂いのするやっすい黒パン、そしてやっすい原価のコーヒーも相まってご機嫌な夕食ですわ。 夕食の準備は筒がなく終わりましたわ。  野営では基本的に具材を煮込むだけでできるシチューが定番ですの。  味付けを変えれば早々飽きもこない事ですし、収納鞄に入れておけば野菜やお肉も日持ちがするのでもってこいという訳ですわね。 ちなみに料理の担当はそれぞれわたくしが野菜の皮剥き、アクアルお姉様がその野菜を切って、ロゼが煮込みと味付け。 本当はわたくしとお姉様の作業は逆だったのですけれど、力の有り余ったわたくしが気合いを入れて野菜を微塵切りにしていたらお姉様が『それじゃあシチューの具じゃなくて汁じゃない!』とか抜かしやがったせいで担当を交代させられたのですわ。  まったく、お姉様のくせに生意気ですわね! ま、過ぎた事はもういいとして早速味見ですわ。 木製のスプーンでシチューを掬い、口まで運ぶ。  するとあっという間に濃厚なクリームの味わいに味覚を支配されてしまいましたわ。 よく煮込まれたお肉(豚肉)は口の中で程よくとろけ、野菜も食べやすい柔らかさで良きですの。「んっ……悪くないですわね」「いい味付けね。私とリリアーゼじゃこうはいかないわ」「ありがとうございます。アクアル様とアーゼちゃんが手伝ってくださったおかげですよ」 むぅ……お姉様が素直にロゼを褒めたせいでわたくしが一人憎まれ口を叩いたみたいになってしまいましたわ。 ロゼが専属メイドだった時はとにかく圧をかけて辱め、依存させて支配しようとしていたわたくしですけれど、こうして彼女がバレスチカ家の養女になった以上、接し方を変えていく必要があるかもしれませんわね。  ◇  食事を終え、片付けをしたわたくしはそのままテントの外で持ち込んだ本を読んで暇を潰しつつ、見張りをしていましたわ。 セーフティエリアに魔物は現れない。  なら何に対しての見張りなのかと言えば、それは当然同業の冒険者達に対してなのですわ。 冒険者達が固まるこの場所では必然的にトラブル……盗みや殺人、性的暴行などの事件が起きやすいというのが通説ですの。  まぁ今回ここにいるの
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第15話 アーゼちゃんが悪いんです

 △△(side:ロゼ)「んん……ふぁっ!?」 身体を揺さぶられ、意識が覚醒したあたしは目の前の光景につい声を上げてしまいました。「アーゼちゃん……」 スッと鼻筋の通った顔立ちに形の良いピンク色の唇、艶やかな真っ黒な髪。  いつもの美しいながらもあたしを見下ろし口角を釣り上げる彼女とは違う、天使と言っても過言ではない愛らしい少女の寝顔があったのです。「……」 なんだか胸がドキドキしてきました。  こうして夜を共にする(睡眠)事は何度かあったのですが、昼間にダンジョン内でずっと彼女にお姫様抱っこされた状態でいた事もあってか、どうしてもいつもより意識してしまうのです。 それに……女の子の匂いとでも言うのでしょうか。  テント内の香りがあたしが寝る前とは少し変わっていて、嗅いでいると頭がクラクラしてきます。「ロゼ、起きれるかしら?」「あ……」 頭上から声をかけられました。  どうやら先程からあたしの身体を揺さぶっていたのはアクアル様だったようです。  あたしは急いで身体を起こして、彼女と向き合いました。「申し訳ありません、アクアル様。あたしだけがずっと寝てしまって」「見張りの事なら明日からあなたにも参加してもらうし別にいいわ。それよりちょっと話せる?ずっと一人だし暇なのよ」「あたしなんかで宜しければ」 収納鞄からポット型の魔道具を取り出し、二人分のコーヒーを淹れます。  今日のあたしはずっと魔物達の魔力を取り込んだ反動でぐったりしてただけで終わってしまいましたし、話し相手としての役割ぐらいはこなしたいところです。「それじゃ……まず、なんであなたってこの子の事を呼ぶ時はアーゼちゃん呼びなのかしら?私や兄さんの事は様付けなのに」 どうしましょう。  いきなり咎められてしまいました。 顔色を窺う限りアクアル様は怒っているようには見えませんが、考えてみれば実の妹が最近養女に迎えられたばかりの元メイド如きにちゃん付けで呼ばれるのは不快ですよね。「えっと、アーゼちゃ……リリアーゼさ––––」 「アーゼちゃんでいいわ。なんだったら私の事もアクアルちゃん呼びでいいのよ?」「いえ、流石にそれは畏れ多いので」 あとアクアル様をちゃん付けで呼んだりしたら、アーゼちゃんが露骨に不機嫌になる……というかキレだす気がします。「……アーゼちゃ
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第16話 これで終わりなの?

 今回エッッッな表現がいつもよりきついので苦手な方はご注意ください。  ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 悪魔《アクアル様》の囁きに屈して覚悟を決めたあたしはアーゼちゃんの頭がある位置まで来て腰を下ろし、彼女を見下ろします。 うわ……睫毛長い。  肌も真っ白で透明感があって、本当にお人形さんみたいです。  本当にこの子はお顔が良すぎます。 手を伸ばし、彼女の頭に触れて撫でてみました。  枝毛の一つもないさらさらの長い黒髪は触れているだけでなんだかいけない事をしている気分になってきます。 いえ、実際これからいけない事をしようとしているのですが。 あたしは正直、アーゼちゃんは口を開かずにさえいれば顔面だけで世界を支配できると思っています。  あたしが元居た場所で一番綺麗だった人、公爵令嬢であるあの子よりもずっと美人です。  傾国の美女レベルです。 そんなアーゼちゃんに対して、寝ている間に唇を奪われ(アクアル様推察)、彼女の自◯行為に利用された(ほぼ確定)という前提があるにしても、これからあたしがしようとしている行為とは価値が全然釣り合ってない気がしてきました。  鮫トレードならぬ鮫キスです(意味不明)。 ……でもこんな機会でもないとアーゼちゃんとキスできる機会なんて一生ないですし。 と、ここまで考えてようやく自分が仕返しとか関係なく、アーゼちゃんとキスをしたいと思ってた事に気付きました。 もしあたしがこれからやろうとしている事がバレたら、アーゼちゃんはあたしをどうするのでしょうか? これが実姉であるアクアル様だったら身体を蹂躙されるだけで済まされると思いますが、あたしの場合は普通に殺されるような気がします。  何故なら彼女にとって、あたしはお気に入りの玩具みたいな物ですし、その玩具が自分に危害を加えたというなら生かしておく意味もなさそうだからです。 でもそれも仕方ないかなと納得しました。  あたしの命一つでアーゼちゃんの唇を頂けるのなら安い物です。 身を屈めます。  アーゼちゃんのぷっくらとした形の良い唇が近づいて……そのままあたしの唇と重なりました。 あ……やわらかい。  あたし、今アーゼちゃんとキスしてるんだ……。 唇から伝わってくる熱と感触、その奥から漏れてくる吐息を逃さな
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第17話 女主人公が負けると敵に◯されちゃう乙女ゲームって何ですの?

 △△(side:リリアーゼ)「はぁっ!」 気合いの入った掛け声と共に赤い表皮をした豚面の魔物、レッドオークの喉笛をロゼの装備したミスリル製の二刀短剣が引き裂きましたわ。  すると、きったない血反吐を撒き散らしたレッドオークはドロップ品である魔石を残して塵へと掻き消えていきましたの。 相手が消滅したのを確認したロゼは一呼吸してから構えを解きましたわ。  これで戦闘終了ですの。「ロゼ、怪我はありませんこと?」 戦闘を終えたロゼに声を掛けましたわ。 ダンジョンに入って今日は二日目。  昨日で大量の魔力を身体に取り入れ、基礎能力があがったロゼですけれど、本人の希望もあって早速実戦での訓練をさせてますの。「はい!ありがとうございます、アーゼちゃん、アクアル様。お二人のおかげで安心して戦えます!」 とは言っても今のように1対1の状況にでもならなければ流石に任せられませんわ。  なので魔物が複数出てきた場合はわたくしとお姉様で間引いてやってるわけですわね。「ふん、あなたは鈍臭いのだからこのぐらいは接待してやらねーと見てられないのですわ」「そう?昨日の今日にしてはいい動きしてると思うけど?さっきの豚の喉を掻っ捌いた時の思い切りも良かったし、敵に容赦がないのは好印象だわ」 ちょっと、わたくしが憎まれ口叩いた直後に素直に褒めてるんじゃねーですわよ、お姉様! なんですの?  もしかしてほんとにロゼを狙ってるんですの!?「あたしはその……早くアーゼちゃんの力になれるよう頑張りたいですから」 そう言ってロゼは照れたように頬をかきつつ、わたくしに媚びを売ってきましたわ。 かーっ、なんて卑しい女ですの!  わたくしはそういうの大好物ですからこれからは毎秒やりなさいな!「なんだか暑くなってきたわ。……それにしても対内魔法だったかしら。公爵家も大きな魚を逃したものね」 パタパタと手で首元を扇ぎつつ、お姉様がロゼの常時使用している魔法、対内魔法について言及しましたわ。 対内魔法。  それは魔力を使って世界に干渉し、炎やら水やらを生み出す対外魔法の対となる魔法であり、その実態は身体の中で魔力を循環させ、その機能を飛躍的に上昇させる、そんな技術ですの。  簡単に言えば自己強化の魔法ですわ。 対内魔法は魔力がある者は皆、無意識のうちにそれを使っている
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第18話 必殺技とは必ず◯してこそなのですわ!

 扉を開けてすぐさまわたくし、お姉様、ロゼの順でボス部屋に身を滑り込ませましたわ。  そこで待ち構えていたのは赤と橙が入り交ざったヘドロのような溶岩を全身に張りめぐらせた3m超えの巨人。【溶岩魔人(ラヴァル・ゴーレム)】。 灼熱の炎を撒き散らすブレスに加えて己の質量と纏った熱量を叩きつける強烈な打撃。  近距離及び遠距離共に隙がない、この第4階層を守護するボスの名に相応しい強敵ですわ。  まぁ、原作ゲームでは中ボスであるアクアルお姉様とグレンお兄様コンビの前座として戦う小ボス扱いなのですけれど。  とはいえ単体で出てきてボスをやってる以上、二人でボス扱いのお姉様単独よりは強いと見るべきですの。「ボオオオオオオオォッ!」 部屋に入ったわたくし達を認識した溶岩魔人(ラヴァル・ゴーレム)は大きく息を吸い込むといきなりそのくっそでかい口から灼熱のブレスを吐き出してきやがりましたわ。 少しはボス戦前の余韻とか、そういう物はないんですの?  風情がありませんわね!「【黒風(クロカゼ)】」 対するわたくしが唱えたのは目の前に竜巻を発生させる魔法。  闇の魔力を帯びた黒色の風が巨大な渦となって前方10m程の距離に現れ、迫り来る炎を受け止め散らしましたわ。 竜巻の後ろ側にいたわたくし達3人は当然無事ですけれど、その範囲外は凄まじい熱量によって地面が黒く変色してやがりましたの。 わたくしがあまりにも強靭無敵すぎて感覚が麻痺しがちになりますけれど、普通に洒落にならない威力ですわね。  たぶんグレンお兄様がそれなりに力を込めて放つ炎属性(闇混じり)の魔法ぐらいはありますの。 3階で野営している冒険者達が4階には近寄ろうとしない訳ですわ。「【激流打破(ハイドロカノン)】!」「ギュオオオオオオォッ!?」 ブレスによる攻撃が止んだのを見計らってお姉様が強烈な紫色の水流をぶっ放す魔法を溶岩魔人にぶち込みましたわ。  この攻撃は相当効いたようで溶岩魔人は奇声を上げながら水蒸気を放出し、急激に冷やされた事で溶岩でできた身体が固まって苦しんでやがりますの。 ちなみに原作ゲームだと水と炎は対立属性となっており、対立属性に攻撃をする場合、ダメージが2倍となるシステムでしたわね。  なので水属性(闇混じり)のお姉様をメインアタッカーにする案もなしではないのですけ
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第19話 生き別れの家族は大体生きてるのがお約束よね

 △△(side:アクアル)「暇だわ」 パタン、と読んでいた娯楽小説を閉じ、野外用の椅子に腰掛けながら冷めてしまったコーヒーを啜る。 ダンジョンに入ってから5日目。 現在私達は第8階層のセーフティエリアにいるわ。 ロゼのレベル上げの為に来たダンジョン探索も私が春休みの間手伝うという約束の関係上、明日が最終日となる。 あと数時間経ったらテントの中で休んでいるリリアーゼとロゼを起こし、レベル上げの成果として9階層のボスを倒したら帰還する手筈となっているのだけれど。「やっぱり天才……ってやつなのかしらね」 音を立てないようにしてテントの中を覗き込む。 そこに居るのはつい先程まで一生懸命自◯に勤しんでいた私の実妹、リリアーゼ・バレスチカ。 彼女は今、先生……じゃなくて最近増えた義理の妹、ロゼ・バレスチカの腕に縋り付いて、まるで天使のような笑顔を浮かべて寝入っていた。 見た目だけは完全完璧な深層の令嬢にしか見えないこの少女があんな奇天烈な作戦を考案したという事実にどうにも現実感が追いついてこない。 だけどそれ同時にアレを思い付くのもまた、普段から常識外れの奇人染みた言動を繰り返すこの子しかあり得ないだろうとも思う。 三日目から実行されたリリアーゼの立てた作戦は常軌を逸した物だったわ。 彼女は第4階層のボスである溶岩魔人を倒した後、あろうことかその場にテントを立て、野外用の机と椅子を設置してくつろぎ始めたの。 正直どうかしてる。 普通、ボスというのは挑む前に入念な準備をして、倒す事ができたらドロップ品を回収してすぐに帰還するか、それともその先に進むかの2択となっているわ。 にも関わらず、この子は溶岩魔人が復活するまでその場で待ち続け、復活した直後にまた倒すというサイクルを完成させた。 させてしまった。 その結果が30分置きに復活し、即座に倒される溶岩魔人と残された大量のドロップ品の山だったわ。 本来高難度ダンジョンのボスはAランク冒険者が複数名で挑んでも命懸けになる強敵で、当然そのドロップ品は高額で取引されている。 今は全て収納鞄に収めてはあるけれど、これを全て売ればバレスチカ子爵領(王都へと続く道中にある中程度の規模の宿場町)の税収数年分ぐらいにはなるんじゃないかしら? 3人で等分するにしても、一介の学生である私が持つにはあまりに
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第20話 光属性なのに闇堕ちってどうなのかしら?

「あれれ〜?ひょっとしてあたしの事、忘れちゃってたりする?」「レイライト……よね?」 目の前でケラケラと笑う、真紅の瞳以外は白一色の少女に対して私はなんとか喉から答えを絞り出した。  この子との再会は実に14年ぶりで、彼女が聖女として活動しているところを遠目で見た事がなければ、妹だと気付けなかったかもしれないわね。「あぁ、よかった〜。レイだけが盛り上がってるんじゃないかと思ってちょっと恥ずかしかったんだぁ」 目の前の少女が喋り続けている間に私はさりげなくリリアーゼとロゼが寝ているテントを背後にするようにして位置取る。  声を上げて二人を起こす事も考えたけど、この子が何を目的に接触してきたかは分からないし、なるべく刺激はしたくない。「むしろあなたが私の事を認識してる事の方が驚きなんだけど。情報だけ知ってたにしても、よく今の私の容姿を見て判断できたわね?」 そう、本来なら知ってる方がおかしいのよ。  だって彼女と私が顔を合わせた時、私はまだ2歳で彼女に至っては生まれたばかりだったのだから。  レイライト・バレスチカ。  私の不肖の妹であるリリアーゼと一緒に生まれてきた双子の片割れ。 私達のようなバレスチカ家特有の黒髪黒目ではなく、リリアーゼを反転させたような見た目のこの少女は光属性魔法への強い適性があり、生まれて早々国教であるミ・ラクル教の聖女として認定され、王都の神殿に引き取られていった。 そこで歴代最高の聖女として讃えられるまでに才能を開花させたレイライトは多くの人々を救済し、そんな彼女の存在は関わりが全くないとはいえ、同じバレスチカ家の人間である私にとっても大きな誇りだったわ。 だけど、その栄光も長くは続かなかった。  そのキッカケとなったのがあの事件。 今から1年ほど前、ミ・ラクル教の枢機卿が何者かに殺害され、それと同時にレイライトも行方を眩ませてしまう出来事があったの。 その後、グラント父さんがこの件で調査を始めて、のちにミ・ラクル教の上層部の人間を物理的に一掃(暗殺)した事から彼女の身に何か良くない事が起きたという推測はあったのだけれど……。「んふふ〜、お姉ちゃんは分からなくてもレイは神殿を離れてからずっと、お姉ちゃんやお兄ちゃん、それにあの子の事も見てきたよぉ?ほら、こんな風に!」「!?」 レイライトがパチンと指を
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