「ロゼ、何をしてますの?そこをどきなさいな」 見ればわたくしの前に出たロゼの身体は少し震えていましたわ。 まさか、最強無敵完全無欠の超貴族たるこのわたくしを守ろうとでも言うんですの? 思わぬロゼからの気遣いに感動半分、わたくしの実力を低く見積もられた事に怒り半分で感情が混乱している最中、アクアルお姉様が懐から冒険者カードを取り出してモヒカン共に見せつけましたわ。「ねぇ、モヒカンさん達。それは私達がバレスチカ家の者だと知っての誘いかしら?」「Aランク!?しかもあの魔王の末裔と噂のバレスチカ家だとぉ!!?」 腰を抜かして尻餅をつくモヒカン二人。 コワモテのくせに意外と小心者ですわね。「お茶の誘いだったらあなた達を我が家に招待してもいいんだけど……どうするの?」「ひええええぇッ!す、すいませんでしたああああああぁッ!!!」 見事な土下座を決めた後に脱兎の如く逃げ出すモヒカン二人。 いえ、今はあんな小物共はどうでもいいのですわ!「ロゼ、さっきのはどういうつもりですの?」 ロゼに対しての怒りと感動は結局怒りの感情の方が勝りましたわ。 そもそも原作である『ふぉーみら』で、ロゼは牢に捕えられたわたくしを助ける為に現地に乗り込み、そして命を落としている。 今回の蛮勇を許す訳には行かないのですわ。「わたくしがあのモヒカン共に負けると思ったんですの?それともあなた、まさか自分がわたくしより強いとでも?」 ロゼの頬を撫で付けつつ、真っ正面からロゼ色の瞳に目線を合わすと……眉を下げ困ったような表情をしている彼女がいましたわ。 な、なんですの?その顔は?「はぁ。分かってないわね、リリアーゼ」 すると、アクアルお姉様が溜め息を付きながら話に割り込んできましたの。「ロゼはあなたをモヒカン達から守ろうとしたんじゃない。あなたからモヒカン達を守ろうとしたのよ」「……は?」 ロゼにとってはわたくしより見知らぬモヒカン達の身の安全の方が大事だと言いますの? 嘘ですわよね、ロゼ? ですが、その願いもむなしく本人によって否定される事になりましたの。「アクアル様の仰る通りです」 無情にも告げられる真実にガツンと頭を殴られたような感覚に陥りましたわ。 クラクラと目眩がして膝を突きそうになりますの。 ……あぁ、別にわたくしはロゼから嫌われている事に動揺し
Terakhir Diperbarui : 2025-07-18 Baca selengkapnya