クレイジーレズと呼ばれた少女、自分が戦闘あり乙女ゲーの大ボス悪役令嬢だと気付いたので開き直って今世で推しのサブキャラメイ

クレイジーレズと呼ばれた少女、自分が戦闘あり乙女ゲーの大ボス悪役令嬢だと気付いたので開き直って今世で推しのサブキャラメイ

last updateDernière mise à jour : 2025-08-10
Par:  エスツーEn cours
Langue: Japanese
goodnovel16goodnovel
Notes insuffisantes
31Chapitres
800Vues
Lire
Ajouter dans ma bibliothèque

Share:  

Report
Overview
Catalog
Scanner le code pour lire sur l'application

バレスチカ子爵家令嬢たるわたくし、リリアーゼ・バレスチカは食事中に椅子から転げ落ちたショックで日本人であった前世の記憶を思い出しましたわ。 それと同時にここが乙女ゲーム、『ふぉーちゅん☆みらくるっ!』を元にした世界である事も、そしてわたくしが最終的にはどのルートでも非業の死を遂げる大ボス悪役令嬢であった事も。 まぁそれはそれとして、このままわたくしが元の感性から変わらずに過ごしていたらわたくしも、そしてわたくしのお気に入りである専属メイドのロゼも非業の死を遂げる事は避けられませんわね。 そんなふざけた未来をぶち壊すのは当然として、まずはロゼ、原作ではヤれなかったあなたから抱く事に致しますわ!

Voir plus

Chapitre 1

第1話 これが異世界転生ってやつですのね?

「きゃんっ!」

 最初に感じたのは食堂に······椅子から転げ落ちた事による一瞬の浮遊感と地べたへ叩きつけられた事によるお尻への鈍い痛み。

「ぐ……ああああああああああぁ!!」

 そして突如流れ込んでくる過去、別の場所で生きていた頃の記録に加えて特に鮮明に想起された、ある一つの遊戯。

 乙女ゲーム『ふぉーちゅん☆みらくるっ!』、悪役令嬢、クレイジーレズ。

 それは前世……わたくしが地球の日本という国でプレイしていた物の中で最も印象に残った乙女ゲームの記憶でしたわ。

 そして明晰な頭脳を持つわたくしは瞬時に今日まで生きてきたこの世界が『ふぉーちゅん☆みらくるっ!』を下にした物であり、自身がユーザーからクレイジーレズと呼ばれていた大ボス悪役令嬢、リリアーゼ・バレスチカである事を爆速で理解しましたの。

 まぁそんな事はさて置き、まだ心の準備もできていないというのに唐突に脳に雑多な情報を詰め込まれたせいで頭がくっそいてぇですわ!

「大丈夫かい、リリアーゼ?主に頭とか」

 頭を押さえてのたうち回るわたくしを心配そうな顔をして見つめながらくっそ失礼な事をのたまったこの黒髪黒目で赤のタキシードを着た青年はグレン・バレスチカ。

 バレスチカ子爵家の当主代理で歳は19歳。

 才色兼備なわたくしのお兄様なだけあってそれなりにイケメンですわ。

「まったく、食事中に騒騒しいわね。そんなのを椅子にしてるから無様にすっ転ぶのよ」

 呆れた顔をしつつ吐き捨てた同じく、ウェーブのかかった長い黒髪に黒目、蒼を基調としたドレスを身に纏う女性はアクアル・バレスチカ。

 バレスチカ子爵家長女で年齢は16歳。

 容姿端麗なわたくしのお姉様なだけあってそれなりの美少女ですわ。

 さて、一応描写はしましたが別にお姉様やお兄様の容姿なんてどうでもいい事ですの。

 元々知っている事ですし。

 前世の記憶が戻ったと言ってもわたくしの人格が別人の物と入れ替わったとかそういう訳ではありませんものね。

 そんな事よりわたくしにはまずやるべき事があるのですわ。

 アクアルお姉様が『そんなの』呼びした··に目を向けますの。

 するとそこにはややオレンジがかった濃いピンク、ロゼ色の髪をした丈の短いスカートのメイド服を着た少女が土下座の体勢で震えていましたわ。

 ちなみにこの少女はわたくしと同じ14歳。

 日本人だった頃の記憶が戻った事によって凡人の一般的な感性を少し理解できたわたくしですが、自分と同い年の少女を椅子代わりにするとかわたくしって結構やべー奴ですわね。

「申し訳……ございません。アーゼちゃん」

「最近の椅子はおしゃべりできるようになったんですのね。技術の進歩もここまで来れば大した物ですわ」

 わたくしの発言を受けて少女は床に伏せたままビクンと震えましたわ。

 それを見たわたくしは背筋がゾクゾクと震えるのを感じますの。

 あぁ……やはり自分が『お気に入り』の人生を握り、弄ぶ時の感覚、幸福感は格別ですわね。

 前世の記憶が蘇った事でわたくしの人格が消えたりしなくて本当に良かったですわ。

「お立ちなさいな、ロゼ」

 土下座していた少女がのろのろと立ち上がり顔をあげますの。

 わたくしがロゼと呼んだ少女はその名に恥じぬ、肩までで切り揃えた宝石のように綺麗なロゼ色の髪とパッチリと開いた同色の瞳をしており、これから叱責される事を恐れているのか眉が少し下がっているものの、美少女と言って差し支えない容姿をしていますわ。

 胸はやや小振りですが、そこがまた愛おしい。

 これからの成長が楽しみですの。

 着ているメイド服は先程までわたくしが彼女を椅子代わりにしていた事もあって、膝の辺りの白い生地が少し汚れていますわね。

 描写が多い?

 だってわたくしのお気に入りですもの。

 当たり前の事ですわ。

 贔屓目なしに彼女の容姿を客観的に評価するとしたらまぁ、アクアルお姉様より僅かに劣るぐらいでしょう。

 お気に入り補正が入っている事は否定しませんわ。

「もう椅子になるのは結構ですわ。明日からはちゃんとした丈夫な物を使いますもの」

 わたくしの言葉を受けてロゼの顔色がサッと青くなりましたわ。

 グレンお兄様はまーた始まったとでも言いたげな表情をしてやがりますの。

 一方、アクアルお姉様は興味のないフリをしながらも頬を赤らめてチラチラとこちらを覗っていましたわ。

 前にわたくしに······時の事を思い出しているのかもしれませんわね。

「あなたには別の役割を与える事にしますわ。付いてきなさいな」

 戸惑うロゼの手を握り、食堂から退室しますわ。

 掌から伝わるのは温かい体温と手汗で少ししっとりとした柔らかい感触。

 手汗を一滴一滴ペロペロしたいですわね。

 そして嫌がる彼女の顔を一日中眺めていたい。

 あぁ、でも床についた手を舐めるのは流石に不衛生ですわ。

 ……って、このままじゃ話が進みませんの。

 雑念を振り払い、思考を切り替える事にしましょう。

 前世の記憶、もとい乙女ゲームの内容を思い出した事でわたくしは将来、自身とロゼ、あとついでにお兄様やらお姉様やらの家族が死の運命を辿る事を知りましたわ。

 そんなふざけた未来は当然ぶち壊すのは確定として、わたくしにはやるべき事がありますの。

 それは今まで貴族であるというプライドが邪魔をして出来なかった事。

 ……そう、ロゼに関する事なのですわ!

 原作で悪役令嬢の役割を担う、わたくしことリリアーゼ・バレスチカの悪行はバッドエンド、通称クレイジーレズルートにて主人公であるシャルロットを監禁し、◯ませるという、それはもう行き着くところまで行ってましたの。

 ですけれど、お気に入りであるロゼに対しては◯ませるどころか、◯す事も、それどころかキスの一つすらしている描写がなかったのですわ!

 なんという屈辱!

 なんという失態!!

 今すぐにでも遅れを取り戻さねば!!!

 

 という訳でロゼ、これからは毎日お気に入りであるあなたを徹底的に蹂躙して、このわたくしの中に沸る情欲を発散する事に致しますわ!

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 主人公、リリアーゼ・バレスチカのイメージ(AIイラスト)及び設定を載せてあります。

https://x.com/niiesu/status/1946041702441177111

https://www.goodnovel.com/book/キャラクター設定紹介用_31001079614/リリアーゼ・バレスチカ_13498004

Déplier
Chapitre suivant
Télécharger

Latest chapter

Plus de chapitres
Pas de commentaire
31
第1話 これが異世界転生ってやつですのね?
「きゃんっ!」 最初に感じたのは食堂に先程設置した椅子から転げ落ちた事による一瞬の浮遊感と地べたへ叩きつけられた事によるお尻への鈍い痛み。「ぐ……ああああああああああぁ!!」 そして突如流れ込んでくる過去、別の場所で生きていた頃の記録に加えて特に鮮明に想起された、ある一つの遊戯。 乙女ゲーム『ふぉーちゅん☆みらくるっ!』、悪役令嬢、クレイジーレズ。 それは前世……わたくしが地球の日本という国でプレイしていた物の中で最も印象に残った乙女ゲームの記憶でしたわ。 そして明晰な頭脳を持つわたくしは瞬時に今日まで生きてきたこの世界が『ふぉーちゅん☆みらくるっ!』を下にした物であり、自身がユーザーからクレイジーレズと呼ばれていた大ボス悪役令嬢、リリアーゼ・バレスチカである事を爆速で理解しましたの。 まぁそんな事はさて置き、まだ心の準備もできていないというのに唐突に脳に雑多な情報を詰め込まれたせいで頭がくっそいてぇですわ!「大丈夫かい、リリアーゼ?主に頭とか」 頭を押さえてのたうち回るわたくしを心配そうな顔をして見つめながらくっそ失礼な事をのたまったこの黒髪黒目で赤のタキシードを着た青年はグレン・バレスチカ。 バレスチカ子爵家の当主代理で歳は19歳。 才色兼備なわたくしのお兄様なだけあってそれなりにイケメンですわ。「まったく、食事中に騒騒しいわね。そんなのを椅子にしてるから無様にすっ転ぶのよ」 呆れた顔をしつつ吐き捨てた同じく、ウェーブのかかった長い黒髪に黒目、蒼を基調としたドレスを身に纏う女性はアクアル・バレスチカ。 バレスチカ子爵家長女で年齢は16歳。 容姿端麗なわたくしのお姉様なだけあってそれなりの美少女ですわ。 さて、一応描写はしましたが別にお姉様やお兄様の容姿なんてどうでもいい事ですの。 元々知っている事ですし。 前世の記憶が戻ったと言ってもわたくしの人格が別人の物と入れ替わったとかそういう訳ではありませんものね。 そんな事よりわたくしにはまずやるべき事があるのですわ。 アクアルお姉様が『そんなの』呼びした椅子に目を向けますの。 するとそこにはややオレンジがかった濃いピンク、ロゼ色の髪をした丈の短いスカートのメイド服を着た少女が土下座の体勢で震えていましたわ。 ちなみにこの少女はわたくしと同じ14歳。 日本
last updateDernière mise à jour : 2025-07-18
Read More
第2話 『枕』って隠喩ですよね?
 △△(side:ロゼ) アーゼちゃん(リリアーゼ・バレスチカお嬢様の愛称)に手を引かれ、彼女の自室へと連れ込まれたあたし、ロゼはその場に直立し、自身へと下される沙汰を待ってました。 彼女の部屋にあるのはティーセットとダブルサイズのベッド、ソファー、そして勉強机と棚に収められた沢山の本(意外にもアーゼちゃんは勉強家なのです)ぐらいで、貴族にありがちな華美な装飾品等は見受けられません。 バレスチカ家は実用性のない物を嫌う家系なのです。「さて、ロゼ。このわたくしを地べたに叩きつけてくださりやがったあなたに下す罰なのだけれど」 自分から勝手に転倒したにも関わらず、滅茶苦茶な言い分で責任転嫁しながら、くるりと反転してこちらを向くアーゼちゃん。 腰まで伸ばした艶のある綺麗な黒髪、まるで吸い込まれそうな程に大きく綺麗な黒の瞳、スッと通った鼻筋に形のいい桜色の唇、そして黒を基調とした質の良いゴシックドレスに黒タイツに包まれた引き締まったおみ足。 相変わらずすっごい美人です。 あたしは正直、お顔だけならこの子の右に出る者はいないと思ってます。 恐ろしさを感じる程に端正な顔立ちをした、どこからどう見ても絶世の美少女である彼女ですが、今はその口角は吊り上がり、あたしを値踏みするような目で見つめていました。 あたしと会話する際の彼女は大抵このような表情を浮かべるのです。「『椅子』の役割も満足にこなせないあなたにはこれから『枕』になってもらう事にしますわ」「あ……」 アーゼちゃんから罰の内容を聞いて、あたしは絶望のあまり膝から崩れ落ちました。『枕』になる。 これは『客を取って男に抱かれろ』の比喩である事ぐらい、まだ成人していないあたしでも分かります。 バレスチカ子爵家はお金に困っている訳ではないのでこれは純粋にあたしの事を用済みになったから処分するという事。 元いたとある貴族家で行き場をなくし、貧民街でさまよっていたところをアーゼちゃんに拾われ、ロゼという名を与えられ彼女の専属メイドとして雇われはや3年。 椅子がわりにされたりと非常識な事をさせられる事もあったけれど、この美しい少女から愛称で呼ぶ事を許され、強い感情を向けられ構ってもらえる事にあたしは一種の満足感を感じていたのです。 でも、それも今日で終わる。 自覚すると瞳からじんわりと涙が迫り上が
last updateDernière mise à jour : 2025-07-18
Read More
第3話 悪役令嬢というにはキャラが濃すぎませんこと?
 △△(side:リリアーゼ)「ロゼ、コーヒー」「はい、アーゼちゃん」 魔石に秘められた魔力を消費する事でポット型の魔道具からお湯がカップに注がれてやっすい原価のコーヒーが完成しましたわ。  この世界、原作にあたる乙女ゲームでは中世ヨーロッパ風という世界観なのにも関わらず、魔道具を始めとする技術の発展によって地球と比べてもそう悪くない生活環境が整っていますの。 ほんと都合がいいですわね。  まぁ便利ならそれに越した事はありませんけれど。「ふぅ……」 熱すぎず、適温に保たれたコーヒーを一気に飲み干す。  するとすぐに隣に座らせたロゼ色の髪と瞳をしたメイドの少女、ロゼがお代わりを注いでくれますの。  添えられた安物のスコーンをボリボリと頬張りつつ、わたくしはロゼの顔に目を向けて昨日の夜を思い返していましたわ。 結論。  控えめにいって最も高い。  最高でしたわ。 『枕』にするという名目でわたくし達はお互い下着姿で抱き合いながらベッドを共にした訳ですが、昨夜は情欲が沸るあまり、3度も◯慰を致してしまいましたわ。  既に寝入っていたロゼの手を取って使う事も考えたのですけれど、多幸感のあまり脳が焼き切れてしまいそうな気がしたので断念した次第でありますの。 これほどまでに脳汁がドバドバ分泌されたのは、わたくしのこの長い2本の指でアクアルお姉様の純潔をぶち抜いて以来ですわね。  いえ、あの時は憎い相手を制裁した事によるざまぁ補正もあった事を加味すれば、ロゼと一緒に寝た(睡眠)事による幸福度合いの方が遥かに上だと言えますの。 これで彼女とキスしたり、その控えめな乳房を揉みしだいたり、それ以上の事をしたらどうなってしまうのでしょう?  ……いずれこの先の快楽を味わう為にもじっくり慣らしていく必要がありますわね。「さて……」 欲望を満たすのは大事な事ではあれど、それは命あっての物なのですわ。  今後の未来の為にわたくしはノートを机の上に広げます。 ここに前世でプレイした乙女ゲームの情報を書き記す事でこれからのわたくし達に訪れるであろう死亡フラグをへし折る対策を立てますの。 まずはこの世界の元となっているゲームのタイトル『ふぉーちゅん☆みらくるっ!』。  通称『ふぉーみら』。 これは聖女見習いである元平民の伯爵令嬢シャルロット
last updateDernière mise à jour : 2025-07-18
Read More
第4話 事実陳列罪で訴えますわよ!
 で、ここからどうやってリリアーゼが破滅していくかについてですけれど、簡単に説明すれば要は悪事が白日の下に晒された訳ですわね。 そのキッカケとして、先程述べた嫌がらせとは別件でとある公爵令嬢(公式人気投票6位)をぶち◯す機会があったのですけれど、この公爵令嬢は正義感が強く自らの市場価値が暴落する事も厭わずにわたくしにされた事を曝け出し、シャルロットや攻略対象達と協力してわたくしを追い落とそうとしますの。 嫁入り前に純潔を汚されたなんて事が明るみになれば社交界でも爪弾きにされるでしょうに、それでも己の正義を貫くその強さ、敵ながら天晴れですわ。  心をへし折って屈服させ、ひぃひぃ言わせてやりたくなってしまいますわね。 ま、そんなこんなで芋蔓式に悪事を暴露され、シャルロット達との激しい戦闘の後にリリアーゼは投獄された訳ですけれど、事態はここから急転直下する事になりますの。 まず事の顛末を知ったバレスチカ子爵家が一族総出でリリアーゼの救出に向かい、成功するものの、その際にリリアーゼの専属メイドであるロゼが大怪我を負って死亡。  この出来事によってリリアーゼの精神は崩壊(元々壊れてたとかは言わない約束ですわ)し、王家とシャルロットや攻略対象達を全力で殺しにかかるようになる訳ですわね。 たかが子爵家のくせに王家とやり合えるバレスチカ家強すぎではなくて?などと思うかもしれませんけれど、とりあえずバレスチカはそういう家系なのだと理解してくれればいいですわ。  というか、そうでもなければ子爵令嬢であるリリアーゼが王太子の婚約者候補などになれる筈ありませんもの。 さて、その後の過程は省略しますが最終的に王家は王太子を残して全滅し、リリアーゼとシャルロット達による最後の決戦となりますわ。 この際、戦闘前にリリアーゼが自分に仕えていたロゼに対しての想いの丈をくっそ長い長文で語るシーンがあるのですけれど、これが声優の名演もあってSNSで大バズりしてましたわね。 この演説やこれまでの行いも相まってリリアーゼはネット上で『クレイジーレズ』などという不名誉な渾名を付けられる事になりましたの。  事実陳列罪で訴えてやりたいですわ。 っと、話が少し逸れましたわね。  それでシャルロット達がリリアーゼとの最終決戦に勝利すると彼女は死亡して、そのままラスボス戦に突入、攻略対象
last updateDernière mise à jour : 2025-07-18
Read More
第5話 妹は12人までならセーフらしい
 △△(side:グレン)「ええと、つまりどういう事かな?」 突如執務室に乱入してきたバレスチカ家次女のリリアーゼ、そして彼女の専属メイドであるロゼに面食らいつつも、僕は何とか平静を保って話しかける。 だけど、いつだって我が道を突き進むこの妹には通用しない。「だーかーらー!1年後にわたくしが入学するフォーチュン学園にロゼをねじ込む為に、この子をバレスチカ家の養女にしろっつってんですの!」 うーんこの。 何をして欲しいかじゃなくて、どうしてそれをしたいのかを教えて欲しいんだよなぁ。「ロゼの事なら前に君が僕に頼んできた事もあるし、もう学園の方とは話を付けてあるよ。彼女を従者として連れていく事を許可しないとリリアーゼが癇癪を起こして学園を破壊してしまうかもしれないと言ったら向こうの方々も納得してくれた」 本来貴族しか生徒になれず、従者を連れて行く事が許可されていない王立学園に特例を認めさせる。 特殊な立ち位置にいるバレスチカ家とはいえ、この要望押し通すのは並大抵の事ではなかったし、こう言った半分脅しに近い手法を使わざるを得なかった。「わたくしは生徒としてロゼを学園に入れたいのですわ。有象無象の連中がこの子をわたくしのおまけとして軽んじるのは我慢なりませんの」「アーゼちゃん……!」 リリアーゼの言い分にいたく感銘を受けているようだけどロゼ、君騙されてるよ? そもそもリリアーゼに無理矢理学園に連れて行かれさえしなければ君が貴族の生徒達から軽んじられる事自体起こらないんだからね?「ええとね、リリアーゼ。養女にしろって簡単に言うけど犬猫を飼うのとは訳が違うんだよ?一度バレスチカ家の養女になったら後から『やっぱりやめた』とか言ってもロゼは君の専属メイドに戻ったりはできないからね?」「んなこたぁ分かってますわ」「ほんとに分かってる?彼女が君の義妹になった場合、一応義理とはいえ僕や君と対等な立場になる訳だ。そうなったらもう君が普段から彼女に対してやっている従者相手への無茶振りは出来なくなるし、あくまで妹へのお願いが限度になるんだよ?」「そうなんですの?」「そうなんですの」 ついオウム返ししてしまった。 リリアーゼは一瞬だけ顎に手を当てて考え込んだが、すぐに結論が出たらしい。「それで構いませんわ。ロゼを養女に迎え入れる手続きと、学園への
last updateDernière mise à jour : 2025-07-18
Read More
第6話 実妹との恋愛が許されるのはフィクションだけ
「お疲れのようね、グレン兄さん。お菓子持ってきたんだけど、ちょっと休憩しない?」 ウェーブのかかったバレスチカ家特有の美しい黒髪に切れ長の黒の瞳、蒼のドレスに身を包んだ少女、僕の最愛の妹であるアクアル・バレスチカがお盆にいくつかのお菓子を乗せて訪ねてきてくれた。 可愛らしい彼女の姿を見ただけで先程まで感じていた倦怠感が吹き飛ぶ。 我ながら現金な物だと思う。「ありがとう、アクアル。ちょっと気が滅入ってたところだったから助かるよ」 執務机から離れてポットからカップにお湯を注ぎ二人分の紅茶を淹れると、来客用のソファーを挟んだ机に置く。 だけど対面のソファーに座ると思っていたアクアルはそれをせず、僕の隣へと腰を下ろした。 やだ……僕の妹、あまりにも可愛すぎない? 結婚したいんだけど。「ところでさ、さっきリリアーゼが廊下をすっごいニコニコ顔でスキップしながらロゼを引き連れてるのを見たんだけど、兄さん何か知らない?」 紅茶を啜りながらアクアルから切り出された話を聞いて、珍しい事もある物だなと僕は思った。 リリアーゼが笑顔を浮かべている時は大抵彼女が好みの女の子(主にロゼ)を追い込んでいる時だからだ。「あぁ、それなんだけどね。この家に新しい妹が増える事になったんだよ」「はぁ?」 ◇「あの子ってほんとロゼの事大好きなのね」 安物のクッキーを齧りつつ、先程執務室でのリリアーゼとのやり取りを聞かせたものの、アクアルからの反応は思ってたより大人しい、というより予想の範疇だとでも言いたげな物だった。「事後承諾になって悪かったね」「いいわよ、別に。兄さんじゃあの子を止められない事は分かってるし、私もロゼの事は嫌ってる訳じゃないもの」 僕の力ではリリアーゼを止められない。 指摘された事実にチクリと胸が痛む。「それにしても学園の生徒としてねじ込む為にロゼをうちの養女にねぇ。あの子ったらロゼの事になると見境がなくなるというか……ほんとに何でもやるんだから」 そう言ったアクアルは腕を交差させて自分の肩を抱くようにして震えていた。 今から半年程前、リリアーゼの手によって自身が蹂躙された時の記憶が思い起こされてしまったのかもしれない。 背中をさすってあげようとして……止めた。 彼女の顔に浮かんでいたのは恐怖、ではなく悦楽だったからだ。 あの事件以降、
last updateDernière mise à jour : 2025-07-18
Read More
第7話 実妹百合NTRは業が深すぎる
 今回エッッッな表現がいつもよりきついので苦手な方はご注意ください。  ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 堪忍袋の尾が切れたアクアルが目を付けたのはリリアーゼではなくロゼだった。 元も子もない事を言ってしまうと当時フォーチュン学園の第1学年首席であり、Aランク冒険者の資格を持っているアクアルですらリリアーゼとケンカになったら勝てないからね。  リリアーゼのお気に入りを傷付ける事で彼女の精神にダメージを与えようとしたんだろう。 で、そんなアクアルが何をしたのかだけど、まぁ言ってしまうとかなり杜撰な……普段の聡明な彼女ならまず実行しないであろう、らしくない物だった。 彼女はバレスチカ家にいる素行の悪い下男を二人選んで、ロゼを襲うように唆した。  普段からリリアーゼに椅子代わりにされているロゼは奴隷根性が染みついてるし、性格も大人しいから迫れば簡単にヤれるとか、そんな感じだ。 アクアルがこんな確実性がない上に被害者のロゼや加害者である下男達の口封じすらままならないような事をしでかすかと言ったら疑問でしかないけれど、本人がやったと証言してる以上、やったんだろう。  それで結局どうなったのかと言えば襲われたロゼがアクアルの予測に反して普通に大声を上げた事でリリアーゼが即座に駆けつけ、事なきを得た。 もちろん自分のお気に入りが傷付けられそうになったリリアーゼが黙っている筈がない。  リリアーゼは下男達を暴力で脅して彼らを唆した相手を吐かせた後に容赦なく抹殺、すぐさまロゼを連れてアクアルの部屋へと乗り込んだ。 リリアーゼとアクアルの激しい争い(とは言ってもほぼ一方的な物だったらしいが)による物音でようやくこの異変に気付いた僕が駆け付けた時には既にアクアルはリリアーゼによって制圧されていた。 部屋に乗り込んだ僕が見た物は正気を疑うような物だった。  アクアルは後ろ手にされた状態で風の魔力で作られた枷により手首を拘束されており、着用している蒼を基調としたドレスは無惨に破られ、乳房や太腿が大きく露出させられていたのだ。 そんな光景に酷く動揺しつつも止めに入ろうと近付いた僕だったが、リリアーゼはこちらを見る事すらなく、彼女に後ろ回し蹴りを叩き込まれた僕はあえなく吹き飛び部屋の壁に激突して動けなくなってしまう。  そ
last updateDernière mise à jour : 2025-07-18
Read More
第8話 指導料は身体で払って貰いますわ!
 △△(side:リリアーゼ)「ロゼ、間違ってますわよ。そこには先程求めたこちらの値を代入なさい」「あっ、そうなんですね。申し訳ありませんアーゼちゃん」「この程度の問題を即座に対応できないようでは到底特Aクラスには入れませんことよ?もっと集中なさい」 現在、わたくしは部屋にある勉強机にロゼを座らせ、その隣で彼女に対して指導を行なっておりますわ。 まず1年後にわたくしと彼女が入学する事になるフォーチュン学園ですけれど、これは入るだけなら貴族の令息令嬢でかつ読み書きができ、家がそれなりの学費を納めてさえいれば事足りますの。 ですが原作ゲーム『ふぉーみら』の悪役令嬢であるわたくしや主人公のシャルロット、そして攻略対象が所属する事になる特Aクラスに入る為には、それ相応の学力が必要となりますわ。  これは当面の死活問題ですの。 ロゼを生徒として学園にねじ込んだところで違うクラスになってしまえばもしもの時に対応できませんし、何よりわたくしのモチベもだだ下がりになってしまいますものね。  ですので彼女にはこのわたくしが手ずから勉学の面倒を見てやっているという訳ですわ。「あの、アーゼちゃん。こうして勉強を見て頂けるのは大変有り難いのですが」 わたくしの完璧な指導を遮り、申し訳なさそうに切り出すロゼ。  なぜか頬は赤らみ、そのロゼ色の瞳にはうっすらと涙が浮かんでいますわね。「あん?何か文句でもありますの?」「その、どうしてアーゼちゃんはあたしの太腿を撫でているのでしょうか。んっ……これだと問題に集中できなくて」 ロゼは彼女の着ているエプロンドレスを捲り上げ、黒タイツ越しに露出した太腿を撫でるわたくしの行為に対してピクンと可愛らしく震えますの。  わたくしはそんな彼女の目元を指で拭うと、付着した涙を口に運びましたわ。 しょっぱいですわね。  ですが、それがいい。 あ、補足ですけれどバレスチカ家の養女になった後でもロゼの普段の服装はいつものミニスカメイド服ですわ。  貴族女子がメイド服を着るだなんて他所から見れば家族から使用人として扱き使われていると思われても仕方ない気がしますけれど、特に問題になってないあたり、やはり元となったのがゲームなだけありますわね。 わたくしとしても清楚(でもない気がしますけれど)なミニスカメイド服に身を包むロゼを視◯
last updateDernière mise à jour : 2025-07-18
Read More
第9話 姉なのにメスガキムーブかましてんじゃねーですわよ
 わたくしを出迎えたアクアルお姉様はあろう事かベッドの上にうつ伏せで寝転んだ状態で娯楽小説を読んでやがりましたわ。 この女、完全に舐めくさってやがりますわね。「お暇なお姉様の為に世界で一番美しい貴女の妹が最高級の娯楽の提案をして差し上げに来ましたわ」「悪いけど私、暇を潰すのに忙しいの。寝言は寝てから言って」 ふうぅううぅっ。 落ち着くのですわ、リリアーゼ・バレスチカ。 原作(18禁版含む)をプレイしたユーザーからはクレイジーレズなどという心ない渾名で呼ばれていたこのわたくしですけれど、劇中で行なった悪行はどれも乙女ゲーの悪役令嬢の範疇でギリギリ収まると思ってますの。 ちょっとばかし気に食わない対応をされた程度で怒りに身を任せ、百合乱暴(控えめな表現)するなんてのは淑女の行いから掛け離れた物ですわ。 わたくしは陵◯エロゲーの竿役?などではありませんことよ。 ここは冷静に、挑発に乗らずにお姉様を説き伏せるのですわ。「フォーチュン学園の入試には実践訓練もあるでしょう?ですからわたくし、ダンジョンに行ってロゼを鍛えようと思いますの。行って戻っての繰り返しじゃ効率も悪いですし、しばらく泊まりがけで」「そう。行ってらっしゃい」「圧倒的超絶最強なわたくし一人ならこれぐらい楽勝ですけれど、ろくに実戦をこなしてないロゼを連れてだと流石にリスクがあると言わざるを得ませんの。誰かお暇な人がロゼを守ってくれればわたくしも安心できるのですわ」「知ってるかしら?私は今春休みなの。課題は初日で全部終わらせたから、後は残された時間を全力で休むのに忙しいのよ」「貴女の可愛い妹二人を助けると思って、手伝ってくださらないかしらお姉様?」「ロゼはともかくあなたの可愛いところなんてその顔面ぐらいしかないと思うけど」「人は見た目が9割という格言もありますわ。可愛さ90点と考えれば合格と言っても差し支えないのではなくて?」「残りの1割が壊滅しすぎてるせいで0を通り越してマイナスになってるわね。総評するとあなたの可愛さとやらは合計してせいぜい70……いえ、60点が妥当と言ったところかしらね」 ……わたくし、良く耐えましたわよね? よくよく見ればお姉様はさっきから脚をはしたなくパタパタとされてるせいで、蒼を基調としたドレスからちらちらと艶かしい太腿が見え隠れしてますし、うつ伏
last updateDernière mise à jour : 2025-07-18
Read More
第10話 ならず者への対処なんてどこの世界でも一緒ですわ
「ん〜!ようやく着きましたわね」 掌を重ね、上に向けて押し上げるようにしてグッと背筋を伸ばしますの。 バレスチカ領から馬車を出し、揺れに揺られて三時間。  現在わたくしはロゼ、そしてアクアルお姉様と一緒に高難易度ダンジョン『最果ての回廊』、原作の乙女ゲームでは大ボス悪役令嬢であるリリアーゼとの最終決戦の舞台でもある場所に来ましたわ。 ダンジョンに挑戦する目的としては第1にロゼの強化。  少なくとも単独で攻略対象達を軽く蹴散らせるぐらいにはなってもらわねばわたくしとしては安心できませんもの。 第2にわたくし自身の強化。  シャルロットや攻略対象達とは一応友好的な関係を結びたいとは思ってるものの、結局は圧倒的な暴力に優るものなしですわ。 どの道、ラスボスとは敵対する事になるでしょうし、一方的に蹂躙できる程度にはレベルを上げておきたいですわね。 あとは……資金調達かしら。  自分で自由に使える金があった方が融通が効きますもの。「アーゼちゃん、手をお貸しします」 先に馬車を降りたロゼがわたくしに手を差し出し、エスコートしてくれましたわ。  取った手からしっとりとした柔らかい感触が伝わってきますの。 よくできたメイド……じゃなくて妹ですわね。  姉として鼻が高いですわ。「アクアル様、手をお貸しします」「ありがとう、ロゼ。私達の新しい妹はよく気が効く子みたいね」 ロゼは続いてお姉様に手を差し伸べると、お姉様は礼を言いながらわたくしの方を見てニヤリと笑い、ロゼにエスコートされましたわ。  なんかちょっとムカつきますわね。 わたくしの専属メイドだったのが、わたくしとお姉様お兄様の妹という共有財産みたいな扱いになるのはいただけませんわ。  ロゼが自主的にやる分には止めはしなくとも、お姉様が彼女に対して要求してくる場合は全力でイチャモンを付けてやりませんと。  ……さて、これから挑む『最果ての回廊』ですけれど、その全容は巨大な岩山その物で、ぽっかりと開いた大きなトンネルがその入り口となっており、所謂冒険者達は岩山の内部に入り、中にある階段を使って上へ上へと上がっていく事になりますの。 入り口の近くにはダンジョンの管理を任されている兵士が控えており、近くには100人以上の人間が入れる程巨大な黄色のテントが立っていて、冒険者達はそこで
last updateDernière mise à jour : 2025-07-18
Read More
Découvrez et lisez de bons romans gratuitement
Accédez gratuitement à un grand nombre de bons romans sur GoodNovel. Téléchargez les livres que vous aimez et lisez où et quand vous voulez.
Lisez des livres gratuitement sur l'APP
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status