クリフトは新学期になり、アカデミーの寮に戻って行った。スタンリーはクリフトと聖女マリナを婚約させた。 私は妊娠5ヶ月になり安定期に入った。 妊娠初期はつわりもなく妊娠した実感がなかったが、ようやくお腹が出てきて実感が湧いた。「お、お母様、なにかお手伝いできることはございますか?」 「マリナ、もう十分よ。お茶会を開催するのは実は初めてなの。緊張するわ」 「わ、私もお茶会初めてです。ど、同年代の子とお話するのも」 マリナは今モリレード公爵邸に滞在している。 クリフトは彼女に聖女の力を使わせないように気をつけていた。 そのせいか、マリナは随分と顔色も体調も良くなってきた気がする。 生命力を吸われることがなくなったことと、クリフトという味方ができたせいかもしれない。 初めて見た時、今にも死にゆく顔をしていたが、今は生きるのが楽しくて仕方がないという顔をしている。 マリナは3歳で聖女の力を発現して以来、崇められ各地を巡礼し聖女の力を使い続ける生活をしていたらしい。 クリフトは彼女に自由を与えたいのかもしれない。 私は公爵夫人としての仕事として、他の貴族の夫人方や令嬢と交流を持つことにした。 彼女たちは特権階級意識が強いから、正直気が進まなかった。 私の元気がないことを心配してくれたのか、マリナが私のお腹に手を翳し聖女の力を使った。 温かく柔らかい光が私を包み込む。 とても気持ちが軽くなるが、これはマリナの苦しみと等価交換されているものと考えると胸が痛くなる。「だ、大丈夫です。赤ちゃんも応援してます。赤ちゃん女の子みたいですね」 「そんな事も分かるの? それよりも聖女の力は使ってはダメでしょ。自分自身を一番大切にね」 「す、すみません。クリフトには私が聖女の力を使った事、内緒にしてください」 私は微笑みながら頷いた。彼女もクリフトに大切にされていることを自覚しているようだ。 スタンリーに守られていた事に4年も気が付かなかった私から見ると、彼女はとても人の気持ちの分かる優しい子だ。 今日のお茶会は温室ですることにした。 続々と招待客が集まる。 今まで、招待状を送って来た人たちを招待したが皆が来るとは思わなかった。 (私は招待を無視してたのになんで?) 急に怖くなってきた。 も
Terakhir Diperbarui : 2025-08-10 Baca selengkapnya