自慢では無いが、私には頭脳明晰、眉目秀麗な天が味方に付いて完全に一人勝ちした様な兄がいる。父の後を継ぐように騎士になり今や副団長。 片や妹である私は、良くも悪くも人並み程度。学力も平均的で特別目立った功績もない。 最初に言った通り、自慢するつもりは毛頭ない。むしろ、そんな目立つ兄がいるってだけで、ことある事に比べられて来た。兄を慕う令嬢からは、妬みや恨み言を言われることもしばしば。正直、厄介者という認識でいる。 そもそも、兄と似るはずがない。私と兄は血の繋がりはないのだから… *** 義兄であるクライヴと出会ったのは、シャルロットが8歳の時。父の再婚で継母と5歳離れた義兄が出来ると聞かされたシャルロットは大いに喜び、屋敷にやってくるその日を心待ちにしていた。 「何だ?この頭が悪そうな生き物は…」 心待ちにしていたシャルロットが、初見で開口一番に言われた言葉。 眉間に皺を寄せ、心底面倒臭そうな表情でこちらを睨むクライヴ。シャルロットは顔を引き攣らせながらも、必死に笑顔を保たせた。 「なんて事言うの!今日から貴方の妹になるシャルロットちゃんよ!」 慌てて取り繕う継母が哀れで、湧き上がってくる怒りを何とか鎮めたのを覚えてる。傍では父がゲラゲラ笑いながら、兄になるクライヴだと紹介してくれた。 第一印象は最悪。楽しみにしていた分、この仕打ちは幼子心に堪えた。 「急に家族が増えて困惑しているんですよ」 使用人達が落ち込んでいるシャルロットを宥めるように声をかけてくれる。まあ、それもそうか…とその場は納得できた。 「仲良くしてくれるかな?」 「ええ、きっと」 その言葉を信じ、クライヴを見かけたら声をかけて仲を縮めようと努力した。……が、 「何ですか?」 「用がなければ声をかけないでください」 返される言葉はいつも冷たいもの。それでも、折角できた兄と仲良くしたい一心で、何度も折れかける心を誤魔化しながら立ち向かった。……というか、ここまで拒絶されたら逆に意地にもなる。 「用がないなら声をかけるなってことは、用を作ればいいってことでしょ!?」 半ば意地になったシャルロットは、教本を何冊も抱き抱えてクライヴの元を訪れた。 「お兄様、分からない所があるので教えていただけますか?」 これ見よがしにドンッとクライ
Last Updated : 2025-07-22 Read more