「何だ?この頭が悪そうな生き物は…」 そう口にしたのは、今日から義兄となるクライヴ… ヴァレンティン伯爵家の一人娘、シャルロットは8歳の時、継母と義兄が出来た。 兄であるクライヴの第一印象は最悪。それでも兄妹になったのなら、仲良くしたいと歩み寄るシャルロットだったが、クライヴは塩対応。 もう、この人はそういう人なんだと諦めて過ごしていたある日…両親が急死した。シャルロット20歳前日のことだった。 悲しむシャルロットにクライヴは「大丈夫、貴女には私がいます。一人じゃありませんよ」と優しく抱きしめてくれた。 悔しいが、その一言に救われた気がした。 これを境に二人の関係は少しずつ変化していく…
View More自慢では無いが、私には頭脳明晰、眉目秀麗な天が味方に付いて完全に一人勝ちした様な兄がいる。父の後を継ぐように騎士になり今や副団長。
片や妹である私は、良くも悪くも人並み程度。学力も平均的で特別目立った功績もない。 最初に言った通り、自慢するつもりは毛頭ない。むしろ、そんな目立つ兄がいるってだけで、ことある事に比べられて来た。兄を慕う令嬢からは、妬みや恨み言を言われることもしばしば。正直、厄介者という認識でいる。 そもそも、兄と似るはずがない。私と兄は血の繋がりはないのだから… *** 義兄であるクライヴと出会ったのは、シャルロットが8歳の時。父の再婚で継母と5歳離れた義兄が出来ると聞かされたシャルロットは大いに喜び、屋敷にやってくるその日を心待ちにしていた。 「何だ?この頭が悪そうな生き物は…」 心待ちにしていたシャルロットが、初見で開口一番に言われた言葉。 眉間に皺を寄せ、心底面倒臭そうな表情でこちらを睨むクライヴ。シャルロットは顔を引き攣らせながらも、必死に笑顔を保たせた。 「なんて事言うの!今日から貴方の妹になるシャルロットちゃんよ!」 慌てて取り繕う継母が哀れで、湧き上がってくる怒りを何とか鎮めたのを覚えてる。傍では父がゲラゲラ笑いながら、兄になるクライヴだと紹介してくれた。 第一印象は最悪。楽しみにしていた分、この仕打ちは幼子心に堪えた。 「急に家族が増えて困惑しているんですよ」 使用人達が落ち込んでいるシャルロットを宥めるように声をかけてくれる。まあ、それもそうか…とその場は納得できた。 「仲良くしてくれるかな?」 「ええ、きっと」 その言葉を信じ、クライヴを見かけたら声をかけて仲を縮めようと努力した。……が、 「何ですか?」 「用がなければ声をかけないでください」 返される言葉はいつも冷たいもの。それでも、折角できた兄と仲良くしたい一心で、何度も折れかける心を誤魔化しながら立ち向かった。……というか、ここまで拒絶されたら逆に意地にもなる。 「用がないなら声をかけるなってことは、用を作ればいいってことでしょ!?」 半ば意地になったシャルロットは、教本を何冊も抱き抱えてクライヴの元を訪れた。 「お兄様、分からない所があるので教えていただけますか?」 これ見よがしにドンッとクライヴの目の前に積み上げた。クライヴは一瞬狼狽えるように目を見開いたが、すぐに面倒臭そうに顔を顰めた。 「頭が悪いとは思っていましたが、これほどまでとは…」 「……」 堪えろ。堪えるんだ。と心の中で呟きながら笑顔を取り繕う。 「これではお義父様の心労が測り知れないですね…仕方ありません」 そう言うと、一番上から一冊手に取った。その姿を見てシャルロットは顔を輝かせて喜んだ。 ……が、これが地獄への第一歩。 「先に言っておきますが、私が教えるんですから学年トップ以外は認めませんよ」 「え?」 思わず顔が引き攣った。 普段のシャルロットの成績は平均点ギリギリ。ここから学年上位を目指すなんて、無謀にもほどがある。 「泣き言は一切受け付けません」 眼鏡をかけながら、早く座るように促してくる。 ここで座ったら終わりだ…頭では分かっているのに、眼鏡の奥で鋭く光る瞳に逆らえることが出来ず、大人しく座ってしまった。 その後は言わなくてもお分かりのように、地獄なんて生ぬるいと思えるような扱きを受けた。まあ、そのおかげで成績は格段に上がった。学年トップには届かなかったが、両親は驚きながらも喜んでくれた。問題のクライヴは… 「貴女にしては頑張ったほうでは?」 嫌味の一つでも言われると思っていたが、労うような言葉をかけられた。思いもよらない言葉に、シャルロットはボロボロ涙が零れた。ようやく認められた…そう思ったら、自然と涙が出てきた。 そんな様子にクライヴは目を見開いて狼狽えた。泣き止ますのにどうしていいのか分からなかったのだろう。溜息を吐きながらも、涙を流すシャルロットを胸に抱きしめて不器用に頭を撫でてきた。 顔を埋めながらシャルロットは不器用な優しさにクスッと微笑んだ。 これで距離が縮まったかな。と思っていたが、その考えは大間違い。次の日には相変わらずの塩対応に元通り。 この人は表情筋と感情が死んでいるんじゃないのか?と疑ったが、両親達とは普通に話すし笑顔まで見せている。 何故私だけ、こうも態度が違うのか…と悩んだ時期もあった。結局、この人は私に対してはこう言う人なんだと割り切って諦めた。 ああ…そう言えば一度だけ、心配された事があったな。 あれは、そう。兄妹になってしばらく経った頃、クライヴに好意を持った令嬢達から嫌がらせを受け、納屋に閉じ込められたことがあった。 「クライヴ様の妹だからって、良い気になってムカつくのよ!」 誤解のないように言っておくが、あの人の妹だからと威張った事も笠に着せたことも一切ない。 私のような冴えない女があの人の傍にいるってだけで、癪に障るって事だろう。そんなの… (私にどうしろと?) 泣いて許しを乞うなんて冗談じゃない。こちらは何も悪くないのに、謝るなんて馬鹿のすることだ。そもそも、何故私がこんな仕打ちをされなきゃならんのだ。 考えれば考えるほど苛立ち、外でせせら笑う令嬢達の声で我慢の限界を迎えそうになっていた。 「シャルロット!」 突如名を呼ばれ、ハッとした。 「貴様ら…ここで何をしている」 怒気を含んだ声だが、その声に覚えがある。兄のクライヴだ。 「く、クライヴ様…な、何故こちらへ?」 令嬢達の声は震え、しどろもどろになっている様子。顔を見なくても、その顔色は酷く悪い事だろう。 「黙れ!俺のシャルロットを何処にやった!」 「ひっ!」 声を張上げて怒鳴るクライヴに、シャルロットまでも震え上がってしまう。 令嬢達の駆けていく足音が聞こえると、すぐに扉が開かれた。眩い陽の光で目が霞む中、ギュッと力強く抱きしめられた。 「ロティ…良かった」 いつもと違う弱々しく震えた声。本当に心配してくれたんだと分かったが、いざ心配されるとどう言葉を返していいのか分からない。 シャルロットが困惑していたら「行きましょう」と温かみのある笑顔を向けられた。手を差し出され、その手を取ると一緒に納屋を後にした。 いつもは関心が無い素振りを見せてるけど、いざとなったら助けに来てくれるんだ… 前を行くクライヴの背中を見ると、こそばゆい気持ちが込み上げてきて頬を緩めた。 ──こんな関係も悪くない。かな そう思っていたのに…ようやく落ち着きを取り戻した、ヴァレンティン邸。静かな夜…月明かりが屋敷を照らしている。その屋根の上に一人の男の姿があった。 「あ~ぁ、今回、俺も結構頑張ったと思うんだけどなぁ」 ボヤきながらその場に寝転び、月を眺めるのはクライヴの影であるセウ。 シャオにいい所を取られた形になったが、この人も今回の功労者。その事を知るのはクライヴと国王であるエミディオだけ。影の存在なので仕方ないと言われればそれまでなのだが… 「影も辛いなぁ」 誰にも知られず、仕事をこなす。自分の選んだ道とは言え、流石に堪える。 「セウ様、セウ様」 感傷に浸っていると、下から自分を呼ぶ声が聞こえた。顔を覗かせて見ると、この屋敷の侍女が呼んでいた。 「なんだい?」 「少しお時間よろしいでしょうか?」 誘われるままに後を着いて行くと、食堂に通された。 扉を開けると、沢山の料理を囲うように屋敷中の使用人が集まっている。 「な、は?」 「旦那様からの言付けです。セウ様を労ってやってくれと」 戸惑うセウに執事長が声をかけた。 「旦那様は少々野暮用で立ち会えませんが、我々が精一杯労わせて頂きますゆえ、お許し頂きたい」 執事長が頭を下げると、セウは「ははっ」と顔を手で覆いながら笑った。 「参ったねこれは…本当に我が主は抜かりがない」 使用人達は優しく微笑みながら、セウを取り囲んだ。 *** 「お、お兄様!?」 「何です?」 クライヴの部屋に連れ込まれ、壁に背中を押しけた状態でクライヴが覆いかぶさる。 甘い香りが鼻に匂ってくる
ミランダはリッツ家の負債を補う為、あろう事か実の兄であるヴァレンティン伯爵の殺害を企てていた。 隣町まで行くことを薦めたのも、プレゼントを薦めたのもミランダ。 隣町に行くには切り立った崖を通らなければならない。事故に見せかけて殺害するには持ってこいの場所。あの日、雨が降っていたのは想定外だったが、ミランダからすればこれ以上ない絶好の天候だった。 闇市で購入した魔石を地面に埋め込めば、簡単に地面が崩れ土砂崩れとなった。 後は、二人の兄妹を上手く排除出来ればヴァレンティン邸は自分のモノに出来ると思い込んでいた。 シャルロットにシャオを薦めたのも、シャオから融資を募るため。二人が上手く行けば、シャルロットを操っていずれヴァーチュ商会も手に入れようと考えていたと… 全貌が明らかになり、シャルロットは言葉を失い、ただただ茫然とするばかり。 その後、ミランダはヴァレンティン伯爵夫妻の殺人を企てた容疑で拘束された。 夫であるリッツ伯爵は最後まで「俺は知らなかったんだ!」と、全て妻であるミランダの責任を押し付けようとしていた。 *** 波乱の夜会が終わり、数日が経った。 一連の経緯を知ったシャルロットは、あまりのショックに熱を出して寝込んでしまった。 愛していた叔母が、愛する両親の殺害を企てていたなんて知れば当然のこと。だからこそ、クライヴは出来るだけ穏便に済ませたかったのだが、そうはいかなかった。 そうして、シャルロットの体調も戻りつつある本日、リリアン王女が国へと戻るらしい。何故か、見送りの場にクライヴと共に呼ばれて仕方なく赴いた。 「此度は大変お騒がせ致しましたわ」 随分と汐らしい態度に、クライヴは驚きを隠せない。 「ふふふっ。正直、このまま帰るのを
リリアンに責められ、顔面蒼白で蹲るミランダ。 そんな妻の様子を見たリッツ伯爵は、ゆっくりと後退りし、この場を逃れようとしたが、後ろに控えていた騎士に両腕を拘束され、項垂れるように肩を落としている。 この異様な雰囲気に、シャルロットは呆然としたままミランダを見つめていた。 「リッツ夫人」 次に口を開いたのはクライヴだった。 「貴女は叔母としてシャルロットを愛してましたか?」 クライヴの言葉に、ミランダもシャルロットも目を見開いた。 「な、何を言うの!?そんなの当たり前じゃない!」 「そうですか?私にはそうは見えませんでしたね」 「は!?」 クライヴに食ってかかるようにミランダが声を上げる。 「血の繋がらない紛い物が知ったような口を聞くんじゃないわよ!幼い頃からシャルロットの面倒を見てきたのよ!私にとっては娘同然なの!」 「その娘を自分の私利私欲の為に、道具にしようとしたのはどなたです?」 声を荒らげるミランダに対し、クライヴは冷静沈着に問いかけた。 「な、何を言っているの…?」 声を震わせ、動揺しているのが見て取れる。 「調べはついているんですよ」 ミランダの目の前にドサッと置かれた書類の束に目をやると、大量の借用書やリッツ家の財産目録。見る限り、リッツ伯爵家が随分困窮しているのが分かった。 そして、その中にはシャルロット達の屋敷であるヴァレンティン伯爵邸の相続登記まである。 「叔母様…これは…」 これではまるで、ヴァレンティン邸を叔母であるミランダが管理すると言っているようなもの。 証拠を突きつけられたミランダは、悔しそうにギリッと歯を食いしばりクライヴを睨
扉を開けた先には、煌びやかな装いをした貴族達がおだやかな雰囲気の中、ガヤガヤと賑わいを見せていた。 「あらぁ?シャルロットちゃんじゃないの」 真っ先に声をかけてきたのは、叔母であるミランダだった。その隣には、いかにも紳士という風貌の男性、ミランダの夫であるリッツ伯爵だ。 「御機嫌よう。叔母様、叔父様」 軽く会釈して挨拶を交わした。 「驚いたわぁ。あの男がエスコートを貴方に譲るなんて」 「ははっ、まあ、お願いされちゃったらね?」 チラッとこちらに目配せしてくる。そんな意味あり気にすれば、どんな馬鹿でも察しがつく。 現に、ミランダは「あらぁ?」なんて顔をニヤつかせている。 「やっぱり、噂は本当だったみたいね」 「噂?」 「あら、シャルロットちゃんは知らない?リリアン王女とあの男の婚約の話」 「え?」 一瞬、心臓が止まったかと思った。 「陛下直々の縁談だったようで、断りきれなかったのねぇ。今日はその報告も兼ねているって話しよ?」 ミランダが続けて話してくれるが、耳に入って来ない。 「リリアン王女には兄弟がいない。あの男は必然的に婿として彼女の国へ嫁ぐことになる。貴女もそこの彼と一緒になれば、あちこちの国を回る事になる。そうなると、ヴァレンティンの屋敷は人がいなくなってしまうわねぇ?」 「そうだ、私達が――」そう、切り出したところでワッと歓声が上がった。 「ああ、団長様のご登場みたいだね」 シャオの言葉で顔を上げると、クライヴとリリアンの姿が見えた。 クライヴの腕にリリアンが身体を密着させて手を絡ませている。二人で目を合わせて楽しそうにしている。 (ああ……そう言う事……) 自分以外にそういう表情を見せているという事は、そう言う事なんだろう。 頭の何処かでは疑っていたが、こうして目にしてしまうと現実を見せつけられているようで、悲しさよりも腹が立って仕方がない。 正直、涙の一つでも流れると思っていたが、殴りたい衝動を必死に抑えているのが現実。 「大丈夫?」 「何が?」 前を見据えて微動だにしなくなったシャルロットを心配したシャオが耳打ちしたが、間髪入れずに睨みつけられた。思わずシャオも苦笑いを浮かべていた。 「皆の者に報せがある」 国王であるエミディオが、クライヴとリリアンの隣で声を上げる
ある日、シャオが訪ねてきた。 「おや、随分雰囲気が変わったね。団長様と何かあった?」 顔を見るなり唐突に言われて、言葉に詰まった。 正直、この関係を何と説明していいのか解らない。兄妹だが、兄妹よりも深い仲。付き合っているのかと聞かれれば、それはノー。 シスコンだのブラコンだのと言われたら否定できない部分はある。 「ははっ、一歩前進と言った所かな。まあ、まだそんな感じなら僕の隙いる間もあるって訳だ」 「まだそんな事言ってるの?」 「僕は諦めが悪いんだよ。欲しいものは何としてでも欲しい性分なんだよね」 面倒臭い者に目を付けられた… そんな事を思いながら、用意されたお茶に手を伸ばした。 「そんな君に朗報。今度、舞踏会が開かれるのは知ってるね?」 「?ええ」 それは三日後に行われる城での催し物。リリアン王女が滞在中に是非にと、早急に日程を決めたらしい。 私達兄妹も招待されているのだから、知らないはずが無い。 「団長様は例のお姫様と参加するらしいよ?」 「は?」 足を組み、優雅にお茶を啜るシャオの言葉が上手く聞き取れなかった。 「だから、君の兄上でもある団長殿は、リリアン王女のエスコートをするんだって」 もう一度聞き返して、ようやく頭が理解した。 鈍器で頭を殴られたような衝撃だったが、すぐに「ふ~ん」と、自分でも驚くほど冷静になれた。 今回の舞踏会の話は義兄であるクライヴから直接聞き、その場で私のエスコートは自分がすると自らが宣言していた。当然、私もそのつもりでいた。 (な・の・に・だ) この裏切り。 人間は、怒りが沸点を超えると冷静になるんだと、今知った。それと同時に、クライヴに振り回される自分が馬鹿らしく思えてきた。 「私のエスコートは貴方にお願いするわ」 真剣な表情でシャオに向かって言った。 「ええ~?そんな急に?僕のエスコート待ってる子結構いるんだけどなぁ?」 困った風を装っているが、顔がほくそ笑んでいる時点で嘘だと言っている。 「そう。それなら、他を当たるわ」 「あ、ちょっと待って!空いてる空いてる!僕にエスコートさせて!」 私が縋るとでも思っていたのか、あっさりと切り捨てるとシャオが慌てて引き止めてきた。 「ふはっ!貴方、そんなに焦らなくても嘘だって分かっ
「…ん…んん……!」 シーンと静まり返った部屋に、荒い吐息と水音が響いている。 ベッドの上でシャルロットを組み敷くクライヴの姿が影となって床に映る。 「お、お兄…ん…ッ!」 口を開けば唇で塞がれ、舌を絡め取られる。 どうしてこんな事になったのか…何故、この人はこんなにも嬉しそうなのか… 見せつけるかのように濡れた唇を舌で舐めとる姿は、妖艶で官能的。このままでは雰囲気に飲まれる…! 「ちょ、本当に待って…!」 必死に押し退けようとするが、両手を拘束され執拗にキスしてくる。唇、頬、首筋とこちらがいくら待てと言っても聞きゃしない。 「いい加減に………しろッ!!!!」 舐めまかしい雰囲気を払拭するゴンッ!という鈍い音と声。 我慢の限界を迎えたシャルロットが渾身の頭突きをかました。 この場合、仕掛けた本人も痛みを伴うが、貞操が守られるのならこの程度の痛み…! 「とりあえず、弁解があるようようなら聞きますが?」 痛む額を誤魔化すように、蹲るクライヴを仁王立ちで睨みつけた。ここまでして、ようやく正気に戻ったのか、か細い声で「すみません」と呟いたのが聞こえた。 「ロティが…」 「私が?」 「リリアン王女に嫉妬したと聞いて嬉しくて、つい…」 「は?」 赤らむ顔を手で覆いながら言われた。 嫉妬?誰が?誰に?この人は何を言っているの? シャルロットは困惑しながら、クライヴを見つめていた。 「──ですが、嬉しい反面、憎さもあります」 腕を引かれ、再び押し倒さ
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