ミランダはリッツ家の負債を補う為、あろう事か実の兄であるヴァレンティン伯爵の殺害を企てていた。 隣町まで行くことを薦めたのも、プレゼントを薦めたのもミランダ。 隣町に行くには切り立った崖を通らなければならない。事故に見せかけて殺害するには持ってこいの場所。あの日、雨が降っていたのは想定外だったが、ミランダからすればこれ以上ない絶好の天候だった。 闇市で購入した魔石を地面に埋め込めば、簡単に地面が崩れ土砂崩れとなった。 後は、二人の兄妹を上手く排除出来ればヴァレンティン邸は自分のモノに出来ると思い込んでいた。 シャルロットにシャオを薦めたのも、シャオから融資を募るため。二人が上手く行けば、シャルロットを操っていずれヴァーチュ商会も手に入れようと考えていたと… 全貌が明らかになり、シャルロットは言葉を失い、ただただ茫然とするばかり。 その後、ミランダはヴァレンティン伯爵夫妻の殺人を企てた容疑で拘束された。 夫であるリッツ伯爵は最後まで「俺は知らなかったんだ!」と、全て妻であるミランダの責任を押し付けようとしていた。 *** 波乱の夜会が終わり、数日が経った。 一連の経緯を知ったシャルロットは、あまりのショックに熱を出して寝込んでしまった。 愛していた叔母が、愛する両親の殺害を企てていたなんて知れば当然のこと。だからこそ、クライヴは出来るだけ穏便に済ませたかったのだが、そうはいかなかった。 そうして、シャルロットの体調も戻りつつある本日、リリアン王女が国へと戻るらしい。何故か、見送りの場にクライヴと共に呼ばれて仕方なく赴いた。 「此度は大変お騒がせ致しましたわ」 随分と汐らしい態度に、クライヴは驚きを隠せない。 「ふふふっ。正直、このまま帰るのを
Terakhir Diperbarui : 2025-08-29 Baca selengkapnya