重苦しい空気が張り詰めていた。結局、凌が再び口を開いた。「夕星、来い」声にはすでに警告の意味が込められていた。夕星は目を伏せ、結局は折れた。彼女は歩み寄り、凌の腕を支えた。凌が強く引き寄せると、虚ろだった心に居場所ができた。彼は夕星の肩に手を回し、そのまま抱き寄せて離れた。駐車場にて。静かで広々としていた。夕星は凌に車のドアに押し付けられ、荒々しい息遣いのキスを唇に奪われた。彼は本気で彼女を骨までしゃぶり尽くすつもりだった。「夕星、あいつが好きなんだろ?」凌はかすれた声で問いかけた。夕星の唇と舌は痛みで痺れ、彼の陰鬱な瞳に冷たく応えた。「あなたには関係ないわ」夕星は律のことなど一切話したくなかった。凌は狂ったように苦しんだ。「律が三年前に海外に行ってしまったから、俺と結婚したんだろ?」真実を知りたくないのに、覗き見ずにはいられなかった。アルコールが怒りや衝動に変わり、彼は彼女の全てを求めずにはいられなかった。夕星は爪で掌を強く抓った。凌は本当に狂っていた。しかもこんな場所で……「凌、私を恨ませないで」夕星は彼の肩に歯を立て、涙をこぼした。肩の痛みで凌は我に返り、全ての動作を止めて夕星の上で息を荒げた。一声、また一声と。最後に、彼はドアを開け、夕星を車に押し込んだ。車が走り去って行った。少し離れた車の陰で、珠希は悔しさに歯軋りした。夕星がこんなに淫らだとは。道理で凌がやめられないわけね。凌は結局続けることができず、車に乗ると半分昏睡状態に陥ってしまった。夕星は心を鬼にして放っておこうとしたが、心の中では激しく葛藤していた。結局、運転手に病院へ行くよう指示した。梅代がまだ病院にいるから……と夕星は自分に言い聞かせた。医師が凌の状態を尋ねた。夕星は淡々と答えた。「背中に傷があって、たくさんお酒を飲んだそうです」そう言いながら、凌のシャツを脱がせると、背中の傷が現れた。彼女は一瞬呆然とし、服を握る指に力が入った。背中に傷があることは知っていたが、ここまでひどいとは思わなかった。青紫色に腫れ上がった鞭の跡が無残に広がり、見るも恐ろしい状態だった。医師はスタッフを呼び寄せ、凌を診察室へ運び込んだ。夕星は同行せず、梅代の元へ向かった。
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