凌は冷笑を浮かべ、口角を上げながら言った。「無理にやらせたことは認めるよ。最初は確かに俺が始めた」「だけどその後、お前が俺の腰に足を絡めてきた時、結構楽しんでたんじゃないか?」夕星の顔はだんだんと白くなり、潤んだ目には信じられないという感情がにじんでいた。凌は卑猥な言葉で自分を辱めた。自分の自尊心を地に叩きつけた。夕星は一言も発さずベッドから降り、床に落ちた濡れた服を拾い、震えながら一つ一つ身に着けた。指は震え、夕星はボタンを留めるのに何度も失敗した。凌は無言で見つめていた。夕星が寝室から離れた後。凌は険しい表情をしながら思わず悪態をつき、適当な服を羽織ってから夕星を追いかけようとした。しかし、一階にはもう夕星の姿はなかった。お手伝いさんが薬を手に持ちながら辺りを見回した。「奥様はどちらにいらっしゃいますか?薬のご用意ができました」凌が別荘に戻る前に、彼はお手伝いさんに薬の準備をしておくよう電話で指示していた。夕星の分と、梅代の分だ。夕星が余村先生の所へ行ったのは、梅代の薬が切れていたからだ。珠希とはたまたま出くわしただけだ。夕星は誤解した上に、わざとあんなことを言った。凌は眉間を揉みながら、車の鍵を持って夕星の後を追いかけるために外に出た。外に出た途端、凌は慌ててやって来た秀太とぶつかった。「榊社長、秦社長がお目にかかりたいとおっしゃっています」凌は怒り心頭で、不機嫌そうに答えた。「そんな暇はない」だが、正邦はすでに凌の目の前にいた。凌が出てくるのを見ると、正邦は傘を差しながら近づき、へつらうように言った。「凌くん」凌は冷たい目で言った。「何の用だ?」正邦が口を開いた。「深也の件だが……」凌は冷たく一瞥した。「30秒で言え」正邦は唾をごっくんと飲み込んだ。「俺の母さんを退院させようとしたのは、霖之助さんの意向なんだ」正邦はすぐに、霖之助がどうやって自分を見つけ、セキュリティーカードを渡して、夕星と梅代を連れて行くように頼んだかをすべて説明した。「霖之助さんが言ったんだ。夕星が離婚しないなら、それが彼女への罰だって。そして、もしお前と彼女が順調に離婚できたら、俺の会社に200億円もの投資をしくれると言ってたんだ」要するに、全ては霖之助の仕業だったのだ。
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