今や離婚せざるを得ない状況に至ったのは、すべて凌のせいだ。「わかった、離婚しよう」そう言った瞬間、凌の胸は張り裂けるほど痛んだ。この瞬間、凌は自分の夕星に対する感情が、家族に向けるような愛情ではなく、恋愛感情だと気づいた。凌は、夕星が好きだと悟った。男女の恋愛としての気持ちだ。自分の感情に気づき、目頭を熱くしながらも、凌は優しい笑みを浮かべて静かに言った。「明日の朝九時、役所で会おう」テーブルに紙袋を置き、そっと言った。「薬が入っているから、塗っておいて」そう言うと、凌は背を向け、その寂しい姿が暗闇に消えていった。夕星は顔を覆い、澄香の胸に飛び込んで泣いた。悲しみ、苦しみ、そして解放感と喜びが入り混じった。この泥沼のような結婚生活が、ようやく終わろうとしていた。澄香は笑いながら「おめでとう」と言ったが、笑っていたら、知らず知らずのうちに涙が出してしまった。。その夜、夕星は澄香の家でぐっすり眠った。翌朝九時、夕星は役所の前に現れ、白いシャツを着た凌の姿を見た。彼女は少しぼんやりしていた。その白いシャツは、結婚登記をした日に彼が着ていたものだった。あの時、凌は終始冷たい表情をしていたし、もちろん夕星も嬉しくなんてなかった。二人は結婚するというより、むしろ離婚するかのような雰囲気だった。婚姻届を提出した後、彼女は別荘に引っ越した。この結婚は彼女の望むものではなかったが、心の奥底には少しの期待が残っていた。だから、結婚式の日の服もきちんと畳んで取ってあった。今、凌は当時の服を着て離婚に来た。面影は昔のままなのに、すべてが変わってしまった。彼女はすぐに雑念を振り払い、俯きつつ淡々と言った。「行きましょう」凌の目には失望と苦渋が浮かんでいた。彼はわざとこの白いシャツを着てきた。引き留めてくれると思っていた……離婚届を提出するには、双方の署名が必要だ。前の二つは凌が署名しておらず、今回は提出できない。だが、夕星は持参していた。彼女は離婚届を凌の前に置き、淡々と言った。「見て、問題がなければ署名して」凌はペンを握った手がわずかに震えた。夕星は彼の目尻の赤みに気づかないふりをした。遅れてきた感情は、もはやどうでもいいものだった。「条件は変わらないわ。二十
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