「瑞貴ちゃんって、やっぱ鋭いよね」 彼女は乾いた笑顔を浮かべていた。「瑞貴ちゃんの言う通りで、私は夫婦に関係するあることで、ずっと不安を抱えているよ」 彼女の声のトーンは落ちていった。 何かはわからないけど、重く深い感じがした。「私は、私たちの『未来』についての不安なのだよ」 彼女は、とても曖昧な言葉を使っている。 相当言いにくいことなんだろうと心配が募る。「未来について?」「そうだよ」「それは、さっきずっと一緒にいようと話し合ったことでは、補えないほどの問題なの?」 僕は確認するかのように、ゆっくりと声をかける。「そうね。これは、そういう次元の問題じゃない」 彼女はいつもと違い、仮面を被ったように硬い表情をしている。 そこからは感情が読みとれない。「そうなのだね」 僕は決して答えを急がず、彼女のペースに合わせようと思った。「瑞貴ちゃん、親になる準備をする日の『イベント事』の日のこと覚えてる?」 彼女は突然そんな話をもちだしてきた。「うん、覚えているよ」 その『イベント事』の日の時は、僕たちは子どもができてからではなく、その前にもっとお互いを知り、育児についての方向性なども固めておこうという話をした。「瑞貴ちゃんは、親になりたいよね?」 彼女は、まだ表情のないままだ。 こんな時どう答えるのが、正しいのだろう。 正直なことだけが全て正しいことではないと僕はなんとなくだけど知っている。 彼女が求めている答えは、どっちだろう。 僕は答えに迷った。「うーん、二人とも本当に子どもほしいと思った時に、親になれるといいかな」 僕は結局、曖昧にぼかすことしかできなかった。 自分が情けない。「そんな空気を読んだ言葉が聞きたいんじゃない!」 彼女の言葉も、強い声も、その場を凍りつかせるには十分すぎるほどのものだった。 それから、彼女は一層切ない表情になった。 僕はもう彼女にそんな表情をさせたくないのに。「もしも、それが永遠に叶わないとしても、瑞貴ちゃんは本当に私とずっと一緒にいてくれる?」 彼女は、目をうるませながらまっすぐに僕の目を見つめてきた。「そばにいるよ」 僕ははっきりと伝えた。 子どもがほしくて、彼女と恋したわけでも、結婚したわけでもない。 彼女の素敵なところに惹かれて、僕は彼女のそばにいようと
Last Updated : 2025-08-19 Read more