「私は蔵の監視カメラを調べたのよ。そしたら、あの時に絵を壊したのは沙耶さんじゃなくて、真美さんだった。あんたは真美さんと不倫して彼女を連れていき、そこで作品を壊したんでしょ。それなのに彼女は自分の過ちを認めず、あんたは自分の妻に罪をかぶせた。私まで善悪の区別もつかない愚かな人間になってしまったじゃない!」「お母さん……それと子どもの教育になんの関係が……」達也は少しうろたえた。「じゃあ、あんたは知ってる?あの絵の作者が誰だったか。上の方の偉い人がその画家をとても気に入っていて、私はあらゆる手を尽くして、その巨匠にもう一枚描いてもらえないかと頼み込んだ。どんなに高額でも出すつもりだった。でも、きっと信じられないでしょうね。その『巨匠』の正体は、他でもない。あんたの前妻、沙耶さんだったのよ!」「沙耶……!?」達也は立ち上がることもできず、信じられないといった顔をした。真美も金切り声で叫ぶ。「ありえません!お義母さん、誰かに騙されたんじゃないですか?彼女が達也さんと八年も夫婦だったのに、どんな人間かご存じでしょう?ただの田舎出身の女で、何もできない人が、どうして名のある画家になんてなれるんですか?」「名画家はあくまで外の顔よ。もともと彼女は進学のチャンスもあったのに、颯太を妊娠して家庭に入らざるを得なかった。そのあとも家庭に入る道を選んだのは、夫と子どもを愛していたからよ。でも、それは彼女が無能だという証拠じゃない。むしろ、あんたはどうなの?高給取りの『育児コンサルタント』を名乗りながら、この家の子どもを台無しにしたのよ!よく見てごらんなさい。あんたの婚約者の本当の姿を!」節子は一束の書類を達也の目の前に放り投げた。学歴、資格証明、証人の証言、録音データ。そのすべてが、真美の「名門大学卒」も「育児コンサルタント資格」も、金で買った偽物であることを示していた。さらに、真美が外で友人とアフタヌーンティーを楽しんでいる動画もある。画面の中で、真美は仕上げたばかりのネイルを眺めながら、意地悪そうにこう言っていた。「なんで他人の子どもを育てなきゃいけないの?私が『まだ小さいんだから、勉強なんか必要ない。外で自然に触れさせたほうがいい』って言っておけば、達也さんなんてお人好しだから全部信じるの。正直、あの子のことなんてどうでもいいし、できる
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