帝都にて。月島遥斗は今、秘書に向かって怒鳴り散らしていた。「広報部にコメント削除を依頼したはずだ。なぜルビーに関する悪評の議論がまだこんなに多いんだ?」秘書は恐る恐る答える。「社長、削除すればするほど、ネットユーザーの反発は激しくなる一方でして。『五十嵐さんはやましいことがあるから裏でコメントを操作している』と......」遥斗は拳を握りしめ、砕けんばかりに怒っていた。「ならば、俺が自ら出てデマを打ち消す。俺とルビーこそが、籍を入れた夫婦だと」「社長、それでは社長ご自身と、天野晶さんのイメージに傷がつく恐れが......」「それでも、やるしかない......」遥斗は額に手を当てた。ルビーがネット上の誹謗中傷がエスカレートしているのを見たら、どれほど傷つくか想像するだけで恐ろしかった。彼は秘書に命じた。「アフリカのギニアへの渡航手配を頼む。急いでくれ!」こんな時こそ、彼女のそばにいてやらなければならない。秘書が返事をする間もなく、遥斗の特別補佐がドアをノックするのも忘れ、慌てて部屋に駆け込んできた。「社長、突き止めました!」特佐は息を切らしながら言った。「社長、分かりました!」「最初に盗撮写真を流出させ、その後、裏で世論を操っていた人物が特定できました!」遥斗は特佐から資料の束を受け取ると、一瞥しただけで、怒りに任せてそれを机に叩きつけた。天野晶!まさか、晶だったとは!遥斗は、いつか晶と屋上で対峙する日が来るとは夢にも思わなかった。吹き荒れる風の中、晶はゆったりとしたセーターを着ていた。遥斗がやってくるのを見ると、彼女は途端に満面の笑みを浮かべた。「遥斗、やっと私に会いに来てくれたのね。屋上にピクニックテーブルを用意したの。今日、ここで一緒に花火を見ない?」遥斗は冷たい顔で、近づいてこようとする晶をさりげなく避けた。「もし俺がお前を探しに来なかったら、ネットでルビーを傷つける行為を、まだ続けるつもりだったのか?」遥斗の目は恐ろしいほど暗かった。晶は信じられないという顔で、無理やり自分を落ち着かせた。「遥斗、何を言っているの。意味が分からないわ」「自分で見てみろ!」遥斗は資料の束を晶に叩きつけた。そこに書かれたデマのすべてが、晶のIPアドレスから発信されていた。「遥斗..
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