響矢は、長い夢を見ていた。夢に見たのは、彼が初めて心羽と出会った、あの星空だった。それは彼が十八年生きてきて、初めて心臓が胸を突き破りそうになるのを感じた瞬間だった。友人は彼の視線に気づき、首を横に振った。「響矢、あれはうちの学校のマドンナだぞ。彼女に言い寄る奴らはクラスの人数より多いんだ。それに、彼女はユーモアがあって面白い男の子が好きだって聞くし、お前みたいなのは……諦めたほうがいいんじゃないか」響矢は何も言わず、ただ笑顔が眩しいその少女を、静かに見つめ続けた。まるで彼の視線に気づいたかのように、心羽が振り返り、空に広がる満天の星を指差し、彼に向かってウインクをした。時間はまるでその瞬間に止められたかのように、響矢の脳裏に焼き付いて離れなかった。その後、友人の言った通り、心羽は彼に全く興味を示さず、むしろ何度も遠回しに拒絶した。最後の時、心羽は響矢が買ってあげたケーキを持ち、顔には申し訳なさそうな、しかし礼儀正しい笑顔を浮かべていた。「響矢、あなたはとても良い人だけど、私たち、本当に合わないと思うの。あなたに、そういう気持ちは全くないの。本当にごめんなさい!」当時、学校ではある建物の工事が行われており、心羽の声は騒音の中でもはっきりと聞こえた。響矢は当時、これが彼女との最後の出会いになるだろうと思った。心羽が彼を好きではないのなら、彼はもう彼女を困らせるべきではない。彼が頷き、何かを言おうとしたその時、突然心羽の頭上に鉄筋が落ちてくるのが見えた。響矢は考える暇もなく、心羽を突き飛ばし、自分はまともに鉄筋の下敷きになった。再び目を開けた時、彼は何も見えなくなっていた。聞こえるのは、心羽が鼻を啜りながら泣く声だけだった。「どうしてそんな馬鹿なことをしたのよ!どうして私を助けたのよ!あなたはこれから偉大な画家になる人なのに、どうすればいいのよ!」響矢は手を上げ、顔に巻かれた包帯に触れた。本当に痛かった。だが、その時彼が考えていたのは、たった一つのことだった。「君が無事でよかった」その後、心羽はほとんど毎日彼を見舞いに来た。彼は時々、気が狂ったように、このまま一生入院していられたらいいのに、と思うことがあった。そうすれば、毎日心羽の声を聞くことができるから。退院の前日、彼はうっか
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