「リナ、具合はどう?」 エミリオ、うんだいぶいいと思う。 でもご飯作れそうにない。ごめん」 部屋から出てこない私の様子を見に来てくれたエミリオへ、体調が悪いと伝えた。 「あぁ、カオリと食事はすませたよ。お弁当は大丈夫だから。カオリは商会に連れて行く。だからゆっくり休むといいよ。行ってくる」 「いってらっしゃい……」 扉に向かって声をかける。 ごめんね……。 「お母さんは体調悪いから、お父さんと一緒にお仕事行こうかカオリ。静かにね」 「お母さん、いってきまーす」 ごめんね……。 2人がいなくなると静けさが戻ってきた。 どこも具合は悪くないのだけれど、 精神面への打撃がすごくて。 過去を振り返らずに前へ進もうとしていたのに、気持ちは否応なく過去へと引き戻される。 久しぶりに一人きりの時間。 カオリもそろそろ学園へ通わせてもいい年頃になった。 そろそろ仕事を探しめようかな。 子離れする時期なのかもしれない。 働き始めたら、余計なことなど考えることもなくなる。 これからの身の振り方について、モヤモヤと考えていると、扉の開く音が聞こえた。 室内の時計へと目を向けると、お昼を少し過ぎた頃だった。 エミリオが帰宅するのは夕方のはずだ。 侵入者? 重い身体を起こすと、息を殺しながら扉を少し開けて様子を窺う。 「お母さんまだ寝てるみたい」 「カオリ、お父さん疲れたから一人で遊んでね」 「あっちで本よんでるね」 エミリオとカオリね、 侵入者ではないことにほっと安堵する。それにしても今日は早いのね。 廊下を歩くエミリオを呼び止める。 「おかえりなさい。早かったのね。」 「あぁ」 急に声をかけられたことに、驚いた様子のエミリオ。 なんだか様子がおかしい。 「エミリオ?」 エミリオは私と目を合わすことなく寝室へ入ってくる。 その態度に胸騒ぎがした。 扉を閉めて、エミリオの様子を窺った。 エミリオは窓辺に佇み、私に背をむけたまま口を開く。 「しばらく仕事を休むように言われた。」 「どうして?」 「どうしてって? 今日、リチャード様に呼び出された。」 リチャード様は、ロッキー商会の経営者だ。 一代で商会を築き上げたや
Terakhir Diperbarui : 2025-08-22 Baca selengkapnya