「別れよう。リナ」 特別に話し合いの為に使用を許可された応接室で、私はルーカスとソファーに向き合って座っている。 「どうして……?」 私は何も悪いことをしていないのに、突然別れを切り出されるという現実が信じられないでいる。 ルーカスは何か誤解しているだけ。 だから謝ったらきっと許してもらえるはず。また元通り、私達は恋人に……。 「リナ、君を信じられないんだ。僕は、浮気は許せないんだ。もう無理だよ。」 ルーカスは私とは一切目を合わすことはなかった。いつもの柔らかい雰囲気のルーカスはそこにはいない。私を軽蔑視したまるで汚いものでも見るように、嫌悪感を剥き出しにしていた。 「ルーカス、私は浮気なんてしてないわ。私はルーカスのことが──」 「止めてくれ!もう僕の名前を呼ばないでくれ。浮気してない?じゃあ、昨日の昼は誰と一緒にいた?3日前は? エミリオと一緒にいただろ、違うのか?」 「一緒にいたわ。でも、それはただ食事をしたりしてただけよ。浮気なんて誤解だわ」 ルーカスに問われたその日は、私はたしかにエミリオと一緒にいた。でも、それはルーカスの思っているような関係じゃない。ただの誤解なのに…… 「僕の気持ちが分かる?リナが、エミリオと楽しそうにいる所を何度も見かけたよ。これからは、ただの従業員同士として、やっていこう」 「待って!ルーカス」 ルーカスは最後まで目を合わすことはなかった。振り向きもせずに言いたい事だけ言うと、去って行った。 私達の関係はこんな事で壊れる関係だったの…? 今までずっと一緒に、どんな時も乗り越えてきたじゃない。楽しいことも辛いことも、一番にお互いに話してた。これからも、ずっとずっと続くものだと思ってたのに。 私とルーカスは家が近いこともあり、小さい頃から何かと一緒にいることが多かった。 ルーカスの父は、男爵家が経営する街で大きな商会の支店の運営を任されており、ルーカスは父の手伝いをしている。 私の父はその商会の従業員だ。小さい頃から父にお昼ご飯を届けたり、忘れ物を届けたりしていたので、従業員の方とは小さい頃から顔見知りだ。 ルーカスと私は学園も同じで、卒業してからはルーカスは父の後継者としての勉強の為に、私は慣れ親しんだ所で働きたかったので、従業員として働かせていただい
Terakhir Diperbarui : 2025-08-18 Baca selengkapnya