裕美の動画は、さらに多くの人々の憶測を呼んだ。多くの人は、彼女が誰かに脅されて突然前言を翻したのだと疑った。汐の民宿は一旦廃業状態にあったが、そのせいでわざわざ宿泊しに来る人さえ現れた。彼らはカメラを民宿にいる女たちに向け、民宿を女子刑務所のようだと形容し、わざわざ「チェックイン」しに見学に来たのだ。恵は箒を持って追い出そうとカンカンになったが、汐は彼女を引き止めた。「商売をしている以上、いつまでも客を追い返すわけにはいかないわ」彼女たちは話し合い、難題に立ち向かうことにした。どうせ、昔ほどの苦しみはない。転機は、観光スポットの丘から不幸にも転落したブロガーが現れたときだった。通りかかった佐藤姉妹が彼を助け起こし、苦労しながら下山させて病院へ送り届けた。別のブロガーが喘息の発作を起こしたときには、汐と恵が駆けつけ、喘息の薬を探してきた。子供をなくした母がパニックになり、大通りで泣き崩れていると、里菜が何本も道を歩き回って、ついに子供を見つけ出して連れ帰った。あの母は涙ながらに里菜に跪き、うつむいて恥じ入った。彼女はあの日、民宿をチェックアウトした客で、「ここには梅毒があるんじゃないか」と言った女だった。汐たちは悪評にひるまず、前を向いて生き続けた。ある日、彼女たちの民宿が再びネットで話題になった。だが今回は、非難の声ばかりではなかった。太字の見出しには、短くも心に響く言葉が書かれていた。【あなたは本当に誰かを知ろうとしたことがありますか?噂話ではなく、心から】それは5分間の動画で、他人の目に映った彼女たちの姿だった。長く付き合ってきた老人は、ネットはわからないながらも彼女たちを擁護した。彼女たちがひそかに支援する貧困児は、彼女たちの話になると目を輝かせた。助けられたブロガーは、悔恨と申し訳なさに満ちていた。動画の最後は、動画を投稿した人の一言で締めくくられていた。【言葉を、人を傷つける凶器にしないで!】民宿は再び大賑わいとなった。今回は全国から客が押し寄せ、予約が殺到した。彼女たちは朝から晩まで客の対応に追われた。汐は、彼女たちの笑顔を見て、自分も自然と笑みを浮かべた。翌朝、目が覚める前に、部屋のドアが力づくで開けられた。恵は驚き慌てた様子で汐をベ
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