尋之は怒りに燃え、萌々香を抱きかかえてチャリティーオークション会場を後にした。彼はそのまま萌々香を車に運び込み、運転手に彼女の家へ向かうよう指示した。泣きはらした目で、萌々香は感謝の念を込めて尋之を見上げた。「尋之、さっきは本当にありがとう。あのままじゃ、私、どうしていいかわからなかった……うう……」尋之は彼女の涙をぬぐい、声にはいたわりを込めた。「もう泣かなくていい。いつだって君の味方だ。まずは家に帰って、ちゃんと休むんだ」萌々香の目が揺れ、委屈げに言った。「ねぇ、一緒にいてくれない?目を閉じたら、あのシャンパンタワーが押し寄せてくる夢を見そうで……」その言葉に、もともと迷っていた尋之はすぐさま頷いた。二人は一緒に萌々香の住まいへ向かう。そこも尋之名義の不動産だった。以前はここを映夏への誕生日プレゼントとして用意するつもりだったが、萌々香が急に帰国し、住む場所がなかったため、計画を変更したのだ。しかし、その瞬間、尋之の表情が突然変わった。それまで萌々香の世話に気を取られていたため、映夏の誕生日を完全に忘れていたのだ。そして映夏を思い浮かべると、怒りとともに、さっき自分が投げつけたものが彼女に当たったのでは……という思いが胸をよぎった。その時、浴室から出てきた萌々香が、背後から尋之に飛びついた。尋之は思考を整え、心の中でこう考えた。今日は映夏があんなことをしたのだから、少し冷たく接して、しっかり罰を与えなければ……しかし、その後萌々香と過ごす時間の中で、尋之の心は、最近よくあった萌々香に対する大切さや喜びを失い、逆にどこかよそよそしい気持ちが残った。それを目の当たりにした萌々香は、心の中で歯ぎしりした。寝る前に、尋之の携帯に一通のメッセージが届いた。内容は監視映像で、場所はチャリティーオークション会場だった。画面にははっきりと、萌々香が映夏に近づき、彼女のドレスを踏みつけ、さらに強く押した様子が映っていた。萌々香の顔には、悪意に満ちた笑みと楽しげな表情がはっきり見て取れた。その後の彼女の驚くほどの演技、瞬時の顔色の変化、無垢に装った振る舞いまで、すべて映像に収められていた。それを見終わったあと、尋之の顔色は極めて険しくなり、携帯を握る指は白くなるほど力が入った。一方で
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