次第に、裕也の中で茜に対する最初の高ぶりや、どうしても手に入れたいという執着は薄れていった。彼は毎日スマホを手放さず、結衣が戻る知らせを見逃すまいと画面を見つめ続けた。会社にいる時間もどんどん長くなっていった。仕事に没頭していれば、余計なことを考えずに済む気がしたからだ。それでも避けられない。夜ごと、前の人生での出来事が夢に浮かび上がる。夢に現れたのは、結婚してから結衣を意図的に無視し、心を抉るような言葉を投げつけたことだった。認めたくはなかった。だが、裕也は次第に思うようになった――結衣は本当に、そこまで罪深い存在だったのだろうか。むしろ自分が、彼女に対して数えきれないほどの過ちを犯してきたのではないか、と。この日、裕也はスマホを手に長く思案し、結衣の連絡先を開いた。慎重に文面を整え、打ち込んだ。【気が済んだなら、早く戻ってこい。何もなかったことにしてやる】だが送信した直後、画面に表示されたのは「友だち追加」の案内だった。裕也はがたりと椅子から立ち上がる。――どういうことだ?結衣が、彼を削除した?そんなこと……よくも、彼女が!ちょうどこの時、秘書がタブレットを抱えて、慌ただしくオフィスに駆け込んでくる。「社長、大変です!ご覧ください。この動画がネットで一気に拡散して、会社の株価が急落しています。それに、社長と奥さまは激しく非難されています!」裕也は眉をひそめながらタブレットを受け取り、映像を再生した。画面が進むにつれ、彼の指先はじりじりと握り込まれていく。画面に映っていたのは、彼が結衣をひとり置き去りにし、彼女の両親の墓参りへひとりで向かわせた時の監視カメラ映像だ。結衣はひとりで墓前に語りかけていた。ところが次の瞬間、背後から突然男が飛び出し、彼女を暗がりへと引きずり込んだ。すると、その場に茜が現れ、男たちを操って結衣をいたぶらせ、さらに手にした錠剤を無理やり飲ませようとした。必死に抗う結衣の姿は、あまりにも惨く、そして絶望的だった。続いて、映像には裕也の姿が映し出された。茜は瞬時に立ち回り、自分こそが被害者であるかのように振る舞った。裕也は彼女を庇おうとして相手と揉み合いになり、挙げ句の果てに結衣の頬にまで平手を浴びせてしまった。映像の最後には、裕也が茜を
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