やっぱりダメだ。ユウマくんが、わたしからたった数十センチ離れるだけで、胸がギュッとなるくらい悲しい気持ちになってしまう。とてもじゃないけど、今は、まだこの思いを伝えることなんてできそうにない。「ふふっ。ユウマくん、照れてるぅー? 仲の良い友達なら、これくらいあたりまえだよねっ」 わたしにとっては、これじゃ足りないくらいなんだけど。ユウマくんは、顔を真っ赤にして目を逸らしたけど、ニコッと笑ってくれた。喜んでくれてるのかな?「そ、そうなんだ? 俺と仲良くしてくれてありがとな……」「えへへ。うん。わたしも……ありがとね! ……本当に」 わたしの言葉に、ユウマくんは少しだけ間を置いた。そして、探るような、どこか戸惑ったような声で尋ねてきた。「……他の仲の良い男子にも……してるの?」 その問いかけに、思わず「え? は?」と間抜けな声が出た。何言ってるんだろう。ユウマくん以外に、こんな風に触れる男子なんていないのに。「してない! さっきも言ったじゃん。仲の良い男子は……ユウマくんだけ! 二人っきりにならないしぃ……近寄らないもんっ。えへへ」 そう言って笑うと、ユウマくんは何も言わずに、ただ真っ赤な顔をして、また目を逸らした。でも、その表情は、どこか嬉しそうに見えた。よかった、これで、まだしばらくはユウマくんのそばにいられる。そう思うと、胸の奥がじんわりと温かくなった。・♢・♢・♢ お風呂から出て、床に置いていた服に手を伸ばした。シャツに袖を通そうと背中を向けたその瞬間、ヒナの気配がぴたりと止まったのを感じた。さっきまで聞こえていた、そわそわとした微かな物音も消え、部屋の空気が一気に張り詰める。 何事もなかったかのようにシャツを着終え、ゆっくりと振り返る。すると、ソファに座るヒナは、まるで何か恐ろしいものでも見たかのように、呼吸を止めて固まっていた。その視線は俺の胸元に向けられていたが、俺が振り返った途端、反射的にサッと逸らされ、ソファのクッションをぎゅっと抱きしめた。その顔は、さっきまで俺の裸を見て赤くなっていたのとは違う、血の気が引いたような青白さを帯びていた。 どうしたんだろう? 俺の胸の傷跡を見てしまったのか? でも、あいつはそんなことで動じるような奴じゃないはずだ。「お、お着替え、終わった?」 ヒナが絞り出した声は、普段の明るさとはかけ
Terakhir Diperbarui : 2025-08-27 Baca selengkapnya