「仲良しな親友」の君は、今でも私のヒーロー

「仲良しな親友」の君は、今でも私のヒーロー

last updateLast Updated : 2025-10-26
By:  みみっくCompleted
Language: Japanese
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 俺と彼女の出会いは、奇跡だった。大学の飲み会で、酔った彼女が俺の肩に寄りかかってきたのが始まりだ。彼女の名前はヒナ。無邪気で、太陽のような笑顔を持つ女の子。  人付き合いが苦手で、極度の上がり症である俺の日常は、彼女の存在によって一変した。心臓は跳ね上がり、顔は熱を持つ。しかし、彼女は俺をただの「友達」として自然に受け入れているだけだ。  これは、不器用な俺と、太陽のような彼女が織りなす、甘くてもどかしい恋の物語。一歩踏み出したいのに踏み出せない、そんな俺に、いつか春は訪れるのだろうか。

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Chapter 1

1話 偶然の再会と、運命の糸

 彼女との出会いは偶然が重なり、そして、彼女の屈託のない性格が引き起こした、まさに奇跡のような出来事だった。

 俺は大学一年のユウマ。どこにでもいるごく普通の大学生だ。これまで恋人ができたことは一度もなく、女性の友人でさえも皆無だった。

 元来、人付き合いが苦手で、加えて極度の上がり症ときている。おまけに口下手で、緊張すると全く話せなくなるため、男友達を作るのにも苦労するくらいだ。

 そんな俺も、数少ない男友達に誘われ、久しぶりの飲み会に誘われ参加した。その飲み会は男ばかりで構成されており、俺にとっては心底安心できる空間だった。正直なところ、女子が参加するような華やかな飲み会は、今の俺にはあまりにもハードルが高すぎる。

 過去に一度だけ、女子が参加する飲み会に誘われたことがあった。しかし、その時の俺は極度に緊張し、何を話したのか、どんな雰囲気だったのか、ほとんど何も覚えていない。ただ、ひたすら黙々とお酒を飲み続け、最終的にお金を払ったという記憶がわずかに残っている残念な記憶だけだ。

 今回は男子のみの気兼ねない飲み会。俺は数少ない友人たちと、大学近くの居酒屋の座敷で楽しく談笑し、酒を酌み交わしていた。共通の世代であるアニメやゲーム、漫画といった小中学校で流行っていた話で大いに盛り上がっていた。

 隣のテーブルの男女混合グループが、俺たちと同じくらいの時間に飲み始めていたのは知っていた。そして、そのグループの中にいた一人の女の子が、俺の隣の席に座ったのだ。

 おそらく、トイレか電話で一時的に席を外していて、戻ってきたのだろう。途端に、俺は彼女の存在を意識して、緊張をしてしまい友人たちとの会話に集中できなくなっていた。

 ものすごく可愛らしい容姿で、しかも明るく社交的な性格らしく、グループの中心で楽しそうに話に加わっていた。透き通るように可愛らしい彼女の声に、俺は思わず聞き入ってしまう。まるで、その声が紡ぎ出す言葉の一つ一つが、直接、心臓に響いてくるようだった。

「なー、ユウマは、最近はどんなゲームをしてるんだよ? 何か面白いゲームあったら紹介しろよなー」

 女の子の声に聞き惚れていて、そっちに集中をしていた。そんな時に、急に友人から話を振られ、俺は内心、激しく動揺した。

 答える時間を稼ぐために、それと酒と近くに可愛い子が座っていたせいか暑さを感じていた。着ていたTシャツの袖を捲り上げた。

「え? ゲーム? 俺……? あー……パズルゲーム、かな。紹介できるようなゲームは……最近は、ちょっとな……金も時間もなくてさ」

 趣味のゲームと言っても、最近はスマートフォンのパズルゲームくらいしかできていない。ゲーム機や高性能なパソコンは、大学生の俺には高嶺の花で、とても手が出せないのだ。情けない、と内心で舌打ちをする。

「……は? マジかよ。どんなゲームだよ、それ?」

 そう友人に問い詰められた、その時だった。

 ポフッ……。

 突然、柔らかな感触が俺の右肩に触れた。隣に座っていた可愛い彼女が、何の前触れもなく、俺の肩にふわりと寄りかかってきたのだ。アルコールで仄かに赤みが差した頬は、まるで熟れた桃のように可愛らしく、俺の視線を吸い寄せた。

「んぅ……わぁ……わたしのヒーローさんだぁー……んふふ……♪」

 お酒が回っていて酔っている様な口調で眠そうな顔をして、俺の腕を見て呟いた。ふと気づいた。俺の腕に小学校の頃にケガをした傷がある事を。その傷が目に入り指で撫でるようにして言っていたのだ。

 可愛い女の子に触られ、ゾワゾワとした快感とくすぐったさが伝わってくる。

「ご、ごめんなさいね! この子、普段あまりお酒を飲まないから……酔っちゃったみたいで。それに、酔っても横になって寝ちゃうんだけど……」

 隣の女の子の友達が慌てて謝罪と説明をしてくれているが、あまり頭に入ってこない。

「……え、あぁ、はい。大丈夫ですよ」

 心配そうに見つめる友達が女の子を引き離そうとしていると……

 ぎゅぅ……。と、女の子の腕に力が入るのを感じた。

「やぁ……、わたしのヒーローさんだもんっ。離れない―……。いやらぁー」

 彼女は、そのまま俺の右腕を抱きしめてきた。むにむにとした柔らかな頬の感触が、俺の腕に直に押し付けられる。そして、その腕には、彼女の胸の柔らかな膨らみが触れ、心臓が大きく跳ね上がった。全身の血が頭に上り、一気に顔が真っ赤になり、熱くなるのを感じた。そこからの記憶は、残念ながらほとんどない。

 翌朝、ベッドの中で目覚めると、昨夜の飲み会の、あの鮮烈な記憶が突然、脳裏に蘇った。俺は一人、顔を両手で覆い、熱を持った頬をさらに赤くした。

 はぁ……あの子、もしかして同じ大学なのかな……すごく可愛かったなぁ……。広い大学で、大勢の学生の中探すのは苦労するし名前も知らない、顔もいまいち覚えていなければ不可能に近い。

 そんな淡い期待と、昨夜の甘い感触をぼんやりと思い出しつつ、俺は大学へ向かった。彼女にもう一度会える奇跡を願いながら。

 大学構内の、日差しが降り注ぐ広場を歩いていると、背後から聞き覚えのある可愛い声が聞こえてきた。

「あの……ごめんなさいっ!」

 振り返ると、そこに立っていたのは、見覚えのある昨日の女の子だった。白いブラウスにふんわりとしたスカートを履いた彼女は、緊張で顔をこわばらせ、深々と頭を下げている。その横には、同じグループだったであろう二人の女子が、申し訳なさそうに立っていた。

「え?」

 たしか昨日も謝罪をしてくれて説明をしてくれていた子だよな。その付き添っていた女の子が、事情を説明してくれた。

「この子、お酒あんまり強くないのに飲んじゃって……知らない人に迷惑かけたって話をしたら、謝りたいから一緒に探してって。自分じゃ酔ってて顔も覚えてないからって……。わたしたちは……顔を覚えていたから。普段、というか酔っていても男の人に甘えたり抱き着いたりする子じゃないのに……」

「そうそう、珍しく男の人に甘えたと思ったら、”わたしのヒーローさん”に謝らなきゃって、必死に頼んでくるから……」

「そ、そうなんですか……別に……大丈夫ですよ気にしてませんし。ヒーローですか?」

 彼女は、友人の言葉を聞くと、改めて顔を上げた。潤んだ大きな瞳がユウマの姿を捉えた瞬間、彼女の頬がふわりと桜色に染まる。

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