All Chapters of 来世はもう愛さない: Chapter 11

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第11話

俺は友人から聞いた話では、夕の両親の事件が再審され、彼女が勝訴したらしい。俺は思った。これだけ長い間、夕が成し遂げたかった事がようやく完成した。俺が姿勢を低くして夕を訪ねれば、夕との関係もそれほど緊張しなくなるだろうと。実際、俺はあの時夕と離婚したのは、確かに少しみっともなかった。わざと夕を困らせようとしたわけではない。ただ夕のあの様子、自分に対するどうでも良いような態度を見ると、腹が立って仕方なかった。離婚協議書に署名したばかりのあの日、俺は夕が病院で海斗という男とあんなに親しくしているのを見て、感情を抑制できなかった。俺たちの離婚手続きがまだ完全に終わっていないのに、彼女はどうしてあんなに早く新しい相手を見つけられるのだ。だから俺はいつも夕を困らせる機会を探していた。あの日、墓園の外で、俺はわざわざ夕を探して来た。和解の言葉が口元まで出かかっているのに、どうしたわけか変わってしまった。俺は夕を家に帰らせたかった。彼女としっかり話し合いたかった。まだ復縁したかった……しかし夕の様子は明らかに自分に完全に愛想を尽かしていた。夕が車に乗る直前のあの言葉、彼女が死にかけているというのは、俺は彼女が俺から逃れたいための口実だと思った。しかし夕が次第に遠ざかっていくのを見て、俺はまた少し慌て始めた。俺らはしっかり話すことができたのに、穏やかに腰を下ろして話し合うことができたのに。今日家を出る時、遥はわざわざ何度も俺に言った。「必ず義姉さんを宥めて連れ帰るね」だから、俺は車で夕を追った。目的地に着くと、海斗が階下で夕を迎えているのを見て、俺は突然またこの女に騙されたと感じた。俺は悔しく、階下で長い間待ったが、夕は現れなかった。ちょうど俺が凍え死にそうになり、離れようとした時、ようやく夕がのんびりと団地を出てくるのを見た。俺は思った。今日は何としても夕と一度話さなければならないと。夕の歩みが遅すぎたので、俺はそばの店に寄り、温かいミルクティーを買ってあげた。しかし飲み物を持って出てきた時、あっという間に夕の姿は見えなくなっていた。周りを一通り探したが、夕の姿は見当たらなかった。ふと見ると、公園の花壇に人だかりができていた。人混みの隙間から、俺は見覚えのある姿がちらりと見えた。その人は、どうやら夕らしい。
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